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中国を知り、利用して守られる国益

韓国紙セゲイルボ

共に生きる術を身に付けよ

 韓国社会で反中国感情がますます大きくなっている。THAAD(高高度防衛)ミサイル配備に対する報復へのわだかまりが今も残っているためだ。新型コロナウイルス感染症の拡大がこれにいっそう拍車を掛けている。“模造品”や“偽粉ミルク”そして“にせ物ワクチン騒動”などによる中国への悪いイメージも無視することはできない。

2017年9月7日、韓国南部・星州に搬入された最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の発射台(EPA時事)

2017年9月7日、韓国南部・星州に搬入された最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の発射台(EPA時事)

 中国に対する統計や発表を引用する必要もない。ネット記事に寄せられるコメントだけ見ても充分だ。三峡ダム崩壊の可能性を展望する記事に数千のコメントが付き、米中対立を伝える記事に「米国を支持する」というコメントが続く。

 長く中国を研究してきたある専門家は中国を「傲慢で無礼だ」とも言ったが、国際関係で善良な隣人はいない。徹底して自国の利益を追求する“力の論理”があるだけだ。中国は自らの実力に応じた外交をする。

 2016年南シナ海スカボロー礁(中国名・黄岩島)の領有権紛争で、国際常設仲裁裁判所(PCA)の敗訴判決を受け入れず、相手国フィリピンを力で屈服させた。周辺の弱小国には限りなく拳を振り回す中国だが、米国の足蹴りには蹴られてばかりいる。米国は恐ろしいのだ。

 韓国は中国の影響から自由になれない。国境を接していると言えるほど地理的に近い。コロナ以前には毎週1200便以上の航空機が両国を往来した。経済交流を越えて安保問題と北朝鮮の“変数”を加えれば、中国が韓国に及ぼす影響の大きさは米国を除けばほとんど絶対的だ。韓国が中国に立ち向かうことは現実的に難しい。力の差が明らかに存在する。

 常に警戒して備えながらも、共に生きる術を身に付けなければならない。憎しみと嫌悪だけでは解決できない。

 もちろん、THAAD配備をめぐる対立が絶頂に達していた頃、中国にいる韓国人は身辺に脅威を感じるくらい、中国人の露骨な敵対感を体で感じていた。タクシーで「韓国人」というだけで降りるよう強要された知人もいた。しかしまた、意外な瞬間に、驚くほど親切な姿に接して、「同じ中国人か?」と戸惑った経験もある。全部中国の姿だ。

 韓国より強い中国を相手に、韓国の国益を守ろうとするなら、中国を知り(知中)、中国を利用(用中)しなければならない。中国の政治も経済もよく知って、中国人も理解しなければならない。

(イ・ウスン北京特派員、9月7日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

「政府と人は違う」という幻想

 韓国が対外関係を語る時、「知○」「用○」の言葉をよく使う。丸の中には時に「日本」が入ったり、今回のように「中国」が入ったりする。相手を知り、利用・活用していくという一見もっともらしい外交対策だ。

 しかし、これが成功したという話はなかなか聞かない。冷静になって気にくわない相手でも優れた面があればそれに学ぼうというのはスローガンとしては美しいが、それは修辞にすぎず、感情の赴く「親○」「反○」に流れ着くのが常だ。

 日本に対しては「反日」「克日」「用日」と言葉は幾つも出てきたが、時の対日感情や周辺の情勢に引きずられて、最後は安易な反日に落ち着いて行くのがパターンだった。

 中国にしても似たようなもので、歴史的に中国の風下に置かれ、常に強大な圧力を受けてきた中で、韓国が中国を無視し得ない事情は十分に理解できる。

 その上で、もし本当に中国を知り、中国を利用していこうとするなら、国家の政治体制や政治思想を無視して、それを論じるのは違うだろう。親切な中国人がいても、その政府は自由民主主義を否定し、ウイグルやチベット、モンゴル、香港を弾圧し、自国民さえ監視し縛っている。これは親切なタクシー運転士1人でチャラにできる類の話ではないのだ。

 「中国の夢」を掲げて、力で既存の国際秩序の改変を強行し、自国を世界の中心にしようとして他国との軋轢(あつれき)を生んでいる中国を、生半可な外交力で「利用」していけると思っているのなら、韓国はあまりにも自己の力を過信し過ぎている。まして今は旗幟鮮明にすることが米国から求められている。その中で「用中」ができたら、日本もぜひそれを学ばねばならない。

(岩崎 哲)

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