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韓国が「輸出規制」と騒ぐこと自体、日本の脱韓を促進

 当ウェブサイトでは、なんだか連日のように「輸出『規制』」問題を取り上げているような気がします。「輸出『規制』」問題とは、いうまでもなく、日本政府が昨年7月に発表した対韓輸出管理適正化措置を韓国政府・メディア(と一部の日本のメディア)が「不当な輸出『規制』だ!」と言い張っている問題のことですが、韓国では政府・与党から「日本の『追加』報復に備えるべきだ」とする声も高まっているのだそうです。そうやって大騒ぎすること自体、日本企業が韓国から離れていくきっかけなのだと思うのですが…。


●「相対論は間違っている」とのたまうトンデモさん

 むかし、ある理系の方と話をした際に、「アインシュタインが提唱した相対性理論は誤っている」とするトンデモ系の人が、どんな時代でも必ず一定数は存在する、という話題を聞いたことがあります。

 詳しい説明は控えますが、(特殊)相対性理論にいう「光速度を超えて加速することはできない」、「光の速度はどの慣性系から見てもまったく同じになる」、などの特徴が、私たちの実生活の感覚とは大きくズレていることから、相対論は間違っている、という言説につながるようです。

 もちろん、相対性理論自体が正しいことは、幾多の実験、理論などを通じてすでに何度も何度も証明されていますし、人工衛星から位置情報を割り出すGPSの仕組みが機能していることも、相対性理論が正しいという証拠なのです。

 しかし、「トンデモさん」たちは、自分が信じたいものしか信じないという特徴がありますし、正しい説明を何度聞いても頑なに理解しようとしないのです。

 そして、不思議なことに、こうした「トンデモさん」たちの主張は皆一様にそっくりで、「相対性理論が間違っている」と主張する人は、多くの場合、「エネルギー保存の法則は間違っている」、「私は磁石を使った永久機関を発明できる」、などと述べているのだそうです。

 ちなみに、「永久機関」などというものを「発明」したと騙っても、それを特許申請することはできません。

 特許庁『「発明」が特許されるための主要要件』という資料によると、「特許法における発明に該当しないもの」(つまり特許が絶対に下りないもの)の典型例として、この永久機関は「自然法則に反するもの」に挙げられています。

 それでも特許公報などを眺めていると、定期的に永久機関だの、光速度を超える移動装置だのといった「発明品」(?)が懲りずに出てきているようですが、本当にご苦労様なことです。

●何度も同じ誤りを掲載するメディア

 さて、「トンデモさん」というのは、べつに自然科学の世界にだけ存在するわけではありません。

 社会現象について議論する際にも、完全に間違った視点から「こうだ!」と決めつけてしまっている人、メディアなどが後を絶ちません。そのなかでも深刻なのが、日本政府が昨年7月に発表した輸出管理適正化措置を「輸出『規制』だ」、などと主張し続けているメディアでしょう。

 いったい何回、こうした間違った主張を掲載すれば気が済むのかはわかりませんが、本日発見したのが、こんな記事です。

日本の攻撃に日本が被害…輸出規制から1年、韓国の驚くべき変化(1)


昨年7月4日。日本は韓国の半導体・ディスプレイ産業を狙った「核心材料輸出規制」を電撃断行した。<<…続きを読む>>
―――2020.06.24 08:35付 中央日報日本語版

 正直、当ウェブサイトでも『「誤った社説」を利用して作成した対韓輸出管理Q&A』『日韓関係「自然消滅」論を裏付ける韓国メディアの記事』などで、こうした記事の誤りを都度指摘して来たつもりですが、やはりキリがありません。主張があまりにもまったく同じで、壊れたレコードを聞かされている気分になります。

 リンク先の『中央日報』(日本語版)の記事を要約すると、次のような主張でしょう。

日本が昨年7月に韓国の半導体・ディスプレイ産業を狙って「革新材料輸出規制」を断行したが、そのことで韓国は却って材料、部品、装備全体の供給源の多角化と国産化に成功しつつある。日本が韓国を狙って断交した輸出規制は、却って日本の産業に被害が生じているのだ。

 くどいようですが、事実関係からして間違っています。

 そもそも日本が適用したのは外為法第48条第1項などに基づく輸出管理の運用変更であり、外為法第48条第3項などに基づく輸出規制ではありません。

 また、中央日報が「国産化に成功した例」として挙げているのが、純度99.999%(つまり5N)のフッ化水素ですが、日本製品である純度99.999999999%(11N)や99.9999999999%(12N)には品質として遠く及びません。

※これについては読者コメント欄に「イーシャ」様というコメント主の方からいただいた、こんな指摘がわかりやすいでしょう。03

「5Nだと、不純物の割合は、100000分の1(0 が5個並ぶ)。12Nだと、不純物の割合は1000000000000分の1(0が12個並ぶ)。つまりNが1つ増えると不純物の割合が10分の1に減る。Nが1つ減ると不純物が10倍になる。5Nは12Nと比べて不純物が1千万倍も多いということ。」

 いずれにせよ、そもそも日本の韓国に対する輸出額は、韓国の中国に対する輸出額などと密接に連動しています。日本の2019年における対韓輸出額が前年と比べて減少していることは事実ですが、これは韓国の対中輸出額の減少でほぼ説明が付きます。

 だいいち、「供給源の多角化や国産化に成功しつつある」というのなら、なぜ韓国政府は日本に対して「輸出『規制』の全面撤回」を求めるのでしょうか。

 意味がわかりません。

●韓国で日本の「追加報復」論が出てくる

 ただ、こうした「相対論を否定するトンデモ説」のような記事が量産される一方で、本日はもうひとつ、やや気になる記事を発見しました。

■韓国与党「日本の追加貿易報復を予想…対応策をあらかじめ立てなければ」


日本の強制徴用企業に対して韓国裁判所が韓国内資産の売却手続きに入ることで追加の貿易報復措置が予想されるにつれ、韓国与党と政府が先制的に素材・部品・装備対策を補完・点検していくことにした。<<…続きを読む>>
―――2020.06.24 11:02付 中央日報日本語版より

 中央日報がいう「強制徴用企業」とは、自称元徴用工問題の被告企業のことだと思いますが、具体的には今月初、韓国の裁判所が2018年10月の自称元徴用工判決に関連し、日本製鉄の在韓資産であるPNR株式の売却を可能にするための公示送達手続を講じたことを指しているのでしょう。

 日本政府はかねてより韓国政府に対し、「日本企業に不当な不利益が生じ場合」に何らかの対抗措置を講じると警告し続けていますが、それに備えて韓国の与党と政府が日本の「追加(?)報復」に備えるべきだ、と動き出したとする話題です。

 日本は韓国に対し、少なくとも自称元徴用工問題を巡って報復措置を講じたという事実はないにも関わらず、「『追加』報復」と呼ぶのも、何かと意味がわかりません。ただ、こうした動きが出て来ること自体、日韓の産業の関わりをさらに低下させる可能性があります。

 なぜなら、日本の産業にとっては、韓国企業とビジネスを展開することの不確実性が、間違いなく高まるからです。

●どのみちサプライチェーンの再構築は避けられない

 ところで、日韓間では人的往来の制限が長期化するなかで、両国の産業面でのつながりがどう変わっていくのかについては気になる点です。

 おりしも先週の『入国制限の緩和は4ヵ国からスタート 台湾・香港は?』でも取り上げたとおり、武漢コロナ禍の影響で講じられている近隣国との往来制限については、まだ解除の見通しは立っていません。

 とくに、尖閣周辺海域への公船派遣を常態化させている中国、輸出管理適正化措置を巡り対日WTO提訴をしたり、国際法違反の判決を放置したりしている韓国は、いずれも日本の信頼を踏みにじっている国であり、そのような国と信頼関係をもとにした往来制限解除が早期実現するかは微妙でしょう。

 影響は、それだけではありません。

 昨日、「コロナ禍の影響で日中の人的往来の制限が長期化するなか、中国の日系企業で不良品が頻発するなどの事例が出ている」などと産経ニュースが報じたことについては、『産経「日中往来制限の長期化により中国で不良品頻発」』でも紹介しました。

 往来制限の長期化の影響は、産業面にも間違いなく及んできますし、中・長期的には産業界ではサプライチェーンの再構築がテーマとなるはずです(というよりも、それを経営課題に設定しないような経営者は無能です)。

 いずれにせよ、「輸出『規制』」問題を巡っては、日本政府が何らかの「『追加』措置」を発動しなかったとしても、韓国側が大騒ぎすればするほど、日本の産業の韓国離れ(脱韓)が進むのだとしたら、それはそれで皮肉な話です。


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20200624-04/

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