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黒田氏の正論突き詰めると、支払うべきなのは韓国の側

 そもそも論ですが、自称元徴用工問題で韓国側が日本企業の在韓資産を差し押さえていること自体、いかにおかしな話なのかについては、「歴史」から見ることができる、という、非常にあたりまえの事実を思い出しました。これは産経新聞のソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏が執筆した論考にヒントを得た考え方ですが、もうひとつ不可解なのは、黒田氏の主張に中央日報が反論を加えている形跡がないことです。


●中央日報に掲載された、黒田氏の正論

 韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日、こんな記事が掲載されていました。

黒田氏「韓国は日本の資産で発展…徴用工は自分たちで補償しろ」


産経新聞に、韓国経済は日本の資産をもとに発展したきたことから、日帝強占期の強制徴用被害者の損害賠償も自主的に解決するべきだという主張が掲載された。<<…続きを読む>>
―――2020.06.08 14:52付 中央日報日本語版より

 記事タイトルにある「黒田氏」とは、産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏のことで、7日付の『発展のルーツは日本資産』というタイトルの記名コラムで、「韓国が日本の資産をもとに発展したことから、自主的に被害者を補償しなければならないと主張した」、と報じています。

 黒田氏といえば、日本人でありながら韓国に居住している「知韓派」の論客ですが、中央日報からの孫引きによれば、その黒田氏は次のように述べたのだそうです(※ただし、引用に当たって単語を補っています)。

・日本が朝鮮半島に残した資産総額は、当時の価値で50~800億ドル、現在価値に直せば数千億ドルを下らないだろうという
・韓国が手にした膨大な日本資産を考えれば、最近の徴用工補償問題など今さら韓国で日本企業の資産差し押さえもないだろう

 まったくの正論ですね。

●日本が朝鮮半島に残した莫大な資産

 黒田氏に指摘されてハッと思い出したのですが、あらためて整理しておくならば、これは非常に重要な論点です。

 なぜなら、日本は1910年から1945年まで、35年間の朝鮮半島統治で、莫大な資本を投下し、港湾、道路、鉄道、上下水道、病院、学校といった物理的インフラに加え、農業、工業、商業などの産業、医療、教育、法制、文化などの無形資産を残していったからです。

 当ウェブサイトが専門とする会社法制や銀行法制、証券法制などを研究しても、韓国法は日本法を大きな部分でそのままコピーしていますし、日本語由来の単語「会社、有価証券、金銭債権、配当金」などをそのまま使用していたりもします。

 いわば、ほんの100年ちょっと前まで古代とさして変わらぬ生活をしていた人たちに、衛生環境や法律を整え、教育を施し、近代国家として必要な物理的インフラを大量に建設してあげたのですから、それこそ数兆円、数十兆円では効かないくらいの恩恵を朝鮮半島に与えたわけです。

 もちろん、それらについては日本が朝鮮の人々から求められてやったことではないため、恩着せがましく「さぁ、感謝しろ」と要求すべきことがらではありませんが、世界の常識に照らせば、少なくともお礼を言われるべきことはあっても、謝罪すべきことは何ひとつとして行っていません。

 また、1965年の日韓請求権協定には、終戦時点における日本という国家と朝鮮半島の人々の債権債務関係を一括で清算するという意味合いもあったはずであり、日韓間の過去の問題に関してはそこで完全に決着がついています。

 世界の常識から考えるならば、あることないことウソをつき、日本から金銭的利益をむしり取ろうとする韓国の姿勢は明らかに常軌を逸しています。

 いや、韓国側が「植民地支配の違法性」云々を持ち出すのならば、日本はむしろ、戦前、朝鮮半島に施した莫大な投資についても要求すべきですし、1965年の日韓国交正常化以降、日本が韓国に施した支援についても現在価値での清算を要求すべきです。

 もっとも、本気でそれをやり始めたら、韓国が何ヵ国あっても払いきれるわけがありません。

 その意味でも、「日本経済を脅かす存在にまでなった韓国を経済的に焦土化することをもって、これらの清算に代える」、という発想も成り立つのかもしれませんね(※機会があれば、このあたりは別稿で議論したいと思います)。

●正論にはダンマリ?

 ただ、今回の中央日報記事の残念な点は、黒田氏の議論を紹介するだけ紹介して、これに対する中央日報としての見解をまったく載せていない点にあります。

 「韓国メディアウォッチャー」のひとりとしては、この手の正論に対し、韓国メディアがどういう無理なロジックを組み立てて反論して来るかが楽しみでもあるのですが、その点からすれば期待していた反論が見当たらず、この点については失望を禁じ得ません。

 改めて振り返っておくと、先月の『韓国メディア「約束破りは韓国の文化。日本は理解を」』でも紹介したとおり、どうも韓国では、そもそも「約束」の概念がほかの西側諸国とはまったく異なっているように思えてなりません。

 これは、中央日報に掲載された『【コラム】約束の差を理解してこそ韓日葛藤は解消』という記事で、日韓における約束の概念の違いについて、次のような説明が掲載された、という話題です。

「韓国で約束をするということは、『ほかの特別な事情がなければ』という、約束よりさらに重要な事情がある場合は相手を説得できるという無言の前提が入っている」。

 このコラム執筆者が正気でこれを書いたのだとはにわかには信じがたいのですが、もし韓国における約束の考え方がこのコラムどおりなのだとしたら、控えめに言って、韓国は私たち西側諸国・自由民主主義社会に存在する資格はありません。

 なぜなら、約束は私たちがまともな近代国家を運営するうえで欠かせない、きわめて大事な概念だからです。

 そして、韓国がこれまでに何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も約束を破ってきたという実例を見れば、残念ながらこのコラムの信憑性は高いと思わざるを得ないのです。


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20200610-03/

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