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米中衝突で浮かぶ韓国外交の課題

韓国紙セゲイルボ

普遍的価値中心に原則定めよ

 米国と中国の衝突が尋常でない。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の責任をめぐる対立が全方向に広がっている。米中で交わされた激しいやりとりと行動は前例のない程で、復元不能な局面に達したと分析される。

1日、ホワイトハウスで記者会見するトランプ米大統領(AFP時事)

1日、ホワイトハウスで記者会見するトランプ米大統領(AFP時事)

 国際社会で米国は威信を、中国は信頼を失った。新しい冷戦がどんな姿になるのかを推察させるものだ。米国などの学界では米中戦争の可能性を憂慮する声が大きくなっている。最近の台湾・香港などをめぐる米中の対立をみると、偶発的・制限的武力衝突が一触即発の危機に突き進む状況が想定できる。

 冷戦時代には世界が米国・ソ連中心の両陣営に明確に分かれたが、今は一方的に一方の肩を持つことができず、境界が明らかでない。それでも米国は組み分けを試みる。同盟国に反中国路線を明確にするよう要求する。米国が中国をグローバルサプライチェーンから排除しようと経済繁栄ネットワーク(EPN)を推進するのもその一環だ。

 米国務省は、「EPNの核心価値は自由陣営内で国民を保護する供給網を拡大して多角化すること」とし、韓国とEPN参加について議論したと明らかにした。ホワイトハウスが議会に提出した対中国戦略報告書にも韓国に「中国孤立」参加を圧迫する内容が入っている。

 これは韓国が新冷戦の最前線に追い立てられる恐れがあることを物語っている。米中が素顔を現す状況をどのように管理していくかが韓国外交の当面の課題になった。判断を誤ると災難に見舞われる恐れがある。THAADミサイル(高高度防衛ミサイル)配備をめぐる米中対立に巻き込まれ、どれほど大きな被害を被ったのか、はっきり見ただろう。

 習近平中国国家主席の年内訪韓の約束も手放しで喜べることではない。米中の間で戦略的曖昧さを維持しながら、その時その時、即興的に対処する政策はもはや有効でない。まず平和・連帯・共生など普遍的価値を中心に外交原則を定めなければならない。コロナ以後の国際秩序に対するビジョンを立て、外交の大きい絵を描いてこそ可能なことだ。それでこそ、個別的な状況に対して一貫性を持ち、動揺することなく対応できる。原則のない外交を行っていては再び米中に振り回される境遇に転落する。

 韓国は新型コロナ対応で防疫先進国であることを立証した。外交でも緻密で堂々と対処しなければならない。G2(主要2カ国)リーダーシップ空白状態でG20(主要20カ国)次元の新型コロナ対応協力を引き出しながら、外交空間を作り出さなければならないだろう。今回は韓国外交が自らの役割を果たしつつ、目に見える成果を出すことを切実に望む。

(朴完奎論説室長、5月26日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

事大主義の限界と股裂き

 朝鮮半島に興った国々は歴史的に事大外交、つまり大国に従う外交政策をとってきた。歴史的文化的ルーツを宗主国としてきたわけではない。東アジアの歴史で長い間中国の「華夷秩序」に従ってきたのは、当時の大国が大陸の王朝だったからだ。
 清や中華民国が近代化に遅れて落伍すると、一時の日本に、そして戦後の米国に従ってきた。その時の大国がこれらだったから。南北分断の下、ソ連共産主義に対抗できるのは、米国の自由民主主義しかなかった。

 冷戦後の米国1強時代が去り、G2時代になって韓国の悩みは深刻になった。従うべき大国が二つになったからである。ここで民主主義体制の立場に従えば、迷うことなく米国側を取るだろうが、そうできないのをみれば、韓国としては体制が問題ではなく、いずれが大国かを判断基準としていることは明らかだ。

 だが、現実に2国に“臣従する”ことはできない。トランプ大統領が「わが陣営に来い」と、先進国クラブの椅子まで用意して韓国を誘っていて自尊心がくすぐられる半面、中国に弓を引く決断もできない。どちらか一方にいい顔をすれば、他方からこっぴどく報復されてきた記憶が生々しい。

 文在寅政権は「従北親中、反日離米」路線を進めている。彼らが共産主義に傾倒している面もあろうが、むしろ崛起する中国の圧力をひしひしと感じているが故の選択と見た方がよさそうだ。

 記事は「韓国外交が自らの役割をしながら」としているが、G2の間で迷っている韓国に、そもそもその余地があるのだろうか…。

(岩崎 哲)

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