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韓国に対する輸出管理はむしろ「厳格化」もあり得る!

 昨日の『韓国の対日提訴は「グループC」に格下げする契機か?』などで速報しましたが、日本の対韓輸出管理適正化措置を巡り、韓国政府は昨日、停止中だったWTO提訴手続を再開すると公表しました。正直、今回の措置で何らかの実害があるとも思えないのですが、それでも議論の進捗次第では、韓国政府は日韓GSOMIAの再破棄にも踏み切る可能性がある、といった報道もあるため、予断を許さない状況でもあります。もっとも、個人的には今回の状況は、むしろ日本が韓国に対する輸出管理をさらに厳格化する理由ができたということでもあると思う次第ですが…。


日韓関係破綻論

●韓国が日本をWTOに再提訴

 昨日は久しぶりに「ちょっとした驚き」を経験しました。

 いうまでもありません。『韓国の対日提訴は「グループC」に格下げする契機か?』などでも触れたとおり、昨年7月1日に日本政府が発表した対韓輸出管理適正化措置を巡り、韓国政府が日本をWTOに再提訴する考えを示したからです。

 なぜ昨日のタイミングでこれが出て来たのかについては、正直、よくわかりません。

 これについては昨日、複数の読者の方からもご指摘いただいたとおり、慰安婦支援団体の前代表でもある尹美香(いん・びこう)国会議員の資金流用疑惑などから韓国国民の目を逸らさせるという目的もあるのかもしれません。

 しかし、いずれにせよ重要なことは、昨年11月22日にいったん落ち着いたはずの日韓対立に、再び火が付いた可能性がある、ということです。

 もっとも、これについては『「輸出『規制』回答期限は本日到来」、それがどうした』などでも報告したとおり、日本にとって大した実害はありません。

 なぜなら、WTOの手続自体が非常に時間を要するものであるという事情もさることながら、万が一、「日本敗訴」という判決が出た場合は、WTO自身がワッセナーアレンジメントなどの輸出管理の考え方を正面から否定したことになるため、「WTO解体論」に直結するからです。

 したがって、日本政府としては基本的に「積極的放置」で良いと思います。

 いや、それどころか日本が韓国を輸出管理上の旧「ホワイト国」、つまり現「グループA」から「グループB」に格下げした理由は、韓国の輸出管理を巡り、日本政府の韓国に対する信頼が損なわれた点や「著しく不適切な事例」が発生した点などにあったはずです。

 日韓両政府が政策対話の実施中であるにも関わらず、韓国側がいきなり「WTO提訴」という形でファイティングポーズを取ってきた以上、日本政府側としても、韓国に対する信頼が「さらに損なわれた」と考えられる状況になってしまったのかもしれません。

 そのように考えていくと、韓国政府の今回の対応は、明らかな悪手です。

 とくに「グループA」から「グループB」への格下げは、今回のWTO提訴の範囲に含まれていませんので、日本政府としては「グループB」からさらに「グループC」へ引き下げたとしても問題がない、という判断にもつながりかねません。

 つまり、今回のWTO提訴をもって日本はむしろ韓国に対する輸出管理をさらに厳格化する口実を得てしまった可能性すらあるのです。

●改めて振り返る、韓国の不法行為の数々

 ただし、日韓関係の悪化については、輸出管理適正化措置だけで考えるべきではありません。

 ここで改めて、文在寅(ぶん・ざいいん)政権下で韓国が仕掛けてきた「日韓関係が悪化するような材料」をリストアップしていくと、これがなかなか壮観です。

■文在寅政権下の韓国が日本に仕掛けて来たこと


①旭日旗騒動(2018年9月頃~)
②自称元徴用工判決問題(2018年10月30日、11月29日)
③レーダー照射事件(2018年12月20日)
④国会議長による天皇陛下侮辱事件(2019年2月頃)
⑤日本による韓国向けの輸出管理適正化措置(2019年7月1日発表)
⑥慰安婦財団解散問題(2019年7月までに発生)
⑦日韓請求権協定の完全な無視(2019年7月19日に完成)
⑧日韓GSOMIA破棄騒動(2019年8月22日~11月22日)
⑨対日WTO提訴騒動(2019年9月11日~11月22日、2020年6月2日~)
⑩日本人に対するビザ免除措置の停止(2020年3月9日以降)

 この10項目のうち、冒頭でも触れた⑤については日本が最初に講じた措置であり、論者によっては「②の自称元徴用工問題などに対する報復として日本が輸出品目の規制に踏み切ったのだ」、などとする説明を見かけることもあるのですが、これはおそらく大きな間違いです。

 日本が韓国に対する輸出管理適正化措置に踏み出さざるを得なかった理由は、韓国政府が必要な政策対話を3年以上も拒絶したことと、日本から韓国輸出された戦略物資の管理を巡って著しく不適切な事例が発見されたことではないでしょうか(※)。

 (※ただし、これについては経済産業省などが公式に発表したわけではありませんが、当ウェブサイトでは『輸出管理の「緩和」を「対韓譲歩」と勘違いする人たち』などでも述べたとおり、さまざまな公表事実を積み上げる限り、このようなストーリーでほぼ間違いないと考えています。)

 というよりも、そもそも⑤の措置が②の自称元徴用工判決に対する報復ないし制裁だとしたら、時系列でみて⑦(日韓請求権協定に基づく第三国仲裁の手続期日)が⑤の手前に来ていなければおかしいはずです。なぜなら⑦は②に対応した措置だからです。

●日本人の対韓感情も急激に悪化

 いずれにせよ、文在寅政権下の韓国が日本に対して常軌を逸した不法行為を仕掛けて来ていることで、ただでさえ前任の朴槿恵(ぼく・きんけい)政権下でも良好といえなかった日本国民の対韓感情が、もはや決定的に変わってしまったことは間違いないと考えて良いでしょう。

 このことは、昨年12月20日に公表された『外交に関する世論調査』からも明らかです。というのも、韓国に対して「親しみを感じない」と答えた人の割合(「どちらかといえば親しみを感じない」を含む)が、史上初めて7割を超えたからです(図表)。

■図表 日本国民の対韓感情
20191220-gaikou-04-korea (1)

(【出所】内閣府『外交に関する世論調査』をもとに著者作成)

 「2018年」、「2019年」とあるのは、いずれも調査実施時期が10月です。

 そして、2018年10月と2019年10月のあいだに、先ほど列挙した「文在寅政権下の韓国による不法行為」の②から⑨までがすっぽりと収まるのですが、これらの常軌を逸した不法行為の数々が、日本国民の対韓感情を悪化させたことは間違いないでしょう。

 もっとも、個人的には、むしろ「韓国に親しみを感じない人」の割合が7割少々で留まったことに驚いています。李明博(り・めいはく)元大統領が2012年8月に天皇陛下を侮辱する発言をした直後の2012年10月の調査で対韓感情が悪化した事例と比べれば、これでもまだ生ぬるいと感じるほどです。

●韓国側からはどう見ているか

 ただし、「日韓(韓日)関係が悪化している」という点については、日本側、韓国側ともに認識は一致していると思うのですが、韓国メディアの報道などをベースに、韓国に日韓関係の悪化がどう見えているのかを考えてみるのも興味深い視点です。

先ほどの『文在寅政権下の韓国が日本に仕掛けて来たこと』のうち、とくに②、⑤、⑥、⑧、⑨、⑩を書き換えると、次のように表現されているようです。

■文在寅政権下で発生した韓日関係の悪化要因


②強制徴用判決問題(2018年10月30日、11月29日)
⑤日本による韓国向けの不当な輸出規制問題(2019年7月1日発表)
⑥慰安婦財団の解散措置(2019年7月までに発生)
⑧韓日GSOMIA終了通告と効力の停止(2019年8月22日~11月22日)
⑨対日WTO提訴(2019年9月11日~11月22日、2020年6月2日~)
⑩日本による韓国人に対するビザ停止措置とその報復としての韓国の日本人に対するビザ停止措置(2020年3月9日以降)

 なお、①、③、④、⑦については、韓国メディアでは「なかったこと」にされているらしく、まずほとんどのメディアで見かけることはありません。

 そして、②、⑤、⑥、⑧、⑨、⑩の6項目を巡っては、まず②と⑥が「日本がそもそも歴史をちゃんと反省しないことで発生した問題」ということにされていて、⑤がそれに対する日本から韓国への報復措置、⑧と⑨が⑤に対する報復措置、⑩がさらにその報復措置に見えているのではないでしょうか。

 ハッキリ申し上げて、お話になりません。というのも、韓国側が主張する自称元徴用工問題にせよ、自称元慰安婦問題にせよ、本質的には次の2つの問題点をはらんでいるからです。

・(1)日韓間の過去のすべての問題は、1965年の日韓請求権協定において法的に完全に決着が付いており、それをあとになってから蒸し返すのは国際法違反である。

・(2)そもそも自称元徴用工問題や慰安婦問題を含めた「歴史問題」自体、その多くが韓国(や悪意を持った日本人)によるウソ、捏造のたぐいである。

韓国という邪悪な国

●韓国はウソツキ国家

 ただ、先ほど列挙した10項目のうちの③、つまり2018年12月20日に発生した火器管制レーダー照射事件については、日本にとって決して悪い話ではありません。なぜならば、この事件とその後の韓国政府の対応をもって、私たちは堂々と、「韓国はウソツキ国家だ」と断言できるようになったからです。

 これについては当ウェブサイトは『「日本こそフッ酸を密輸出」逆ギレはレーダー事件そっくり』などでもさんざん繰り返してきた論点ですが、あらためて客観的事実を簡単に振り返っておきましょう。

 事件は12月20日、石川県能登半島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で発生しました。海上自衛隊に所属するP1哨戒機が、韓国海軍に所属する駆逐艦「広開土大王」から火器管制レーダーの照射を受けたのです。

 防衛省はその翌日、その事実を公表したのですが、その直後から韓国政府の反応は明らかに常軌を逸していました。

 韓国政府はまず、「当日は北朝鮮の遭難漁船の捜索を行っており、悪天候だったから、艦に搭載していたすべてのレーダーを稼働していたら、そのひとつが偶然当たったに過ぎない」だの、「P1哨戒機に当たったのは火器管制レーダーではなく探索レーダーだ」などと言い訳をしました。

 しかし、防衛省側が12月28日に当日の動画を公開し、晴天で波も穏やかであったことが判明するやいなや、韓国政府側が「勝手に動画を公開するな」だのと猛反発し、「むしろ日本が低空威嚇飛行を仕掛けてきた」だのと稚拙なウソに終始したのです。

 さらには、日韓双方の防衛当局間で実施された協議内容についても、日本側の了解なく、しかも日本側が言ってもいない虚偽の内容を勝手にどんどんと発表したすえに「言った、言わない」の論争に持ち込み、事態を有耶無耶にしようとしたのです。

 こうした韓国政府の一連の行動を見ていると、まさに「韓国はウソツキだ」と断言できるようになったのです。

 ひとむかしまえ、他国を「あの国はウソツキだ」などと言おうものなら、某特定メディアや某特定野党などから徹底的に叩かれたものですが、現在であれば、韓国と北朝鮮の2ヵ国に関しては、自信を持って「ウソツキ国家だ」と断言しても良いでしょう。

●韓国は約束破り国家

 さて、日本語では「ウソツキはドロボウの始まり」という素晴らしい格言がありますが、韓国の場合は約束破りの常習国家でもあります。もともとウソツキ国家なのですから、そのウソツキが「絶対に守る」と騙って約束をすること自体、意味がない行為です。

 ただ、私たち日本国民の常識からすれば、「約束は守るもの」という意識が強く、「平気で約束を破る」という心理は、理解に苦しみます。というのも、そんな人間は日本社会では信頼を失い、まともな社会生活すら営めなくなるからです。

 こうした文化の違いを理解する際の手掛かりとなるのが、先月の『韓国メディア「約束破りは韓国の文化。日本は理解を」』で紹介した、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された『【コラム】約束の差を理解してこそ韓日葛藤は解消』という記事でしょう。

 中央日報は、日韓における約束の概念の違いについて、次のように主張しています。

「韓国で約束をするということは、『ほかの特別な事情がなければ』という、約束よりさらに重要な事情がある場合は相手を説得できるという無言の前提が入っている。これに対し日本で約束をするというのは、『人の力で統制不可能な天災地変でない限り』という、先約を最優先する前提がある」

 もし韓国における約束の考え方がこのコラムどおりなのだとしたら、控えめに言って、韓国は私たち西側諸国・自由民主主義社会に存在する資格はありません。なぜなら、約束は私たちがまともな近代国家を運営するうえで欠かせない、きわめて大事な概念だからです。

●積極的放置+消極的制裁で関係の自然消滅を図るべき?

 さて、外交関係といえば「国と国との関係」であり、「国と国との関係」といわれると、なにやら非常に大きな話であると思えてしまいますが、そんなことはありません。『価値と利益で読む外交 日本にとって「大切な国」とは』でも論じたとおり、国も人間の集合体であり、外交も人間関係の延長で考えるべきだからです。

 「ウソをつかない」「約束を守る」ことを善とする日本という国と、「ウソをつく」「約束を破る」ことの常習国である韓国はがわかりあえるわけなどありません。

 ちなみに冒頭に示した諸問題の落としどころは、基本的に次の3つしかありません。

■日韓関係の3つの「落としどころ」


①韓国が国際法や約束をきちんと守る方向に舵を切ることで、日韓関係の破綻を避ける
②日本が原理原則を捻じ曲げ、韓国に対して譲歩することで、日韓関係の破綻を避ける
③韓国が国際法を破り続け、日本が原理原則を貫き続けることで、日韓関係が破綻する

 (※本当はこれに「④日本が韓国に対して無理やり約束を守らせることで、日韓関係の破綻を避ける」という選択肢を付け加えても良いのですが、「相手を変えることはできない」というのが当ウェブサイトの持論ですので、ここではこの④については考えないことにしています。)

 このうち①についてはまず期待できません。韓国はウソツキ国家であり、約束を破る国だからです。したがって、日韓関係の破綻を避けたいと思うならば、②の選択し、つまり日本が原理原則を捻じ曲げ、延々と韓国に対して譲歩し続けるより方法はないのです。

 ただ、ここでもうひとつ、重要な考え方があります。

 そもそも「ウソツキ」「約束破り」の国家とお付き合いをする必要などあるのでしょうか?

 どなたか著名な人物も最近おっしゃっていましたが、今すぐ日韓断交状態に陥るのは日韓双方にとって非常に困りますが、中長期(つまり数十年単位、あるいは百年単位)で見るならば、日韓断交という考え方は「アリ」です。

 どうも現在の日本政府は、この③を狙っているフシがあるのではないでしょうか。

 いわば、「積極的放置」+「消極的経済制裁・セルフ経済制裁のチャンスを待つ」、という戦略ですね。
●米韓関係、中韓関係にも要注目

 ただし、当ウェブサイトがこの「積極的放置+消極的制裁」というシナリオが「理想形だ」と積極的に推奨し辛いと考える点も、ひとつあります。それは、米韓関係や中韓関係などがリスクシナリオとして降りかかってくることです。

 とくに、米国でドナルド・J・トランプ大統領が11月に再選できず、ジョー・バイデン政権などが成立してしまおうものなら、バイデン政権は再び日本に対し、「米韓同盟に配慮し、日本が原理原則を捻じ曲げて韓国に譲歩せよ」といった圧力をかけてくるかもしれません。

 バイデン自身はバラク・オバマ政権時代の副大統領として、2015年12月の日韓慰安婦合意を日韓両国に強要した疑いが持たれていますが、同じようなかたちで自称元徴用工判決問題や輸出管理適正化などについても、韓国の要求を呑むよう、日本側に要求する可能性があるのです。

 さらには、トランプ政権が続いたとしても、米中対立が激化するあまり、米国が韓国を自陣営に引き込むために、変な「アメ」を韓国に与える可能性もあります(3月に米国が締結した米韓為替スワップはその一例なのかもしれません)。

 このように考えていくと、日韓関係の膠着状態が長続きしてしまうと、日韓の「外側」から日本に対して国益に反した譲歩を強要する力学が働く可能性は否定できません。これこそ、当ウェブサイトでは『米中対立局面で日韓関係をあまり「放置」できない理由』で示した懸念事項なのです。

今後は「自爆」に期待?

 この点、韓国政府が昨日、「対日WTO提訴」を再び持ち出してきたわりには、「日韓GSOMIA(※)破棄」や「入国制限措置の無期限延長」などを持ち出さなかったことは、彼らなりの狡猾さを感じる点でもあります。

(※日韓GSOMIAとは『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』のこと。)

いうまでもなく、日韓GSOMIA破棄は米国からの制裁を喰らうリスクがある項目であり、また、日韓往来の制限は日本から韓国経済を支える技術者の流入が途絶えかねないという意味で、韓国に対する「セルフ経済制裁」となりかねない項目だからです。

 ただし、昨日は韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、こんな報道もありました。

再び「GSOMIA終了」カード手にする韓国…「日本の輸出規制議論に従って慎重に検討」


日本が韓国政府の輸出規制措置撤回を要求する「最後通告」を事実上黙殺し、韓国外交部は今後軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了のカードまで検討できると明らかにした。<<…続きを読む>>
―――2020.06.02 18:02付 中央日報日本語版より

中央日報によると、韓国政府外交部の報道官は2日の定例会見で、「(韓国政府は)GSOMIAの効力をいつでも終了させることができる」などとしたうえで、「輸出規制措置撤回議論の動向に従って(GSOMIA終了も)慎重に検討する予定」と述べたそうです。

 是非、その「カード」を手にしてほしいという気持ちもあります。

 もっとも、それは「カード」ではなく「自爆装置」ではないかと思う次第ですが…(笑)


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20200603-02/

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