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総選挙の争点は“コロナ”ではない

韓国紙セゲイルボ

未来をどう設計するかが重要

 第21代総選挙が4月15日に迫っている。しかし新型コロナウイルスのため選挙の雰囲気は過去いずれの時よりも冷え切っている。

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2日、ソウル市内で選挙運動を行う与党「共に民主党」選対委員長の李洛淵前首相(右)と最大野党「未来統合党」代表の黄教安元首相(共にEPA時事)

 各政党と候補者は国民の関心を引くために新型コロナ克服に関する政策や実績を知らせようと力を傾けている。代表的な例が災害支援金の支給政策やKバイオと呼ばれる診断キットの輸出実績についての大々的な広報だ。

 しかし、果たして新型コロナへの対応が総選挙で一番重要な争点だろうか。4年ごとの総選挙は今後4年間の大韓民国の方向を決定するものであり、ある意味ではそれ以上の長期間にわたるわが国の歴史を変える契機となり得る。それなのに、目前のコロナ対策、さらに災害支援金を誰にいくら与えるかということが、総選挙の結果に大きな影響を及ぼすことが果たして正しいのか。

 新型コロナ問題の深刻性を見過ごしてよいというわけではない。これに対する政策的対応の重要性も否定できない。ただし、総選挙はそれ以上の意味があるという点を見逃してはならないということだ。

 明らかなのは私たちの生活において新型コロナだけが重要ではないという点だ。インドではコロナ拡散を防ぐために全国民に3週間外出禁止措置を下したが、韓国ではコロナと戦う過程でも大部分の人々が職場に出勤して顧客に会って職業活動を継続している。

 彼らが感染の危険性を知らないわけでもないし、一部宗教団体の信徒のように「私だけは絶対感染しない」という盲信のためでもない。新型コロナの危険性にもかかわらず、職業活動を通じて家族を養い未来を切り開くことがより重要だと思うからだ。

 幸い新型コロナの感染力は非常に高いが、致死率は相対的に低い。その程度の危険を甘受することは、経済活動を諦めることで確実に予想される暗い未来よりはましだと考えているのだ。

 こうした状況にある私たちは今回の総選挙で何を基準として未来を選択するべきか。当面の新型コロナ克服も重要だが、その後の未来をどのように設計するかがもっと重要だ。病魔に襲われた世界経済の危機的状況にどう対応するか、長期間授業ができていない学校教育をどう補充するか、原材料需給の問題、素材・部品・装備(機器)の高い海外依存度問題と輸出多角化の必要性など、今回の事態で改めて確認された韓国経済の弱点をどのように補完するのか、そして何よりも、大韓民国の未来を設計する長期的なビジョンは何か…。

 歴代総選挙と同じく、今回の総選挙も大韓民国の未来を決める重要な分岐点となる。どんな選択をして、その結果を甘受するかは、主権者である国民の役割だ。

(車珍兒(チャジナ)高麗大法学専門大学院教授、4月6日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

コロナと反日で焦点外す与党

 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、韓国は国会議員選挙を敢行している。さぞや不便な運動を余儀なくされていることだろう。

 常識的に考えて、選挙は新型コロナ感染とその対策が最大の焦点となり、与党は政権側にいることを生かして感染症対策や経済再建策、また車教授が記事で指摘するように産業構造の転換など、焦点は無数にあると思うのだが、現実はそうではない。他の韓国メディアも伝えているように、与野党の争点が「コロナ」とともに「親日、反日」にあるというのだから呆(あき)れる。

 野党が「文禄・慶長の役」で国難を招いた王・宣祖を引き合いに文在寅政権を「無能」呼ばわりすれば、与党側は「土着倭寇」「親日勢力」とやり返す。この期に及んで、他国を軸に争点を立てるとは、よほど「主体」がない国と見えるのだが、それは与党の巧妙な焦点はずしであることを見過ごしてはならない。

 忘れてならないのは、与党が勝てば、この南北を急接近させたい左派政権が残り2年を使って、韓国に引き返し不能点を越えさせてしまうかもしれないということだ。今や政権を監視できる検察を骨抜きにし、憲法改正して大統領任期を延ばし、与党体制を継続して、金正恩労働党委員長を南に呼び、連邦制を模索していく。野党はこの目論見(もくろみ)こそ批判すべきなのに、「大韓民国の未来を決める重要な分岐点」を「反日」フレームと新型コロナで煙に巻かれていては、正しい判断ができないのではないかと心配になる。韓国民の選択を見てみる。

(岩崎 哲)

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