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「n番部屋」はポルノでなく性搾取物

韓国紙セゲイルボ

子供たちがネット性犯罪の餌食に

 「n番部屋」事件はテレグラムというドイツのインターネット交流サイト(SNS)を使って児童・青少年のわいせつ画像・動画を不法に流していた事件だ。これをポルノ(淫乱物)だと指摘する瞬間、私たちは売春を不法だと思わないように、n番部屋もやはり商業的に製作された、ありふれたポルノの問題程度に扱ってしまう。

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「n番部屋」事件容疑者の検察での陳述内容を大きく報じる韓国紙セゲイルボ=4月1日(同紙サイトより)

 しかし現実はずいぶん違う。被害者は大部分、本人の個人情報を不法に奪取されて、強制的にポルノ製作に参加せざるを得なくなる。あたかもボイスフィッシングのように各種誘引、幻惑、脅迫を通じて被害者を釣り針にかかった餌食にしてしまう。

 不法に獲得した映像物はインターネットという巨大な海の中で永遠に売買されることになる。初めは単純にきれいだという称賛だけで、あるいは小金を儲(もう)けてみようという目的で、または芸能人にしてやるという誘いに惑わされて、自身の写真や個人情報を送っただけなのに、最終的には携帯電話に保存された全ての情報を盗み取られ、被害者を現代版“奴隷”にするのだ。

 もちろん被害者のうちには成人もいる。だが、より一層悲惨な事態に陥るのは思慮分別が未熟な児童・青少年だ。些細な写真1、2枚、あるいは刺激的な対話の一言二言がもたらすゾッとする結末を想像すらできない子供たち、彼らが最大の餌食になるのだ。

 子供たちを誘引して獲得したわいせつ動画はネットで非常に高値で売れる。海外の小児性愛者も韓国の児童ポルノに心酔する。英米法国家の厳格な規準のため、自国での製作は夢想だにしない小児性愛者たちが、ネット強国の韓国人によってつくられた児童ポルノに首ったけとなる。

 最近、政府ではこのような事情を考慮して、児童青少年ポルノを新しく「性搾取物」と定義し、動画共有をはじめとするデジタル性犯罪防止に努めると発表した。ポルノでなく「性搾取物」と呼ぶ趣旨は非常に正しい問題意識だ。誘引、幻惑、脅迫されて犯罪にかかわる過程は、犯罪収益が分配される共犯となる過程ではなく、被害者になる経路であるためだ。

 国連の児童の権利条約は「あらゆる形態の性的搾取と性的虐待から児童を保護する」義務を明示している。児童を商業目的の売春に利用する行為だけでなく、児童を性的な視聴覚イメージの製作に活用する行為まで、すべて“性搾取”だと規定している。

 英米法国家の場合、児童の性搾取物を見るだけでも犯罪で、性的同意年齢未満の子供とチャットをするだけでも処罰を受ける。

 遅ればせながら韓国も18歳未満児童の性保護に関する国連の勧告に従うとの発表には勇気づけられる。ネット上の安全を図る組織を警察につくるという大統領の計画も時宜を得ている。

(李水晶京畿大教授、3月27日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

実態解明指示に韓国震撼

 新型コロナウイルスを上回る勢いで韓国を震撼させているのが、この「n番部屋」事件だ。ネットを通じて性犯罪の餌食にされる恐ろしさもさることながら、このサービスを受けていた“顧客”リストが公開されれば、社会的地位や家庭を失う人々が想像を超えて多く、韓国社会に衝撃を与えている。

 首謀者チョ・ジュビン容疑者の身元公開を求める国民の声が沸騰し、現在“晒(さら)しもの”にされているが、韓国民の「処罰感情」の強さを反映したものだ。その中で高名なジャーナリストとの関係が浮上してきて話題となっている。毎年ある雑誌の「最も影響力のあるジャーナリスト」に選ばれるJTBCテレビの孫石熙(ソンソッキ)社長だ。

 朴槿恵弾劾の口火を切った「崔順実(チェスンシル)事件」。その切っ掛けは崔氏のものだというタブレットを“スクープ”したことだったが、それを抜いたのが孫アンカー(当時)が率いるJTBCだった。後日、タブレット自体が捏造(ねつぞう)だったことが明らかになる。驚くべきことだ。ありもしないタブレット1台が大統領を椅子から引き摺り下ろしたのだから。

 さて、舌鋒鋭い孫社長のしどろもどろの釈明がネットで炎上。タブレットと違い、捏造ではないだけに、どう結着を付けるのか注目を集めている。

 警察が把握している被害者は未成年を含み74人。累計26万人が有料会員として閲覧していた。文在寅大統領は「会員全員の調査が必要」と事件の実態解明を指示したが、この指示に冷や汗をかいている青瓦台スタッフもいるのではないだろうか。

(岩崎 哲)

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