■連載一覧
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  • 米大統領選まで1年 トランプ政権の攻防
  • 2020/1/14
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  • 香港憤激 一国二制度の危機
  • 香港・中国返還20年 「一国二制度」の前途
  • 台湾に吹いた蔡英文旋風
  • ルポ・政権交代の攻防 台湾総統選
  • 二極化する香港 識者インタビュー
  • 香港誌「前哨」編集長 劉達文氏に聞く
  • 「雨傘革命」下の香港 揺れる一国二制度の行方
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  • 中国「一帯一路」最前線 バルカンに吹く風
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  • ドゥテルテ大統領就任から3カ月 どこへ向かう比政権
  • 香港「自治」の行方 識者に聞く
  • 中華圏に浸透する同性婚
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  • 日米同盟と台湾 海洋安全保障の展望
  • 蔡英文時代の台湾 本土派路線のビジョンと課題
  • ASEANの夜明け アジアハイウエー7000キロルポ
  • 緊張 南シナ海
  • 中央アジア胎動 中国「新シルクロード」と日本の戦略
  • “政熱経熱”の中韓
  • 新QDRと米中軍事バランス
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  • 新グレートゲーム・中国南進の海
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  • 新閣僚に聞く
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  • 憲法改正 ここが焦点
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  • 衆院選 自公圧勝 ~課題と展望~
  • ’14衆院選 注目区を行く
  • 第2次安倍改造内閣スタート
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  • '18沖縄県知事選ルポ
  • 歪められた沖縄戦史 慶良間諸島「集団自決」の真実
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第2部 自衛隊配備へ動く石垣島
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第1部 与那国島・陸自駐屯地
  • 激震・翁長県政 「オール沖縄」の凋落
  • 普天間基地移設 経緯の検証と提言
  • 「援護法」に隠された沖縄戦の真実
  • 2018/9/25
  • 2018/4/07
  • 2016/10/31
  • 2016/10/12
  • 2016/1/26
  • 2015/10/01
  • 2013/7/08
  • 何処へゆく韓国 「親北反日」の迷路
  • 金正恩体制を斬る 太永浩・元駐英北朝鮮公使に聞く
  • 迷走する北非核化
  • 平壌共同宣言の波紋
  • どうなる米朝首脳会談
  • 検証 南北首脳会談
  • どう見る北の脅威
  • 北暴走 揺れる韓国
  • どう見る北の脅威
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  • どう対処 北の脅威 米有識者に聞く
  • 9年ぶり左派政権 文在寅大統領の韓国
  • 弾劾の波紋 漂流する韓国政治
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  • どこへ行く混迷・韓国 国政介入事件の深層
  • どう見る金正恩体制 日韓専門家対談
  • 迎撃ミサイル配備 韓国の決断
  • 3代世襲“完成” 北朝鮮第7回党大会
  • 検証 元料理人 藤本氏の再訪朝
  • 韓国総選挙ショック
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  • 張成沢氏失脚 北で何が起きたか
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  • 待ったなし地球温暖化対策
  • 環境先進国フランスの挑戦
  • 迫る気候変動の脅威 どうする大災害への備え
  • 2016/1/02
  • 2015/10/07
  • 2015/9/21
  • 米中新冷戦 第2部 中国・覇権への野望
  • 米中新冷戦 第1部「幻想」から覚めた米国
  • 検証’18米中間選挙
  • 米国の分断 第3部 「自虐主義」の源流
  • 米国の分断 第2部 反米・容共の風潮
  • 米国の分断 第1部 断罪される偉人たち
  • 「米国第一」を問う トランプを動かす世界観
  • トランプのアメリカ 就任から1年
  • トランプVSリベラル・メディア
  • 「情報戦争」時代と米国
  • 米軍再建への課題-元上級将校の提言
  • トランプ政権始動
  • トランプ大統領の衝撃 米国と世界はどこに向かう
  • トランプvsヒラリー 米大統領選まで1カ月
  • オバマのLGBT外交 米国と途上国の「文化戦争」
  • トランプVSヒラリー 米大統領選まで3カ月
  • オバマ外交と次期米大統領の課題
  • 2016年米大統領選まで1年
  • 再考 オバマの世界観
  • オバマの対宗教戦争・第1部
  • オバマの対宗教戦争・第2部
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  • 安東 幹
    安東 幹
    共産党問題
    坂東 忠信
    坂東 忠信
    元警視庁北京語通訳捜査官
    古川 光輝
    古川 光輝
    保守国際派
    細川 珠生
    細川 珠生
    政治評論家
    井上 政典
    井上 政典
    歴史ナビゲーター
    伊勢 雅臣
    伊勢 雅臣
    「国際派日本人養成講座」編集長
    宮本 惇夫
    宮本 惇夫
    企業・経営
    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    北の金王朝で「金与正」時代は来るか

     北朝鮮で今、金正恩朝鮮労働党委員長が何らかの理由で急死した場合、同委員長の実妹・金与正さん(党中央委員会宣伝扇動部第1副部長)が実権を掌握し、北朝鮮で金王朝初の女性独裁者が誕生するのではないか、いや既に金与正さん(31)が実権を掌握している、といった、少々、せっかちな報道が流れている。その内容が事実か否か、残念ながら100%確信をもって答えることが出来る人はいないだろう。だから、噂、憶測、推測、独断などが溢れることになるわけだ。

    500

    VIP席の金永南最高人民会議常任委員長(当時)と金正恩氏の妹、金与正党第1副部長(右)

     「火のない所に煙は立たぬ」といわれるように、金与正さんが実兄の後継者になる、と囁かれる背景には、それなりの理由があるに違いない。金正恩氏は身長170センチ以下、130キロの体重を抱え、暴飲暴食で運動不足、その結果、狭心症だという噂があるからだ。金正恩氏の外観からそれは十分考えられるし、説得力はそれなりにある。心臓病の専門医がフランスから飛んできたという情報もその噂に一層、現実味を加えている。

     話を進める前に少し説明する。西側情報機関では、「北情報で長々と説明がついてくる情報は偽情報だ」といわれている。偽情報だから、その真実性を高めるために長々とした説明が必要となるため、偽情報はどうしても長くなる、というのだ。

    800

    韓国・平昌冬季五輪大会の開幕式(2018年2月9日、ドイツ公営放送の中継から)

     フランスは金王朝ファミリーの西側医療団の役割を果たしてきた。故金日成主席の時もそうだった。リヨン大学附属病院から心臓外科医が平壌に飛び、金日成主席の心臓手術をしている。金正恩氏の母、故金正日の高英姫夫人はフランスで乳がんの手術をしたという情報があるなど、フランスと北朝鮮との関係は“病が取り持つ深い関係”といった具合だ。

     ところで、今噂の中心にある金与正さんは、南北首脳会談や米朝首脳会談の舞台裏で兄金正恩氏の世話をしている姿が見られた。体調が良くない時やストレスでパニック症状を発する兄にタバコに火をつけてあげたり、耳元でそれとなく「大丈夫」と激励している。金正恩氏は実妹与正さんを信頼していることは間違いない。与正さんのように、金正恩氏から信頼を受けている人物は多分、北朝鮮指導部内にはいないだろう。

     だから金正恩氏に何かが生じた時、与正さんが一時的にその代理役を演じても不思議ではないが、幼い子持ちの母親で31歳の与正さんが朝鮮人民軍幹部や労働党幹部たちを掌握できるだろうか。与正さんが実権を掌握したとしても、それをサポートする強力な側近が欠かせられない。北朝鮮全土を掌握できるだけのパワフルなサポーターがいない限り、与正さん後継者論は少々非現実的だ。

     興味深い点は、昨年11月末から12月にかけ、金ファミリーでこれまで海外に島流しにされてきた2人の金ファミリーが平壌に戻ってきたことだ。1人は金平一前チェコ大使だ。故金日成主席と金聖愛夫人の間の長男だ。もう1人は金平一氏の実妹、前オーストリア金光燮大使の敬淑夫人だ。

     金正恩氏の叔父、叔母家庭は30代に入ったばかりの金与正さんに頼らなくとも、金王朝を継承できる家族だ。熟年であり、外交官としての経験などは豊富だ。特に、金平一氏の場合、その外貌が金日成に似ていること、軍キャリアを持っていることなどから、朝鮮人民軍幹部たちの間で久しく「ひょっとしたら、彼が……」と思われてきた人物だ。いずれにしても、労働党、人民軍の支援がない限り、政権は長続きできないから、金与正さんがたとえ、一時的に実権を握ったとしても、叔父、叔母の存在を無視できないはずだ。

     このコラム欄で「金正恩氏、出自コンプレックス克服?」(2020年1月28日参考)を書いた。それは金正恩氏だけに当てはまるのではなく、与正さんにもいえる。正恩氏も与正さんも父親は故金正日総書記だが、母親は在日朝鮮人の高英姫夫人だ。金王朝は「白頭の血統」がその権力維持を支える最大のセールスポイントだが、正恩氏も与正さんもその点、残念ながら欠けているのだ。

     上記の推測は、あくまでも金正恩氏が狭心病で倒れ、ベットの上の身になっているという前提だが、その前提が揺れてきている。朝鮮中央放送は16日、金正恩氏が故金正日総書記の誕生日(光明星節、2月16日)に合わせ故金日成主席と金総書記の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を参拝したと報じている。韓国聯合ニュースによると、「金委員長が公の場に姿を現したのは、先月25日の旧正月の記念公演以来、22日ぶり。北朝鮮が新型コロナウイルスの流入防止のため国家非常防疫体制を敷いた先月28日以降、初めてとなる」という。

     そのニュースが事実ならば、金正恩氏はベット上の身ではなかったわけだ。少なくとも、まだ生きている。一部の北消息筋は「彼は偽金正恩だ」というドッペルゲンガー説を主張するが、朝鮮中央放送が配信した写真を見る限り、金正恩氏は本物の可能性が高い(「北の“ヘア革命”とドッペルゲンガー」2015年11月23日参考)。

     金与正さんに北で初の女性指導者を期待する筋には忘れてはならない情報がある。金与正さんはヒロポン中毒だということだ。メタンフェタミン類の覚せい剤で中毒性は強い。北朝鮮は国内には麻薬問題はないと豪語してきたが、実際は社会の隅々まで麻薬中毒が広がり、大きな社会問題となっている。特に、労働党幹部の家庭で麻薬中毒が広がり、党幹部の2世、3世が中毒になっている。金与正さんもヒロポン中毒者だというのだ(「金正恩氏の妹、金与正さんの『欠席』」2019年4月27日参考)。

     金与正さんが突然、正恩氏の前から消え、その所在が不明、というニュースが過去流れたことがあった。与正さんが欠席したのは、妊娠のためではなく、麻薬中毒による副作用に悩まされ、職務履行が困難だったからだ。

     軍、党幹部たちはそのことを薄々知っているので、与正さんを金正恩氏の後継者に担ぎ上げることはないだろう。与正さんをマリオネット(操り人形)として担ぎ出し、実権を掌握したいと考える党、軍幹部はいるかもしれないから、もちろん「与正さん後継者説」は完全には排除できない。

     金正恩氏は昨年末、党中央委員会総会で「積極的、攻撃的な政治、外交、軍事的対応措置を準備する」と強調し、大幅な人事を実行する一方、慣例の「新年の辞」をとりやめている。その直後、中国武漢発の新型コロナウイルスが拡大し、北朝鮮はその感染拡大に怯えている。感染防止のために中国との国境を閉鎖せざるを得なくなった金正恩氏は政権掌握後、最大の危機に直面していることは間違いない(「武漢肺炎報道で露呈した北の『実力』」2020年2月1日参考)。

     国家存亡の危機に直面している国(北朝鮮)のかじ取りを率先して欲しがる人物がいるだろうか。賢い金与正さんのことだから、兄から後継者のオファーを得たとしても、やんわりと断るのではないか。沈みかけた船の船長に誰もなりたくないのだ。北朝鮮には目下、残念なことだが、満身創痍の金正恩氏しかいないのだ。

    (ウィーン在住)

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