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  • 再考 オバマの世界観
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    安東 幹
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    坂東 忠信
    坂東 忠信
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    古川 光輝
    古川 光輝
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    細川 珠生
    細川 珠生
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    井上 政典
    井上 政典
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    伊勢 雅臣
    伊勢 雅臣
    「国際派日本人養成講座」編集長
    宮本 惇夫
    宮本 惇夫
    企業・経営
    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    反日の「集団情緒」と米大使の口髭

     韓国の国民の中には「日本海軍の旭日旗を見ると、旧日本軍に支配されていた統治時代を思い出すから旭日旗の掲揚は止めるべきだ」と主張し、東京五輪大会では旭日旗の五輪会場持ち込み禁止を訴える人々がいる。

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    駐韓ハリー・ハリス米国大使(ウィキぺディアから)

     そして今度は2018年7月に駐韓大使として赴任したハリー・ハリス米国大使の口髭を見ると、「朝鮮総督時代を思い出すから不快だ」といって米大使の口髭に苦情を呈している。

     韓国の国民は「旧日本軍を思い出す」、「朝鮮統治時代を想起させる」と言って相手を批判する。客観的な事象や言動ではなく、対象から伝わる感情や情緒が「不快だ」、「気分が悪い」と言って顔を背けているのだ。

     当方は年末から年始にかけ、韓国でベストセラーとなった「反日種族主義」(李栄薫編)を読んでいる。その中で著者は、韓国民は韓国軍慰安婦や米軍慰安婦に対しては余り反発を感じないが、日本軍慰安婦となると途端に強い反発心が湧いてくると指摘し、「反日種族主義という集団情緒が作用するからだ」と分析している。慰安婦問題でも旧日本軍が絡まない限り、反発も激怒も出てこないのだ。李栄薫氏はそれを「ぎこちない不均衡」と表現している。

     旭日旗掲揚問題やハリス大使の口髭騒動もやはり「反日種族主義という集団情緒」の作用の結果ではないだろうか。ただし、慰安婦問題や元徴用工問題よりもっと深刻な問題だと感じるのだ。

     患者でいえば、慰安婦問題や元徴用工問題は明確な症状やその原因が診断できる内科・外科に通う患者に例えられる。投薬したり、外科手術すれば治癒するチャンスは出てくる。一方、旭日旗掲揚やハリス米大使の口髭問題は患者の情緒が問題だから、精神的な症状を呈している患者だ。精神安定剤など投薬で症状を軽くできるが、一時的な効果だけで完全な治癒には多くの時間がかかる。その意味から、当方は旭日旗掲揚問題やハリス米大使の口髭問題は慰安婦・元徴用工問題より深刻だと思ったのだ。

     ここではハリス米大使の口髭問題を少し考えてみたい。ハリス米大使は米国人と父親と日本人の母親の間で生まれたので、その外観は日本人のような印象を受ける。そのハリス大使は軍退役後、口髭を生やし出した。そして米国大使として韓国に赴任した。写真を見る限り、日本軍将校のような印象を受けたとしても不思議ではない。問題は、韓国民の一部から「米大使の口髭は朝鮮統治時代を思い出すから、不愉快だ」という声が出ていることだ。

     韓国では、情緒が先行すると他の全てのことが忘れさられてしまう傾向がある。「ハリス氏は米国大使だ」ということも忘れ、ハリス氏の容貌が問題視されるのだ。

     元徴用工問題や慰安婦問題でも情緒が先行するとどのような結果となるかを目撃してきた。1965年の日韓請求権協定が締結されたという歴史的事実、2015年12月、日韓外相会議で「最終的かつ不可逆的な解決を確認した」慰安婦問題日韓合意は忘れ去られてしまって、「日本側から心からの謝罪がない」といった情緒がその後、何度も飛び出す。

     安倍晋三首相が国際条約の維持を訴えたとしても、「集団情緒」が一旦作用したら国際条約や両国間の合意など眼中から消えていく。その集団情緒を恣意的に利用する韓国の政治家、活動家たちがその背後にあって国民を操作するわけだ。

     「不快だ」、「気分が悪い」といった感情、情緒が国の政策を左右すれば、国の政策は実施できなくなる。民主主義の成熟度が十分ではないからだ、といえるが、国際社会で生きていくうえではやはりマイナスだ。ハリス大使の口髭を「朝鮮統治時代の…」という理由で批判したり、中傷することは通常の民主国家では考えられない。

     「俺はあいつの顔を見ると、戦争時代を思い出すから不愉快だ」、「彼の喋り方は旧日本軍のようで圧迫感を与える」等々の苦情も飛び出すだろう。そのたびに、社会や政府がそれらの苦情に同調したり、連帯すれば、対外関係に支障が出てくるだろう。

     ところで、ハリス大使の口髭に対して国民やメディアから様々な中傷が飛び出しているが、文在寅政権は何も対応していない。それなりの理由はある。

     南北融和路線を推進する文在寅政権に対して、北の非核化を最優先にし、制裁解除はその後というトランプ米政権は明らかに一定の距離を置いている。米軍駐留費問題もまだ未解決だ。米韓の不協和音を一層高めたのは、ハリス大使が南北協力に関する文在寅大統領の発言に対し、「米韓で協議をしてからすべきではないか」と述べたことだ。それが伝わると、青瓦台(大統領府)は「主権国家の介入」、「南北協力は韓国政府が決定する事案で、干渉は不適切だ」といった強い反発が飛び出している。だから、ハリス大使が一部の国民やメディアからその口髭で攻撃されても、文政権は見て見ぬふりをしているわけだ。

     文大統領は多分、自身の南北融和路線を批判するハリス大使に「不快」を感じているのだろう。その点、文大統領は旭日旗掲揚やハリス大使の口髭に不快感を覚える国民と似ている。情緒が先行すると、ハリス大使が韓国の重要な同盟国・米国の大使だという事実を忘れてしまうのだ。

     なお、ハリス大使は記者会見で自身の口髭について「髭を剃る考えはない」と答えたという。

    (ウィーン在住)

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