■連載一覧
  • 台湾総統選 吹いた蔡旋風
  • アメリカの選択 展望2020大統領選
  • 新春座談会 令和の外交と安保―待ったなし憲法改正
  • 米大統領選まで1年 トランプ政権の攻防
  • 2020/1/14
  • 2020/1/06
  • 2020/1/01
  • 2019/11/04
  • 2016 世界はどう動く-識者に聞く
  • 戦後70年 識者は語る
  • 2015 世界はどう動く-識者に聞く
  • 2014 世界はどう動く
  • 2016/1/04
  • 2015/8/09
  • 2015/1/07
  • 2014/1/06
  • 香港憤激 一国二制度の危機
  • 香港・中国返還20年 「一国二制度」の前途
  • 台湾に吹いた蔡英文旋風
  • ルポ・政権交代の攻防 台湾総統選
  • 二極化する香港 識者インタビュー
  • 香港誌「前哨」編集長 劉達文氏に聞く
  • 「雨傘革命」下の香港 揺れる一国二制度の行方
  • 揺れる香港 各派リーダーに聞く
  • 香港の普選運動 親中派民間団体代表の見方
  • 2019/7/04
  • 2017/7/01
  • 2016/1/18
  • 2015/12/26
  • 2015/7/12
  • 2014/11/21
  • 2014/11/14
  • 2014/11/06
  • 2014/7/08
  • 中国「一帯一路」最前線 バルカンに吹く風
  • 危機のアジア 識者に聞く
  • 南シナ海 強まる中国支配 安保専門家に聞く
  • ドゥテルテ大統領就任から3カ月 どこへ向かう比政権
  • 香港「自治」の行方 識者に聞く
  • 中華圏に浸透する同性婚
  • 中台関係の行方
  • 日米同盟と台湾 海洋安全保障の展望
  • 蔡英文時代の台湾 本土派路線のビジョンと課題
  • ASEANの夜明け アジアハイウエー7000キロルポ
  • 緊張 南シナ海
  • 中央アジア胎動 中国「新シルクロード」と日本の戦略
  • “政熱経熱”の中韓
  • 新QDRと米中軍事バランス
  • 新グレートゲーム・幻想だった中国の平和的台頭
  • 新グレートゲーム・中国南進の海
  • 2018/8/20
  • 2018/1/04
  • 2017/7/26
  • 2016/9/21
  • 2016/8/17
  • 2016/7/26
  • 2016/6/03
  • 2016/5/31
  • 2016/5/19
  • 2016/3/22
  • 2015/11/18
  • 2015/10/14
  • 2015/9/07
  • 2014/3/31
  • 2014/2/14
  • 2013/4/18
  • ムスリム同胞団とアラブ モハメド・F・ファラハト氏に聞く
  • 多難な年明けのトルコ
  • EUと難民 UNHCRウィーン事務所報道官に聞く
  • ロシアのシリア内戦介入 アルアハラム財団事務局長に聞く
  • 2017/9/01
  • 2016/1/30
  • 2015/12/11
  • 2015/11/13
  • 新閣僚インタビュー
  • 令和参院選 注目区を行く
  • 大阪G20サミット焦点
  • 地方創生・少子化対策 首長は挑む
  • 新閣僚に聞く
  • 懸案にどう挑む 第4次安倍改造内閣
  • 「赤旗」役所内勧誘の実態
  • 憲法改正 私はこう考える
  • 衆院選大勝 安倍政権への提言
  • 2017衆院選 国難と選択
  • 新閣僚に聞く
  • 第3次改造内閣 信頼回復へ始動
  • ’17首都決戦
  • 施行から70年 憲法改正を問う
  • どうなる「民共協力」 27回共産党大会の焦点
  • 蓮舫民進 疑問の船出
  • 新閣僚に聞く
  • 「立憲主義」について
  • 再改造内閣 始動
  • 安倍政権 新たな挑戦
  • 16参院選 注目区を行く
  • 伊勢志摩サミット
  • 憲法改正 ここが焦点
  • 筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談
  • 第3次安倍改造内閣スタート
  • 詳解 集団的自衛権 安保法制案の合憲性
  • 衆院選 自公圧勝 ~課題と展望~
  • ’14衆院選 注目区を行く
  • 第2次安倍改造内閣スタート
  • 日米首脳会談 成果と課題
  • 2019/10/08
  • 2019/7/11
  • 2019/6/24
  • 2019/6/12
  • 2018/10/25
  • 2018/10/04
  • 2018/3/30
  • 2018/2/15
  • 2017/10/25
  • 2017/10/16
  • 2017/9/07
  • 2017/8/06
  • 2017/6/27
  • 2017/4/26
  • 2017/1/09
  • 2016/9/17
  • 2016/9/02
  • 2016/8/22
  • 2016/8/04
  • 2016/7/12
  • 2016/6/30
  • 2016/5/23
  • 2016/4/25
  • 2016/4/04
  • 2015/10/08
  • 2015/8/06
  • 2014/12/16
  • 2014/12/07
  • 2014/9/05
  • 2014/4/26
  • '18沖縄県知事選ルポ
  • 歪められた沖縄戦史 慶良間諸島「集団自決」の真実
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第2部 自衛隊配備へ動く石垣島
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第1部 与那国島・陸自駐屯地
  • 激震・翁長県政 「オール沖縄」の凋落
  • 普天間基地移設 経緯の検証と提言
  • 「援護法」に隠された沖縄戦の真実
  • 2018/9/25
  • 2018/4/07
  • 2016/10/31
  • 2016/10/12
  • 2016/1/26
  • 2015/10/01
  • 2013/7/08
  • 何処へゆく韓国 「親北反日」の迷路
  • 金正恩体制を斬る 太永浩・元駐英北朝鮮公使に聞く
  • 迷走する北非核化
  • 平壌共同宣言の波紋
  • どうなる米朝首脳会談
  • 検証 南北首脳会談
  • どう見る北の脅威
  • 北暴走 揺れる韓国
  • どう見る北の脅威
  • 北朝鮮 制裁の現実
  • どう対処 北の脅威 米有識者に聞く
  • 9年ぶり左派政権 文在寅大統領の韓国
  • 弾劾の波紋 漂流する韓国政治
  • 検証・金正恩統治5年
  • どこへ行く混迷・韓国 国政介入事件の深層
  • どう見る金正恩体制 日韓専門家対談
  • 迎撃ミサイル配備 韓国の決断
  • 3代世襲“完成” 北朝鮮第7回党大会
  • 検証 元料理人 藤本氏の再訪朝
  • 韓国総選挙ショック
  • 日韓国交正常化50年 識者に聞く
  • どうする拉致解決 日朝ストックホルム合意1年
  • 日韓国交正常化50年 「嫌韓」「反日」を越えて
  • 張成沢氏失脚 北で何が起きたか
  • 2019/7/18
  • 2019/2/19
  • 2018/12/26
  • 2018/9/26
  • 2018/5/23
  • 2018/5/01
  • 2018/2/13
  • 2017/9/21
  • 2017/9/19
  • 2017/6/26
  • 2017/5/17
  • 2017/5/11
  • 2017/3/15
  • 2016/12/27
  • 2016/12/05
  • 2016/8/24
  • 2016/7/20
  • 2016/5/10
  • 2016/4/29
  • 2016/4/15
  • 2015/6/22
  • 2015/5/11
  • 2015/2/05
  • 2013/12/10
  • 待ったなし地球温暖化対策
  • 環境先進国フランスの挑戦
  • 迫る気候変動の脅威 どうする大災害への備え
  • 2016/1/02
  • 2015/10/07
  • 2015/9/21
  • 米中新冷戦 第2部 中国・覇権への野望
  • 米中新冷戦 第1部「幻想」から覚めた米国
  • 検証’18米中間選挙
  • 米国の分断 第3部 「自虐主義」の源流
  • 米国の分断 第2部 反米・容共の風潮
  • 米国の分断 第1部 断罪される偉人たち
  • 「米国第一」を問う トランプを動かす世界観
  • トランプのアメリカ 就任から1年
  • トランプVSリベラル・メディア
  • 「情報戦争」時代と米国
  • 米軍再建への課題-元上級将校の提言
  • トランプ政権始動
  • トランプ大統領の衝撃 米国と世界はどこに向かう
  • トランプvsヒラリー 米大統領選まで1カ月
  • オバマのLGBT外交 米国と途上国の「文化戦争」
  • トランプVSヒラリー 米大統領選まで3カ月
  • オバマ外交と次期米大統領の課題
  • 2016年米大統領選まで1年
  • 再考 オバマの世界観
  • オバマの対宗教戦争・第1部
  • オバマの対宗教戦争・第2部
  • 2019/1/16
  • 2019/1/07
  • 2018/11/11
  • 2018/10/15
  • 2018/7/18
  • 2018/5/08
  • 2018/3/12
  • 2018/1/18
  • 2017/12/21
  • 2017/4/03
  • 2017/2/28
  • 2017/1/22
  • 2016/11/11
  • 2016/10/08
  • 2016/9/26
  • 2016/8/06
  • 2016/6/14
  • 2015/11/08
  • 2015/7/06
  • 2013/8/05
  • 2013/9/30
  • JAXA宇宙探査計画
  • 2015/12/24
  • 渥美 堅持
    渥美 堅持
    イスラーム専門家
    坂東 忠信
    坂東 忠信
    元警視庁北京語通訳捜査官
    遠藤 哲也
    遠藤 哲也
    元日朝国交正常化交渉日本政府代表
    蒲生健二
    蒲生健二
    アジア情報ブロガー
    服部 則夫
    服部 則夫
    元ベトナム大使
    石井 貫太郎
    石井 貫太郎
    国際政治
    河添 恵子
    河添 恵子
    ノンフィクション作家
    宮塚 利雄
    宮塚 利雄
    北朝鮮専門家
    中澤 孝之
    中澤 孝之
    ロシア問題
    丹羽 文生
    丹羽 文生
    拓殖大学海外事情研究所准教授
    太田 正利
    太田 正利
    外交評論家
    ペマ・ギャルポ
    ペマ・ギャル...
    チベット・中国問題
    佐藤 唯行
    佐藤 唯行
    ユダヤ人問題
    渡瀬 裕哉
    渡瀬 裕哉
    早稲田大学招聘研究員
    山田 寛
    山田 寛
    元読売新聞アメリカ総局長

    「日本は韓国に譲歩するべきである」論の盛大な勘違い

     またしても、日本国内で「国防上、日本は韓国に譲歩しなければならない」などとする主張が出て来ました。「地政学的に見て、日本にとって韓国は大事だから、日韓関係を破綻させないために日本は韓国に譲歩すべき」、というわけです。この主張、一見すると「ごもっとも」なのですが、じつは大きな勘違いです。というのも、「日本が韓国に譲歩したところで、韓国自身が日本(や米国)を裏切って中国、ロシア、北朝鮮のチームに移行しようとしているのだとしたら、結局日本が韓国に譲歩しても意味がない」、という、非常に重要な前提条件が抜けている点です。なにより、こうした「対韓譲歩論」の裏にあるのは、必要以上に日本の実力を過小評価する「謙遜」という悪しき文化ではないでしょうか。


    対韓譲歩論を眺める


    ●日韓関係が悪化した「理由」こそが大事
     「日韓関係は非常に悪い。」

     この点において、認識の違いはあまりないと思います。

     日本国内には保守派、左派など、さまざまな立場の人がいますし、そのことは韓国でも同様ですが、これらのうちどんな立場の人に尋ねてみても、現在の日韓関係が非常に悪いという点においては、認識の違いはないでしょう。

     ただ、「なぜ、日韓関係が悪化したのか」という理由を尋ねると、日本国内の左派や韓国国内の「有識者」(?)らは、とたんに言葉を濁して逃げてしまいます。だからこそ、当ウェブサイトでは「日韓関係悪化の理由」について、くどいほど繰り返すことにしているのです。

     改めて振り返っておくと、日韓関係の悪化は、ほぼ100%、韓国側が原因を作っています。

     現在の文在寅(ぶん・ざいいん)政権が成立する以前の問題に関して、ほんの一部を抜き出すと、


    ・日本領である島根県竹島を韓国が不法占拠している問題
    ・日本海の呼称を勝手に「東海」「韓国海」などと呼び換えている問題
    ・ソウルの日本大使館跡地前の公道上に慰安婦像が設置されている問題
    ・釜山の日本総領事館前の公道上にも慰安婦像が設置されている問題
    ・韓国で子供たちにウソの歴史を教えている問題
    ・韓国の政府、国民が一丸となって、全世界で日本を貶めている問題
    ・日本ブランドのイチゴなどを不法に持ち出して栽培するなどの知的財産権侵害問題


    など、いくらでも列挙できます。さらに、昨年秋口以降のもののうち、主要なものをリストアップすれば、次のような項目があります。


    ①旭日旗騒動(昨年9月頃~)
    ②自称元徴用工判決問題(昨年10月30日)
    ③レーダー照射事件(昨年12月20日)
    ④天皇陛下侮辱事件(2月頃)
    ⑤日本による韓国向けの輸出管理適正化措置(7月1日発表)
    ⑥慰安婦財団解散問題(7月頃)
    ⑦日韓請求権協定無視(7月19日)
    ⑧日韓GSOMIA破棄通告(8月22日)
    ⑨対日WTO提訴(9月11日)


    なお、これらのうち⑤については、韓国側ではなく日本側が取った措置ですが、これも別に日本が韓国に対して経済制裁などの目的で取ったものではありません。あくまでも韓国の輸出管理体制に大きな問題があったからこそ講じた措置であり、その意味で、やはり原因は韓国側にあります。

    ●日韓関係の落としどころは結局3つ

     つまり、韓国による日本に対する侮辱、名誉棄損、不法侵入、窃盗の類いは列挙していけばキリがないのですが、悪化した日韓関係の落としどころとしては、基本的には


    ①韓国が国際法や約束をきちんと守る方向に舵を切ることで、日韓関係の破綻を避ける
    ②日本が原理原則を捻じ曲げ、韓国に対して譲歩することで、日韓関係の破綻を避ける
    ③韓国が国際法を破り続け、日本が原理原則を貫き続けることで、日韓関係が破綻する


    のどれかしか落としどころはありません(※個人的には「④日本が韓国に対して国際法や約束を無理やり守らせるために、軍事面や経済面で制裁を加える」という選択肢があっても良いと思いますが、この点については本稿ではまだ議論しないことにしています)。

     こうしたなか、日韓友好論者が好むロジックは、だいたい次の2つでしょう。


    (A)日韓は太古の昔より一衣帯水の関係にあり、親戚のような関係にある。日韓はお互いを必要としており、世界の中で助け合わなければならない宿命にある。

    (B)日本にとって韓国は地政学的にみて、国防上、絶対に必要な場所であり、日本はどんなにコストを掛けても良いから、絶対に韓国との関係を悪化させてはならない。


     このうち(A)のロジックについては、個人的には「気持ち悪い」と感じてしまいますし、こうした個人的感情を抜きにしても、客観的に見て、歴史的にも文明的にも社会体制からしても日韓はまったく異なる国であり、かかるロジックが成り立つ余地はありません。

    以上より、本稿ではこの(A)説については取り上げません。

    ●保守の側が、「韓国に譲歩せよ!」

     ただ、問題があるとしたら、(B)のロジックです。

     実は、このロジックについては、「戦略家」と名乗る人たちのほか、一般に「保守派」と見られる人たちの間から、むしろ積極的に出て来ています。しかも厄介なことに、たいていの場合は、「もし韓国が中国や北朝鮮と結託すれば、日本の安全保障にとって重大な脅威となる」、という脅しとセットです。

     たとえば、一般に「保守派の論客」と見られる人物が、韓国による日韓GSOMIA破棄騒動を巡って、「韓国を敵陣営に回して良いのか」だの、「安倍政権は読みが浅い」だのと舌鋒鋭く安倍政権を批判したことについては、『「日韓GSOMIA破棄は安倍外交の失敗」という珍説』でも確認しました。

     また、当代一流の国際戦略評論家の方が、「韓国に親日派・親米派政権ができるようにしなければならない」などと述べたという事例を『「日韓関係悪化は中国を利する」、その何が問題なのですか?』でも紹介しました。

     この2つの事例は、「保守派の有識者(?)のなかには、日韓断交などあり得ないと考えている人がいる」という有力な証拠でしょう。

     (※もっとも、この2つの事例のうち、とくに前者に関しては、韓国が打ち出した「日韓GSOMIA破棄」が単なる瀬戸際外交であるということを読み解けなかった時点で、「読みが浅い」としか言いようがないと思うのですが、この点については敢えて突っ込まないことにします。)

     この「日本にとって韓国は地政学的にみて、国防上、絶対に必要な場所であり、日本はどんなにコストを掛けても良いから、絶対に韓国との関係を悪化させてはならない」とする命題が正しければ、日韓関係の帰結は先ほどの3類型でいうところの②、すなわち、

     「日本が原理原則を捻じ曲げ、韓国に対して譲歩することで、日韓関係の破綻を避ける」

    しかあり得ません。

    だからこそ、日本がどんなに韓国の振る舞いを不快だと感じたとしても、日本は我慢して韓国と付き合って行かねばならないのですし、国としてのプライドをかなぐり捨て、原理原則を捻じ曲げて韓国に譲歩したとしても、国としての安全保障という点では、背に腹は代えられない、というわけですね。

     だからこそ、先ほどのような「何としてでも韓国を日米陣営に留めておかねばならない」、という議論が出てくるわけです。

    佐々木俊尚氏の「対韓譲歩論」

    ●「落としどころの見つからない日韓問題」とは?

     さて、一昨日はニッポン放送のラジオ番組『飯田浩司のOK! Cozy up!』にジャーナリストの佐々木俊尚氏が出演し、安倍総理による今月23日からの訪中などについて解説されたようです。

    ■日韓問題~日本は韓国に譲歩するべきである(2019/12/04 12:10付 ニッポン放送より)
    (※いちおう、リンク先記事は有料会員登録などをしなくても読めるようですが、期間限定という可能性もありますので、ご注意ください。)

     佐々木氏は冒頭で、「落としどころの見つからない日韓問題」と称して、次のように述べます。


    日韓問題の落としどころが見つかりません。徴用工問題の解決策として、韓国側からは慰安婦問題のような基金をつくり、日韓折半という話がありますが、日本政府としては、これは飲めません。韓国の動きを見ていると、最高裁が判決を出しているからということなのだけれど、国内で出した判決が条約より上になるのかと言うと、ならないわけですよ。そうすると本来的にはロジックではなく、結局のところ韓国は面子なのかなと思いますよね。とは言え、日本政府も面子で語っている人は多いです。


     いきなり冒頭で間違っていますね(笑)。

     日本が自称元徴用工問題の「基金方式による解決」について「飲めない」のは確かですが、それは「メンツの問題」ではありません。ここで韓国の国際法違反を放置してしまうと、今後、日本企業はまともに韓国でビジネスができなくなってしまうからです(つまり、「法律の問題」)。

     ただ、この点に関する佐々木氏の勘違いについては敢えてスルーし、それ以外の議論を追いかけていきましょう。佐々木氏はこの自称元徴用工の問題と地政学の問題を絡め、次のように主張しています。


    「面子で言い出すと決着がつかないので、本来ロジックで議論すべきです。韓国はGSOMIA問題では踏みとどまりましたが、一方ではアメリカが懸念している通り、韓国は中国寄りに落ちています。」


     ここでいう「ロジック」とは、おそらく先ほども紹介した、「韓国は日本にとって、地政学的には死活的に重要な国だから、いかなるコストを払ってでも韓国を海洋勢力に留めておくべき」とする議論と似た考え方でしょう。

    ●半島情勢は不安定、だがしかし…

     佐々木氏のロジックは、こうです。


    ・最近のクリミア半島、第一次大戦直前のバルカン半島などの例に見るとおり、半島は常に中途半端な位置に立たされ、火薬庫になりやすい

    ・この状態は、中国・ロシアという「陸の国」と、アメリカ・日本という「海の国」が対立する場所にある北朝鮮や韓国といった朝鮮半島も同じだ

    ・地政学的には、日本は韓国にある程度譲歩する必要がある


    …。

     このロジックの運び方、先ほども紹介した、自称保守派の論客などの議論の運び方と、まったく同じであることにお気づきでしょうか。

     確かに歴史上、半島は火薬庫になりやすいという性質があります(※もっとも、クリミア半島の場合は天然の良港に乏しいロシアにとって地政学的に重要だ、という側面がありますので、バルカン半島や朝鮮半島の事例とは異なると思いますが…)。

     また、朝鮮半島が、常に「異なる勢力がぶつかり合う場所」にあることも事実でしょう。

     というよりも、古代から朝鮮半島は、日本が中国とぶつかり合う場所でしたし、近代以前に発生した大規模な対外戦争のほとんどが朝鮮半島と関わっています(たとえば古代の「白村江の戦い」、鎌倉時代の元寇、豊臣秀吉の朝鮮出兵など)。

     また、明治期以降も日清・日露戦争のきっかけを作ったのが朝鮮半島の国家(朝鮮王国、ないしは大韓帝国)でしたし、朝鮮半島を併合したら併合したで、今度は中国の政治が不安定になり、日本は満州の権益を守るために再び戦争に巻き込まれていくことになったのです。

     その意味で、佐々木氏が主張する「朝鮮半島は不安定になる宿命にある」という点は、ある意味では正しいと言えます。

    ■※余談


     余談ですが、細かいことを申し上げれば、「半島だったら自動的に不安定になる」というわけではありません。実際、「半島国家」であってもトルコのように国としてのアイデンティティや国力がしっかりしている国の事例もあるからです。

     ただ、朝鮮半島に関して言えば、歴代の朝鮮王国や大韓帝国、あるいは現在の韓国の場合、そもそも国家としての芯もなく、アイデンティティすらまともに確立できておらず、国王や皇帝、大統領らにまともな統治能力もないため、あっちにフラフラ、こっちにフラフラするのは当然のことです。

     したがって、韓国がフニャフニャした国だからこそ、中国・ロシアの「大陸勢力」と日本・米国の「海洋勢力」がぶつかり合う場所になってしまうというのは仕方がない話であり、この限りにおいて、佐々木氏の議論は正しいといえます


    ●地政学的には、日本は韓国にある程度譲歩する必要がある
     ただ、残念ながら、先ほどの佐々木氏の三段論法に出てきた「結論部分」(たとえば、次の発言)には、まったく同意できません。


     「半島は火種になりやすい場所なのです。それが繰り返されていて、韓国が陸側に行くのか海側に来るのか。日本としては陸側に行ってしまったら、得することはありません。中国・ロシア・アメリカ・北朝鮮に囲まれていて、日本と韓国だけおとなしくしていたのに、その韓国が向こう側に行ってしまったら、日本は完全に孤立して中国・ロシアに向き合わなければなりません」


     そもそも論として、日本は海洋勢力ですから、日本が自主防衛力を整備し、さらに日米同盟を強固に維持していれば、極端な話、日本の安全保障にとっての要所要所だけをしっかり防衛すれば済む話です。

     「日本の安全保障にとっての要所要所」とは、たとえば北海道の宗谷岬、根室半島・知床半島付近、台湾海峡などのことであり、もし韓国が「敵対勢力」になってしまったとしても、この「要所要所」に対馬海峡が加わるだけの話です。

     といっても、防衛装備を整えたり、自衛隊や在日米軍基地を再編したり、有事法制を検討したりする必要がありますので、今日や明日にでも日韓関係が破綻し、「韓国があちら側に行ってしまう」という事態が生じてしまうのは、確かに困りものです。

     しかし、あたかも韓国が永遠に日本の味方でなければならないかのような言い草には、とうてい賛同することなどできないのです。

    本質は「反米」?

    ●韓国の反日は、ある意味で当然

     この佐々木氏の議論を見ていて感じるのは、「永遠に韓国が日本の味方であるべきである」という前提を置いてしまっているのではないか、という懸念です。

     誤解して欲しくないのですが、当ウェブサイトとしては、「今すぐ日韓断交するという事態は避けねばならない」と考えていますし、その意味で、韓国政府が11月22日に日韓GSOMIA破棄を土壇場で避けたことは、日本の安全保障にとっては非常に良いことだったといえると思います。

     ただし、日本が韓国とお付き合いするうえでは、自称元徴用工判決のような不法行為を、これからも常に韓国が日本に対して仕掛け続けるということを想定しなければなりません。なぜなら、「反日」自体が韓国国内を貫く非常に便利なアイデンティティだからです。

     というよりも、韓国という国自体、日本が敗戦してタナボタ式にできてしまった国であり、韓国の独立は韓国人が自力で戦って得たものですらありません。歴史にIFはありませんが、もし日本が第二次世界大戦に敗戦していなければ、いまでも韓国(というか、朝鮮半島)は日本領だったのではないでしょうか。

     このように考えていくならば、韓国が反日になるのも当然の話です。正しい歴史を学んでしまえば、自分たちが「アメリカ合衆国に独立させてもらい、北朝鮮などの侵略からも守ってもらった」だけの、非常に情けない国であるという事実に向き合わねばならないからです。

     だからこそ、「自力で戦って独立した」という誇りを持つために、無理やりに「悪辣な外国支配」というありもしない歴史をでっち上げるしかなく、しかも、長年の宗主国だった中国を敵に回すのは怖いので、必然的に手近な日本を敵にして溜飲を下げているだけの話です。

     もっとも、このことは個人的には哀れだと思いますが、韓国が主張するウソに対してまで、日本がマジメにお付き合いする義理はないでしょう。

    ●「反米国家」としての本質を現し始めた韓国

     さて、もっと本質的なことを申し上げましょう。

    当ウェブサイトなりの見立てだと、現在、韓国には少なくとも2つの政治勢力が存在しています。それは、


    ・右派:親米、用日、恐中、反北
    ・左派:反米、反日、親中、親北


    です。

     つまり、右派であっても左派であっても、日本に対するスタンスの基本については「純粋な反日」なのか、「都合よく利用しつつ反日」なのかという違いはあれど、「反日」という点は変わりませんし、また、中国に対するスタンスも「反中」ではないという点も同じです。

    なお、「右派」(あるいは「保守派」)も、「反北」といいながら、べつに北朝鮮に対して毅然と反撃しているわけではありません。

     一般に「保守政権だった」と見られている李明博(り・めいはく)政権時代に発生した、北朝鮮による韓国艦「天安」の撃沈事件(2010年3月)、延坪島砲撃事件(2010年11月)に際しては、韓国は北朝鮮に対し、ほとんど反撃していません。

     むしろ、李明博大統領(当時)は、日本からは総額700億ドルの通貨スワップ協定を引き出し(2011年10月)、返す刀で野田佳彦首相(当時)に対して慰安婦問題を蒸し返し、さらに2012年8月には竹島上陸や天皇陛下(当時)侮辱でスワップを「食い逃げ」したほどの人物です。

     また、李明博政権の後を継いだ朴槿恵(ぼく・きんけい)前大統領に至っては、野田佳彦前首相に代わって政権を担うことになった安倍晋三総理大臣による日韓首脳会談の呼びかけを徹底的に無視。

     それどころか、2015年には安倍総理の米上下両院議会合同演説を邪魔しようとしたり、日本のユネスコ世界遺産登録を妨害しようとしたりするなど、「保守派政権」でありながらも「反日」を前面に押し出した、奇特な政権でもあったのです。

     そして、現在の文在寅政権は、その本質は「反日」というよりも「反米」です。

     8月22日に韓国が打ち出した日韓GSOMIA破棄騒動も、結局は日韓関係にかまけて米韓同盟を終わらせようとする目的も含まれていたのではないでしょうか。

    ●「中国の核の傘」、正気か?

     その本質がわかるのが、韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)に掲載された、次の記事です。

    ■文正仁特別補佐官「在韓米軍が撤退したら中国が核の傘を提供すればどうか」(2019/12/05 09:25付 朝鮮日報日本語版より)


     朝鮮日報によると、文正仁(ぶん・せいじん)大統領特別補佐官は4日の国際会議で、次のように発言したのだとか。


    「もし北朝鮮の非核化が行われていない状態で在韓米軍が撤退したら、中国が韓国に『核の傘』を提供し、その状態で北朝鮮との交渉をする案はどうだろうか」。


     当ウェブサイトでは、文在寅政権が日韓GSOMIA破棄を打ち出した理由について、可能性が高いのは①日本の輸出管理適正化措置を撤回させることと、②日米韓3ヵ国協力を破綻させることのいずれかだと考えているのですが、この文正仁氏の発言は、②の仮説の正しさの証拠です。

     「韓国が中国の核の傘に入る」ということは、北朝鮮とともに中国の属国となる、という可能性が非常に高いでしょう。なぜなら、もし韓国が中国の「核の傘」に入るならば、その前提として韓国からは在韓米軍は撤収しているということですし、米韓同盟も事実上、反故にされているということだからです。
     そして、もし韓国が米軍の勢力圏から脱していたとしたら、北朝鮮は中国にとって、米軍駐留地域との「緩衝地帯」としての価値を失います。中国がその気になれば、中国はいつでも北朝鮮から核を取り上げ、南北朝鮮を揃って属国化することができるのではないでしょうか。

     (※もっとも、北朝鮮が中国になびかず、電撃的に米国(や日本)と和解するという「クロス承認」シナリオが実現した場合は、話がかなりややこしくなりますので、これについてはできれば近日中、別稿にて議論したいと思います。)

    緩衝地帯より突っ張り合いを

     さて、いつもの当ウェブサイトとしての主張を、改めて提示しておきたいと思います。

     そもそも韓国は、日本にとって友邦となってくれる国ではありませんし、もし日本が中国やロシアと軍事的に対立し、抜き差しならない状態になったとしても、日本を助けてくれることはないでしょう。

     それどころか、韓国を日本の「味方」につけておけば、韓国お得意の「コウモリ外交」によって、日本の大事な情報を中国やロシアなどに流してしまうことで、却って日本の立場を危うくすることにもつながりかねません。

    ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

     もちろん、日本の対馬から目と鼻の先にある朝鮮半島が中国人民解放軍(あるいはロシア軍)の駐屯地になってしまえば、日本の安全保障にとっては新たな脅威が発生することは事実でしょう。

     ただ、もうひとつ見逃せないのは、中国やロシアは歴史上、日本と単独で戦って勝ったことがない国である、という事実です。私たち日本人は、中国やロシア(や米国)が本音では日本のことを恐れているのに気付いていません。この点は私たち日本人が日本のことを過小評価している点で生じる錯誤です。

     謙遜は良い文化だとされますが行き過ぎた謙遜は自信喪失にもつながり、「日本単独で中国やロシアに対抗できない」という気持ちが芽生え、不安心理から「何としても韓国を味方につけておかねばならない」という発想につながってしまうのです。

     しかし、いっそのこと「いずれ韓国は名実ともに敵対国になる」という前提で、表面上は日韓関係の破綻を極力先送りしつつも、いずれ日韓関係が破綻したときに、日本がきちんと対馬海峡を防衛して行ける体制を作り始めることが、現在の日本に求められているのです。

     そのためには、まずは日本国内で国防の議論を妨害している勢力を駆除して行かねばならないでしょうし、必要な財政出動を妨害している霞ヶ関の抵抗勢力を退治しなければなりません。

     (※もっとも、「日本国内の敵を一掃する時間を稼ぐために、日韓関係を破綻させない」、という主張であれば、当ウェブサイトとしては全面的に賛成したいと思う次第です。)


    「新宿会計士の政治経済評論」より転載
    https://shinjukuacc.com/20191206-02/

    10

    コメント

    コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。