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なぜ“GSOMIA外交”は失敗したか

韓国紙セゲイルボ

米の意中読み間違え独断に陥る

 最近3カ月の間、終了宣言から始まって条件付き延期で幕を下ろした韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)事態は韓国外交史の汚点として記録されることは間違いない。

エスパー米国防長官(左)と鄭景斗国防相

11月15日、ソウルで記者会見するエスパー米国防長官(左)と韓国の鄭景斗国防相(EPA時事)

 大統領府は米国の世界戦略においてGSOMIAが占める意味と比重を読み間違えて、災いを膨らませたという批判を免れるのは難しい。

 外交界ではGSOMIA誕生に米国が決定的な役割を果たしたというのが定説だ。米国は李明博政権の頃からGSOMIA締結を要求してきたが、世論の反対でいつも失敗に終わった。朴槿恵政権になり、2016年の弾劾政局の間隙を縫って、閣議で何とかGSOMIAを通した。

 中国を封じ込めようとする米国のインド・太平洋戦略は韓米日3角安保協力が核心で、GSOMIAがその3角協力を支える。米国がGSOMIAに精魂を込めたのはそのためだ。こうした事情にもかかわらず韓国政府はGSOMIA終了宣言を強行した。日本が信頼毀損(きそん)を理由に輸出規制など経済報復措置を加えたので、そのような国とは敏感な軍事情報を交換できないという論理だった。

 鄭義溶大統領府国家安保室長は、「(GSOMIAは)韓日が解かなければならない問題で、韓米同盟とは全く関係ない」と語り、金鉉宗国家安保室2次長は、「米側と随時疎通し協議した」と主張した。しかし誤った判断の代価は過酷だった。

 米ホワイトハウスと国務省、国防省が代わる代わる激しく批判した。終了が近づくと、米国の国防長官、統合参謀本部議長、インド太平洋軍司令官、国務次官補(東アジア太平洋担当)などが続々と訪韓して類例のない圧迫を加えた。在韓米軍撤収まで議論される状況だった。

 米国発のとどめの一発まで炸裂した。米国務省は、「GSOMIAを更新する韓国の決定を歓迎する」として“条件付き終了延期”という大統領府の発表を無力化した。

 デービッド・スティルウェル国務次官補は、GSOMIA延期と防衛費分担金交渉を連係するのは「合理的でない」と脅しをかけた。頬を打たれて金まで払わなければならないところだ。

 日本は「完全な勝利」と意気揚々としている。安倍晋三首相は、「何も譲歩していない」と述べ、梶山弘志経産相は、「対話再開以外に合意したことはない」と言い放った。

 ところで韓国は何を得たのか。GSOMIA事態は反日自主路線などの独断的な理念と情勢判断の誤りがもたらした外交の失敗といっても過言ではない。文大統領はGSOMIA事態の責任を厳しく問い質して外交安保チームを交代させ、失われた対日・対米外交力を復元するべきだ。

(朱春烈(チュチュルリョル)論説委員、11月28日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

“外交惨事”の総括と処断は?

 「日本の完勝」だった。これは客観的に見ても正しい。しかし外交ではそれを言っていいのだろうか。また、日本の精神や情緒とも合わない。あえて苦言を呈すれば、「ノーサイド」にしておくべきだった。

 柔道で勝った喜びを炸裂させたり、相撲でガッツポーズをとることは日本では敗者への配慮、尊重を欠いたみっともない振る舞いとして戒められている。

 「外交では違う」のかどうかは知らないが、相手を挑発していいことはない。誰が見ても「何一つ譲歩したものはない」のは明白なのだから、緩めず原則を貫いて粛々と外交を続けて行けばいいだけだと思うのだが。

 韓国は自分がぶら下がっている命綱を自ら切ろうとして、綱を支えている日米を脅迫したようなものだ。これほどの“外交惨事”は近年見たことがない。文在寅大統領支持派ならいざ知らず、まともな韓国世論はいかに大統領府が無茶なことをしているかを十分に知っていたし、この結末も予測していただろう。この記事はそうした世論を反映している。

 自ら「ツートラック」(外交・政治と経済等を分ける)を掲げながら、経済に安全保障という、もっとも持って来てはならない分野で対抗するという愚策を強行した。大統領府秘書陣の責任は大きい。その総括と処断ができないとすれば、文政権はまだまだ外交惨事を続けることになるだろう。これについては「ノーサイド」はない。

(岩崎 哲)

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