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老後の準備

韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 子游(孔子の弟子、十哲の1人)が師である孔子に尋ねた。「孝とは何ですか」。孔子はこう答えた。「今日、孝は父母をよく養うことをいうが、犬や馬もよく養っている。敬う心がなければ何をもってこれらを区別するというのか」。孝は恭敬(敬う)の心をもって養うことだという意味だ。孝は命のように大切に思う“不変の価値”だった。

 君主も老人に心を配った。「耆英会」。二品(朝鮮の官職は正一品から従九品まで18階級に分かれていた)以上は70歳、正三品は80歳以上の元老を呼び集めて、王が尊敬の心を込めて催す宴のことだ。「耆老宴」ともいわれた。80歳以上の漢城府(今のソウル中心部)の老人を王宮に招いて宴を催したりもした。これを養老宴という。耆英会と養老宴は孝の道の綱紀を立てる政治的な行事だ。

 中宗(朝鮮第11代王)23年、西暦1528年12月20日、経典の御前講義の席でその問題が討論された。この時、中宗はこう語った。「近ごろ凶作となって災害が続き、すべての祝宴をやめさせていたが、耆英と養老の礼を廃止してから久しいので再び挙行しなければならない」。凶作がどれだけひどかったのか推して知るべしだ。『中宗実録』の記録によると、中宗23年2月、「民が飢饉で苦しんでおり、迷惑になるのではないかと王は御陵に参拝することができなかった」。民が飢餓で苦しむ状況のためあらゆる形式的な儀式は廃止したが、状況がよくなると孝の儀式から復活させた。

 現在は事情が異なる。核家族時代に孝は古い経典ぐらいで見る古い単語に変わった。老人は増えている。わが国は“老いた国”に変わりつつある。昨年、高齢社会に入り、今は100人に14人が老人だ。6年後の2025年には同20人、35年には同29・5人、60年には同43・9人に増加するという。長寿は祝われれなければならないことだ。それにもかかわらず、個人を見ても、社会を見ても、どのように暮らしていくか、どのように扶養していくかという心配だらけだ。

 統計庁の調査結果、19歳以上の人口のうち35%は「老後の準備をしていない」という。60歳以上の高齢世代では、この比率はもっと高く、44・7%が対策なしだ。どんな意味が込められているのか。老人たちの絶望感がにじみ出ている。子供たちからよく養われることなどは、期待しがたい。伝統的な価値が崩れた人生100歳時代。その陰は濃い。

 (11月26日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

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