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GSOMIA延長/日米振り回したドタバタ劇

 韓国・文在寅政権が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄する従来の方針を協定失効直前の土壇場で一転させ、延長すると発表した。これで北朝鮮や中国など北東アジアの安全保障を脅かす国々に対し、日米韓3カ国による効率的な防衛連携が維持されることになったのは幸いだ。

 そもそも協定破棄を言い出した韓国の狙いは、戦略物資をめぐる日本の対韓輸出運用見直しや輸出優遇対象国からの韓国除外を徴用工判決に対する日本の「経済報復」とみなして喧伝し、これらの措置を撤回させるよう日本だけでなく米国にまで働き掛けることにあったと言われる。

 だが、韓国の目論見は外れ、逆に日本は経済と安保の別次元の問題だとして最後まで応じず、協定の戦略的価値を重視する米国からはその維持へ強い圧力を受けた。結果的にこうした日米の毅然とした態度に方針転換を余儀なくされたのが実情だろう。

 懸念されるのは協定延長が日韓関係改善の契機になるか不透明な点だ。韓国政府は「いつでも協定を破棄できる」とし、一部の韓国メディアは事実と異なる「条件付き延長」と報じてあたかも日本から「経済報復」の解除を引き出せるかのような印象操作に走っている。来年4月に総選挙を控え、日本に屈服した形だけは避けたい思惑がのぞく。

 韓国が協定延長を決断したことは歓迎すべきだが、徴用工判決とそれへの対応など日韓関係悪化の根本原因を直視しないまま安保の枠組みを対日カードに使い、結局は振り上げた拳の下ろし所に困る自作自演の「反日」ドタバタ劇で周辺国を振り回した感は否めない。

 今回の騒動で米韓同盟が揺らいだとの見方もあり、一部では在韓米軍の縮小・撤退論も浮上している。最優先課題の安保維持へ韓国を日米側に引き留める努力が不可欠となりそうだ。
(編集委員・上田勇実)

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