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  • 乾 一宇
    乾 一宇
    元防衛研究所研究室長
    茅原 郁生
    茅原 郁生
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    濱口 和久
    濱口 和久
    防衛レーダー
    高永喆
    高永喆
    拓殖大学客員研究員
    新田 容子
    新田 容子
    サイバー安全保障
    岡田 真理
    岡田 真理
    フリーライター
    杉山 蕃
    杉山 蕃
    元統幕議長
    竹田 五郎
    竹田 五郎
    元統幕議長
    田村 重信
    田村 重信
    元自民党政務調査会審議役
    吉川 圭一
    吉川 圭一
    グローバル・イッシューズ総合研究所代表

    北朝鮮の瀬戸際外交が失敗すると乞食外交

    ■米朝実務者協議が行なわれたが

     スウェーデンで10月5日、米朝実務者協議が行われた。北朝鮮は「アメリカが手ぶらで来た!」と怒り、アメリカは「良い議論が出来た」と相反する結果に終わった。これはアメリカが北朝鮮の手口を知っているので、非核化交渉を強気で継続できる。北朝鮮は派手なことをしているが、アメリカは北朝鮮の手口はお見通しなのだ。

    ■泣かされるアメリカ

     米朝実務者協議の前に、北朝鮮は潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)を発射。北朝鮮は瀬戸際外交の道具としてSLBMを発射。瀬戸際外交は相手国にコストが合わない小さな戦争を売付け、相手国に戦争回避目的の譲歩をさせる策。

     過去のアメリカ大統領は北朝鮮の瀬戸際外交に泣かされた。アメリカは北朝鮮と戦争すれば勝てる。だが戦争すれば隣国ロシア・中国が北朝鮮を支援する。そうなれば戦争は長期化。しかもアメリカの国益としてはコストが合わない。

     ペルシャ湾であればアメリカの国益になる。だが北朝鮮の位置では国益として戦争するには価値が低いのだ。だから北朝鮮が瀬戸際外交を行うと、アメリカは見返りを提供。これで一定期間、北朝鮮を静かにさせた。

    ■北朝鮮の潜水艦とSLBM

     北朝鮮はSLBMを発射可能な潜水艦を保有している様に見える。北朝鮮がSLBMを発射したのは事実だが、潜水艦から発射した証拠はない。実際にアメリカは海上プラットフォームからSLBMを発射したと発表。

     潜水艦は軍事的な脅威なのは事実。だが日米の対潜哨戒網から逃れて太平洋に進出できる静寂性は未確認。SLBMは太平洋に進出可能な潜水艦を保有してこそ脅威となる。だから存在だけでは脅威にはならない。

     さらに軍事の運用から見れば、北朝鮮はSLBMを運用可能な潜水艦は未確認。仮に存在するとしても1隻だけ。仮に1隻のSLBM運用可能な潜水艦が存在するとしても、実験部隊であり実戦部隊ではない。

    基本的なローテーション

    1:基地で整備・補給
    2:戦域へ移動
    3:戦域で活動
    4:基地へ帰還

     このサイクルを維持することで戦力になる。つまり潜水艦は最低でも4隻必要。さらに損害を考慮すれば5隻から戦力になる。これは運用の基本。北朝鮮のSLBM運用可能な潜水艦は未確認。仮に存在しても1隻だからアメリカの脅威にはならない。だからトランプ大統領は怒らなし、手ぶらで実務者協議を行った。

    ■乞食外交に堕ちた北朝鮮

     北朝鮮は実務者協議で有利になる目的でSLBMを発射したとすれば、それは大間違い。見た目は派手だが軍事の基本から見れば無意味。アメリカから見れば相手にする価値はない。だからアメリカは手ぶらで実務者協議に挑んだ。

     北朝鮮としては見返りが得られると期待した。実際は手ぶらだから衝撃を受けたはず。北朝鮮は手ぶらで来たことを怒ったので、瀬戸際外交から乞食外交に堕としてしまう失態を演じた。アメリカとしては最高の結果を得たことになる。

    ■非核化協議を破棄出来ない北朝鮮

     北朝鮮は怒って非核化協議を破棄できない。成果なしで終われば北朝鮮国民の不満が高まる。天才であるはずの金正恩が成果なしで終われば権威が低下する。これまで金と時間を費やした宣伝が無駄になり、金王朝の立場を悪くする。これが予測できるから北朝鮮は協議を破棄できない。

     トランプ大統領が怒って北朝鮮を攻撃すると、金正恩は問題のすり替えが可能。成果なしから外部の敵にすり替え、アメリカと戦争することで反乱分子を処分できる。だがトランプ大統領が交渉継続を選ぶと、屠殺場に送られる様なもの。

     北朝鮮としては面子が保てる見返りが欲しい。屠殺場送りを回避するには交渉継続を選び、アメリカから見返りを得るしか道は無くなっている。それが金正恩の立場と言える。アメリカはこのことを知っている。だからアメリカは北朝鮮のSLBMを無視して協議に挑んだ。

    ■乞食外交しか選べない北朝鮮

     今後の北朝鮮は瀬戸際外交を段階的に強化することは明白。それはアメリカから見返りを求める乞食外交。そのために、これから短距離弾道ミサイルを発射する。さらに中距離弾道ミサイルやSLBMを発射して瀬戸際外交の道具にするはずだ。何故ならトランプ大統領はSLBMの発射で怒らなかった。だから北朝鮮はSLBMで見返りを求める騒ぎを起こす。

    ■実戦部隊の強化を行えない北朝鮮

     北朝鮮は短距離弾道ミサイルやSLBMに金を使うよりも、韓国軍相手の戦車・装甲車・戦闘機などを強化した方が有益。だがこれを行うと大金が必要。北朝鮮の短距離弾道ミサイル・SLBMは実験部隊だから最小の費用で行える。だが陸軍全体の戦力強化になれば30年がかりの仕事になる。

     通常戦力の戦力整備は30年仕事。これが基本だから毎年継続しなければならない。そのため資金も必要だから、実験部隊を運用する資金では不足する。それに対して実験部隊の運用なら、見た目は派手で最小の資金で運用可能。だから北朝鮮は通常戦力の整備よりも瀬戸際外交用の実験部隊を優先している。

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