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「同盟と国益」対立させる文政権、“独りぼっち”で滅びた宋に学べ

韓国紙セゲイルボ

 「高麗図経」。高麗時代の仁宗王1年、つまり1123年に高麗を訪れた宋の使節団の一員である徐兢が著した本だ。高麗の実状を詳細に記している。

エスパー国防長官(左)とダンフォード統合参謀本部議長

8月28日、ワシントン近郊の米国防総省で記者会見するエスパー国防長官(左)と米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長(EPA時事)

 この時、宋の使節団は陸路で来ることができなかった。その頃、金が北方を席巻していたからだ。宋は使節を送るために2隻の船を造った。「凌虚致遠安済神舟」と「霊飛順済神舟」。略して「神舟」という。中国の有人宇宙船「神舟号」はこの船の名前から取ったものだ。

 宋はなぜ莫大(ばくだい)な財物を投入して、船まで造って使節を送ったのだろうか。同盟を打診するためだ。以夷制夷(夷を以て夷を制す)。高麗と手を握って、金に対抗しなければならなかったためだ。

 徐兢は「高麗図経」を皇帝徽宗に捧(ささ)げた。だが、さほど経過せず、1126年に宋の首都開封は金によって陥落してしまう。徽宗も捕虜となってしまった。この時、宋は江南へ遷都したが、それが南宋だ。「高麗と同盟を結べなかった」宋はイバラの道を歩んだ。南宋も結局、チンギスハンの孫フビライハンによって滅亡する。

 マキャベリの「君主論」。「君主は自身が真の同盟なのか、公然の敵なのか、明確にする時、尊敬を受ける」。「決断力のない君主は当面の危険を避けるために中立を選ぶが、大部分それは破滅の原因になる」

 同盟とは何だろうか。洋の東西を問わず、それは重要な生存戦略だ。大統領府の核心的な関係者が語った。「いくら同盟関係でも、国益より優先することはできない」と。

 大統領府の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了決定について、米国から批判が起こり、韓米同盟に亀裂が走るのではないかという懸念が噴出している状況の中で出てきた言葉だ。

 どうも分からない。どうして、そのようなことを言うのだろうか。同盟は国益を守るための手段ではなかったか。白黒に対立させる概念だろうか。「GSOMIAが韓日だけの問題ではない」ということは皆が分かっている事実だ。

 ジェームズ・マティス前米国防長官は、「同盟がなければ米国は衰退する」と述べた。ドナルド・トランプ大統領に向けた批判だ。“同盟のない独りぼっち”の国、宋のような運命を歩むことになるという意味を込めた言葉である。

 こんなことを考えた。それはむしろ、わが国の大統領府が耳を傾けるべき言葉ではないだろうか。どの国が同盟で、どの国が敵なのか、区別さえできないようだから…。

(姜浩遠論説委員、8月31日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

米国はまだ韓国の同盟国なのか

 文在寅大統領が日本と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄方針を打ち出し、日本に打撃を与えようとしたら、米国から強い反発が飛んできた。実際、同協定を破棄すれば、最も不利益を被るのは韓国であり、次に米国だろう。

 もともと同協定は米国が求めて日韓に結ばせた経緯がある。日米韓三角同盟の紐帯だ。文政権はこれを破棄すれば、米国から反発が出るとは予測できなかったのだろうか。そんなはずはない。

 「国益が優先する」とは何を国益と考えているかによる。そのまま読めば、米韓同盟をやめて、北朝鮮や中国と結ぶことが「国益」と言っているようなものだ。

 政府の方針に意見するのに、回りくどく歴史を援用するのは韓国メディアの常套(じょうとう)手段だが、中国や半島の歴史にはそれだけ教訓とすべき事例が多い。“痛い”過去から学ばないから、同じ過ちを繰り返す。

 はっきりと手を組む相手が違うと言えないところに韓国言論の息苦しさがある。韓国メディアは政府の本音や正体を知らないのか、あるいは認めたくないだけなのか。

 “疑惑のたまねぎ”曺国氏は普通ならば指名辞退しているところだが、メディアの追及などどこ吹く風とばかりに法相任命は強行されそうだ。そうなれば、これはもう文政権は迷いなくある方向を向いていることが鮮明になる。その時、韓国メディアは相変わらず奥歯に物が挟まったような論説を載せるのだろうか。

(岩崎 哲)

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