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    蒲生健二
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    石井 貫太郎
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    河添 恵子
    河添 恵子
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    中澤 孝之
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    丹羽 文生
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    太田 正利
    太田 正利
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    ペマ・ギャル...
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    佐藤 唯行
    佐藤 唯行
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    渡瀬 裕哉
    渡瀬 裕哉
    早稲田大学招聘研究員
    山田 寛
    山田 寛
    元読売新聞アメリカ総局長

    放っておけば勝手に自滅 自称元徴用工代理人のホンネとは?

    韓国国内で「自分は戦時徴用工だった」などと自称する者たちが、次から次へと日本企業に対して損害賠償を求めて訴えを起こしています。こうした自称徴用工訴訟の過熱は、しかし、結果的には韓国自身の首を絞めていくことになります。というのも、従来だと「なあなあ」の解決策を示してくれていたはずの日本政府側に、「韓国への配慮」という姿勢がまったく見られないからです。


    徴用工訴訟加熱

    ●原告だけで926人!

     自称元徴用工の問題とは、韓国国内で「戦時徴用工だった」と自称する者たちが、次から次へと日本企業に損害賠償を求めて訴えを起こしている問題のことです。

     とくに、昨年10月30日に、日本企業である新日鐵住金(現・日本製鉄)が韓国の大法院(※最高裁に相当)で敗訴したことを受け、こうした動きが加速。

     昨年11月29日には三菱重工に対しても大法院判決で敗訴判決が下されたほか、類似する多数の訴訟が1審・2審で係留中であり、後述する韓国メディアの報道によれば原告数だけで926人(!)に達するのだとか。

     私が把握している限り、日本製鉄の大法院判決以降に限っていえば、現時点までに自称元徴用工らに対して日本企業が金銭を支払ったという事実はありません。それどころか、日本製鉄も三菱重工も、むしろ自称元徴用工らへの賠償金支払いを拒絶している状況です。

     こうした状況を受け、韓国では日本製鉄、三菱重工に加え、2審で敗訴した段階の不二越の合計3社に対し、在韓資産の差し押さえが行われました。現在はこれらの在韓資産の一部について、換金手続が行われている最中であると伝えられています。

    ●「非上場株式」「知的財産権」のなぜ?

     ただ、現在差し押さえられているこれらの企業の資産は、日本製鉄と不二越は合弁会社株式、三菱重工は知的財産権(商標権、特許権)だそうです。

     この点、私自身は弁理士ではなく、裁判を通じて知的財産権を強制換金処分する際の手続にはそれほど明るくないのですが、自然に考えて三菱重工が保有する商標権なり、特許権なりの換金処分がすんなりと行くとも思えません。

     一方、合弁会社株式については、会社法は公認会計士である私自身の専門分野ですが、専門家として申し上げれば、合弁会社の株式は一般に非上場かつ譲渡制限が付されているため、裁判などを通じた売却がきわめて困難です(『時間もカネもかかる 非上場株式の競売が困難である理由』参照)。

     こうした事情から、当ウェブサイトとしては、「なぜ原告側はわざわざ換金が難しい資産ばかり選んで差し押さえて来るのか」、という点に、かなり早い時期から注目して来たのです。

     (※このあたり、「弁護士」と名乗る方からのコメントでは非上場株式「譲渡制限」という重要な論点が無視されていましたが、この点については敢えて笑い飛ばしておきたいと思います。)

    そのうえで、ずばり、原告側の狙いは「強制売却手続を通じて差し押さえた資産を換金すること」ではなく、最初から「2+2基金」構想を実現することにある、というのが、当ウェブサイトとしての結論だったのです(『徴用工判決問題:非上場株式の換金はサラミスライスの一環?』参照)。

     そして、こうした当ウェブサイトとしての予想は、存外に早く証明されました。

     原告側代理人が差し押さえた非上場株式の売却処分手続を申し立てておきながら、そのわずか2週間後には、「被害者救済基金」なるものを提示して来たからです(『あまりにも予想どおり!自称元徴用工らが「基金構想」提示へ』参照)。

     結局、自称元徴用工側としては、換金し辛い非上場株式を最初から換金するつもりなどなく、非上場株式を人質にとって、それによって自分たちが求める「徴用工財団」を実現しようとしているだけだったのです。

    ●慰安婦財団の「成功例」

     その「成功例」として、彼らが念頭に置いていたのは、あきらかに自称元慰安婦らにカネを払うために設立された「慰安婦財団」でしょう。2015年12月28日、当時の岸田文雄外相と尹炳世(いん・へいせい)韓国外交部長官が口頭で取り交わした「日韓外相会談」の内容を見れば、その性質は明らかです。

     いわゆる「日韓慰安婦合意」(2015年12月28日)のポイント


    ①慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感し、安倍晋三総理大臣は日本国を代表して心からおわびと反省の気持ちを表明する。

    ②韓国政府は元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府はその財団に対し、政府予算から10億円を一括で拠出する。

    ③韓国政府は在韓国日本大使館前に慰安婦像が設置されている問題を巡って、適切に解決されるように努力する。

    ④上記②の措置が実施されるとの前提で、日韓両国政府は、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認し、あわせて本問題について、国連等国際社会において互いに非難・批判することを控える。(※下線部は引用者による加工)


     とくに、諸外国では慰安婦が「性的奴隷」 “sex slaves” だ、というウソが堂々と罷り通っています。下線部で示したくだりは、「日本政府として、当時の軍が(自称)元慰安婦らを強制連行し、性的奴隷として使役したという事実を認めて謝罪し、お詫びとして10億円を払った」、と受け止められかねません。

     しかし、賠償を受ける側から見れば、これは非常に美味しい話です。なぜなら、自分たちが「性的奴隷だった」という事実をわざわざ証明しなくても、「あなたたちは性的奴隷だった」と第三者が勝手に認めてくれて、しかも、おカネまでくれるからです。

     自称元徴用工らが同じことを考えないはずがありません。

    自爆する韓国

    ●思わぬ誤算が2つ

     ところが、ここに大きな誤算が2つありました。

     1つ目は、今回ばかりは日本政府が頑として動かないことです。

     これまでの日韓関係であれば、現場レベルでもめても、実力派の政治家がトップダウンで「玉虫色の解決策」をまとめる、といったことは、しばしばみられた現象です(中韓に配慮して靖国参拝を取りやめることで、後世に多大な禍根を残した中曽根康弘元首相のような人物など、その典型例でしょう)。

     ところが、今回の自称元徴用工問題を巡っては、政府レベルでも政治家レベルでも、「玉虫色の解決策」を提示する人物は出て来ませんし、当然、「なあなあ」で事態を収拾しようという動きもみられません。

     自称徴用工問題を巡っては、外務省の職員である佐藤地(さとう・くに)がユネスコ大使として、2015年7月に、あたかも「日本による強制労働」が事実であったかのように発言してしまうという失態を演じましたが(※)、それでも、日本政府としての失態は、今のところ佐藤地のこの発言に留まっています。

     (※余談ですが、佐藤地は国賊級の大失態を犯したにもかかわらず、現在、ハンガリー大使に栄転しているようです。このこと自体、外務省という組織がいかに腐敗しているかという証拠ではないでしょうか。)

     それどころか、自称徴用工問題を巡っては、おそらく被告の日本企業は日本政府と緊密に連携しているようにも見受けられます。なぜなら、この手の問題は、たった1社でも「抜け駆け」してカネを払ったら最後、

     ほかの日本企業にも多大な影響が生じかねないからです。

     その意味で、今回の自称元徴用工問題を巡っては、日本政府と日本企業、つまり日本社会全体がスクラムを組んでいるような状況にあるといえるかもしれません。

    ●なぜか韓国政府が協力しない

     ただ、もう1つ、彼らには大きな誤算があったようです。

     それは、ほかならぬ韓国政府自身が、自称元徴用工らに協力しようとする形跡が見られないことです。

     以前からも、日韓間で何らかの問題が浮上したとしても、韓国政府は積極的に問題を解決しようとして来ませんでしたが、少なくとも何らかの「玉虫色の和解案」がでてきたときに、それを邪魔しようとはしてこなかったはずです。

     しかし、今回の局面では、日韓両国の政府・企業が参加する「2+2基金案」を自称元徴用工らの代理人が提示しているにもかかわらず、なぜか韓国政府がそれにまったく協力しようとしないのです。

     これは、本当に不思議なことです。

     いや、私に言わせれば、文在寅(ぶん・ざいいん)政権とは、「大韓民国」という国を北朝鮮に献上することしか考えておらず、自称元徴用工問題だけでなく、THAAD配備問題、米中貿易戦争、米朝対立など、それこそ溜まりに溜まった内外のさまざまな諸懸案から全力で逃げ回っているのです。

     これをわが国の側から見れば、自称元徴用工らの側が韓国政府の後押しも得られないという、思わぬ「敵失」に助けられているという側面もあるでしょう。

    ●やっぱり出て来た!「2+2」のホンネ

     そうなると、自称元徴用工らの弁護士としても、自分たちが日韓関係を壊すというトリガーを引くことを極端に嫌がるのも自明の理です。

    「徴用工問題、裁判では限界…『2プラス2解法』外交で解決を」(1)(2019年06月07日10時15分付 中央日報日本語版より)


     昨日の韓国メディア『中央日報』(日本語版)によると、「チェ・ボンテ弁護士」が中央日報のインタビューに応じている、とういものですが、この「チェ・ボンテ弁護士」とは、『徴用工と瀬戸際外交:放置すれば日本の選択肢が増えるのも事実』などでも触れた、崔鳳泰(さい・ほうたい)弁護士のことでしょう。

     「崔弁護士」と言ってピンと来た人も多いと思いますが、彼は今年1月時点の日経のインタビューに対し、


    「日本政府・企業と韓国政府・企業が参加する『2プラス2』方式の財団設立だ。個人請求権は残っている。韓国で法律をつくり、財団からお金を受け取ったら和解したとみなし、個人請求権を消滅させる。こうした法的な安全装置をつくったうえで、日本に参加してもらう」

    と答えているのですが、これこそがこの人物の目的でしょう。

     というよりも、崔弁護士ら原告側が、非上場株式のスムーズな換金処理のための高度な法技術・ノウハウを持ち合わせているとも思えません。その証拠に、崔氏は中央日報のインタビューに対しても、

    「裁判の枠組みの中でも『和解』という方法がある。民事訴訟の原告と被告が合意をして訴訟を取り下げて紛争を決着させる方法だ。日本企業が謝罪とともに適切な賠償をし、原告がこれを受け入れると共に許すことが最も理想的な解決策だ。そのような前例がないわけではない」


    と述べ、まさに自称元慰安婦問題と同じ「慰安婦財団」方式の解決を目指しているというホンネを吐露してしまっているからです。

    まさに、語るに落ちる、ですね。

    勝手に困れ!

     さて、この自称元徴用工問題に対し、日本側は5月20日に、韓国政府側に対して仲裁手続の付託を通告しました。この仲裁手続とは『徴用工問題と国際裁判への道 日韓請求権協定第3条を読む』で説明したとおり、「外交的解決」ができなかったときのプロセスのことです。

     ざっくり要約すると、日韓請求権協定第3条に定める主な手続は次の①~④です。


    ①日韓両国で紛争が起これば、まずは外交の経路を通じて解決してください。

    ②①で解決できなければ、まず30日以内に両国が1人ずつ委員を選び、その2人の委員が次の30日以内に日韓以外の第三国からもう1人委員を選び、その3人で仲裁委員会を組織して議論してください。

    ③②の期間内に片方の国が期限内に仲裁委員を選ばなかった場合や、第三国をどこにするか合意できなかったときは、仲裁委員会の人選自体、第三国にお願いし、30日以内に選んでもらいましょう。

    ④出た結論には従いましょう


     日本政府は1月9日時点で①の手続を打ち出したものの、4ヵ月も放置されているにも関わらず韓国側から何ら音沙汰がないことに加え、李洛淵(り・らくえん)首相が「対応には限界がある」とさじを投げたことをきっかけに、上記②の手続に移ったのです。

     ただ、『「日韓協力」「日韓首脳会談」 日本の世論が許さない状況に』でも触れたとおり、先日、韓国政府外交部の局長が来日し、金杉憲治・外務省アジア大洋州局長と協議した際にも、韓国側は仲裁手続の付託を拒絶しているのだとか。

     5月20日から起算して30日以内ということは、いったんは6月19日に「第2項手続」が成立するかどうかが明らかになります(どうせ成立しないと思いますが…)。

     韓国側では「日本が大阪G20サミット(6月28~29日)の場で日韓首脳会談に応じてくれるかどうか」が議論されているようですが、正直、これが実現する可能性は極めて低いと見るべきでしょう(その判断根拠は『「日韓協力」「日韓首脳会談」 日本の世論が許さない状況に』をご参照ください)。

     それだけではありません。

     今後、日韓間では水産物の検疫強化だけでなく、少しずつ目に見えない制裁(サイレント型制裁)が地味に強化されていくのかもしれません(なお、私個人的には、取り急ぎ、韓国国民に対するビザ免除プログラムの見直しを急いでほしいと思っているのですが…)。


    「新宿会計士の政治経済評論」より転載
    https://shinjukuacc.com/20190608-01/

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