■連載一覧
  • どう動く米朝
  • 米朝決裂
  • 金正恩体制を斬る 太永浩・元駐英北朝鮮公使に聞く
  • 米中新冷戦 第3部 識者インタビュー
  • 2019/3/20
  • 2019/3/02
  • 2019/2/19
  • 2019/1/23
  • 2016 世界はどう動く-識者に聞く
  • 戦後70年 識者は語る
  • 2015 世界はどう動く-識者に聞く
  • 2014 世界はどう動く
  • 2016/1/04
  • 2015/8/09
  • 2015/1/07
  • 2014/1/06
  • 香港・中国返還20年 「一国二制度」の前途
  • 台湾に吹いた蔡英文旋風
  • ルポ・政権交代の攻防 台湾総統選
  • 二極化する香港 識者インタビュー
  • 香港誌「前哨」編集長 劉達文氏に聞く
  • 「雨傘革命」下の香港 揺れる一国二制度の行方
  • 揺れる香港 各派リーダーに聞く
  • 香港の普選運動 親中派民間団体代表の見方
  • 2017/7/01
  • 2016/1/18
  • 2015/12/26
  • 2015/7/12
  • 2014/11/21
  • 2014/11/14
  • 2014/11/06
  • 2014/7/08
  • 中国「一帯一路」最前線 バルカンに吹く風
  • 危機のアジア 識者に聞く
  • 南シナ海 強まる中国支配 安保専門家に聞く
  • ドゥテルテ大統領就任から3カ月 どこへ向かう比政権
  • 香港「自治」の行方 識者に聞く
  • 中華圏に浸透する同性婚
  • 中台関係の行方
  • 日米同盟と台湾 海洋安全保障の展望
  • 蔡英文時代の台湾 本土派路線のビジョンと課題
  • ASEANの夜明け アジアハイウエー7000キロルポ
  • 緊張 南シナ海
  • 中央アジア胎動 中国「新シルクロード」と日本の戦略
  • “政熱経熱”の中韓
  • 新QDRと米中軍事バランス
  • 新グレートゲーム・幻想だった中国の平和的台頭
  • 新グレートゲーム・中国南進の海
  • 2018/8/20
  • 2018/1/04
  • 2017/7/26
  • 2016/9/21
  • 2016/8/17
  • 2016/7/26
  • 2016/6/03
  • 2016/5/31
  • 2016/5/19
  • 2016/3/22
  • 2015/11/18
  • 2015/10/14
  • 2015/9/07
  • 2014/3/31
  • 2014/2/14
  • 2013/4/18
  • ムスリム同胞団とアラブ モハメド・F・ファラハト氏に聞く
  • 多難な年明けのトルコ
  • EUと難民 UNHCRウィーン事務所報道官に聞く
  • ロシアのシリア内戦介入 アルアハラム財団事務局長に聞く
  • 2017/9/01
  • 2016/1/30
  • 2015/12/11
  • 2015/11/13
  • 新閣僚に聞く
  • 懸案にどう挑む 第4次安倍改造内閣
  • 「赤旗」役所内勧誘の実態
  • 憲法改正 私はこう考える
  • 衆院選大勝 安倍政権への提言
  • 2017衆院選 国難と選択
  • 新閣僚に聞く
  • 第3次改造内閣 信頼回復へ始動
  • ’17首都決戦
  • 施行から70年 憲法改正を問う
  • どうなる「民共協力」 27回共産党大会の焦点
  • 蓮舫民進 疑問の船出
  • 新閣僚に聞く
  • 「立憲主義」について
  • 再改造内閣 始動
  • 安倍政権 新たな挑戦
  • 16参院選 注目区を行く
  • 伊勢志摩サミット
  • 憲法改正 ここが焦点
  • 筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談
  • 第3次安倍改造内閣スタート
  • 詳解 集団的自衛権 安保法制案の合憲性
  • 衆院選 自公圧勝 ~課題と展望~
  • ’14衆院選 注目区を行く
  • 第2次安倍改造内閣スタート
  • 日米首脳会談 成果と課題
  • 2018/10/25
  • 2018/10/04
  • 2018/3/30
  • 2018/2/15
  • 2017/10/25
  • 2017/10/16
  • 2017/9/07
  • 2017/8/06
  • 2017/6/27
  • 2017/4/26
  • 2017/1/09
  • 2016/9/17
  • 2016/9/02
  • 2016/8/22
  • 2016/8/04
  • 2016/7/12
  • 2016/6/30
  • 2016/5/23
  • 2016/4/25
  • 2016/4/04
  • 2015/10/08
  • 2015/8/06
  • 2014/12/16
  • 2014/12/07
  • 2014/9/05
  • 2014/4/26
  • '18沖縄県知事選ルポ
  • 歪められた沖縄戦史 慶良間諸島「集団自決」の真実
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第2部 自衛隊配備へ動く石垣島
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第1部 与那国島・陸自駐屯地
  • 激震・翁長県政 「オール沖縄」の凋落
  • 普天間基地移設 経緯の検証と提言
  • 「援護法」に隠された沖縄戦の真実
  • 2018/9/25
  • 2018/4/07
  • 2016/10/31
  • 2016/10/12
  • 2016/1/26
  • 2015/10/01
  • 2013/7/08
  • 迷走する北非核化
  • 平壌共同宣言の波紋
  • どうなる米朝首脳会談
  • 検証 南北首脳会談
  • どう見る北の脅威
  • 北暴走 揺れる韓国
  • どう見る北の脅威
  • 北朝鮮 制裁の現実
  • どう対処 北の脅威 米有識者に聞く
  • 9年ぶり左派政権 文在寅大統領の韓国
  • 弾劾の波紋 漂流する韓国政治
  • 検証・金正恩統治5年
  • どこへ行く混迷・韓国 国政介入事件の深層
  • どう見る金正恩体制 日韓専門家対談
  • 迎撃ミサイル配備 韓国の決断
  • 3代世襲“完成” 北朝鮮第7回党大会
  • 検証 元料理人 藤本氏の再訪朝
  • 韓国総選挙ショック
  • 日韓国交正常化50年 識者に聞く
  • どうする拉致解決 日朝ストックホルム合意1年
  • 日韓国交正常化50年 「嫌韓」「反日」を越えて
  • 張成沢氏失脚 北で何が起きたか
  • 2018/12/26
  • 2018/9/26
  • 2018/5/23
  • 2018/5/01
  • 2018/2/13
  • 2017/9/21
  • 2017/9/19
  • 2017/6/26
  • 2017/5/17
  • 2017/5/11
  • 2017/3/15
  • 2016/12/27
  • 2016/12/05
  • 2016/8/24
  • 2016/7/20
  • 2016/5/10
  • 2016/4/29
  • 2016/4/15
  • 2015/6/22
  • 2015/5/11
  • 2015/2/05
  • 2013/12/10
  • 待ったなし地球温暖化対策
  • 環境先進国フランスの挑戦
  • 迫る気候変動の脅威 どうする大災害への備え
  • 2016/1/02
  • 2015/10/07
  • 2015/9/21
  • 米中新冷戦 第2部 中国・覇権への野望
  • 米中新冷戦 第1部「幻想」から覚めた米国
  • 検証’18米中間選挙
  • 米国の分断 第3部 「自虐主義」の源流
  • 米国の分断 第2部 反米・容共の風潮
  • 米国の分断 第1部 断罪される偉人たち
  • 「米国第一」を問う トランプを動かす世界観
  • トランプのアメリカ 就任から1年
  • トランプVSリベラル・メディア
  • 「情報戦争」時代と米国
  • 米軍再建への課題-元上級将校の提言
  • トランプ政権始動
  • トランプ大統領の衝撃 米国と世界はどこに向かう
  • トランプvsヒラリー 米大統領選まで1カ月
  • オバマのLGBT外交 米国と途上国の「文化戦争」
  • トランプVSヒラリー 米大統領選まで3カ月
  • オバマ外交と次期米大統領の課題
  • 2016年米大統領選まで1年
  • 再考 オバマの世界観
  • オバマの対宗教戦争・第1部
  • オバマの対宗教戦争・第2部
  • 2019/1/16
  • 2019/1/07
  • 2018/11/11
  • 2018/10/15
  • 2018/7/18
  • 2018/5/08
  • 2018/3/12
  • 2018/1/18
  • 2017/12/21
  • 2017/4/03
  • 2017/2/28
  • 2017/1/22
  • 2016/11/11
  • 2016/10/08
  • 2016/9/26
  • 2016/8/06
  • 2016/6/14
  • 2015/11/08
  • 2015/7/06
  • 2013/8/05
  • 2013/9/30
  • JAXA宇宙探査計画
  • 2015/12/24
  • 安東 幹
    安東 幹
    共産党問題
    坂東 忠信
    坂東 忠信
    元警視庁北京語通訳捜査官
    古川 光輝
    古川 光輝
    保守国際派
    細川 珠生
    細川 珠生
    政治評論家
    井上 政典
    井上 政典
    歴史ナビゲーター
    伊勢 雅臣
    伊勢 雅臣
    「国際派日本人養成講座」編集長
    河添 恵子
    河添 恵子
    ノンフィクション作家
    宮本 惇夫
    宮本 惇夫
    企業・経営
    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    金正恩氏は知っていたか

     米バージニア大の学生、オットー・ワームビア氏(Otto Warmbier、22)が2017年6月19日、地元の病院で死亡した。ワームビア氏は観光目的で北朝鮮を訪問し、政治スローガンが書かれたポスターを剥がして持ち帰ろうとしたところを拘束された(2016年1月2日)。裁判で15年の「労働教化刑」を言い渡されたが、昏睡状態に陥り、同年6月13日に解放され、米国に帰国していた。

    200

    22歳で亡くなった米学生オットー・ワームビア氏(ウィキぺディアから)

     ワームビア氏の両親によると、「息子はボツリヌス菌の毒素による中毒で体調を崩し、睡眠薬を服用後に昏睡状態になった」と説明したが、米国の医師は、「ボツリヌス菌による中毒症状は見られなかったが、ワームビア氏は脳のあらゆる部分の組織が大きく損傷し、呼吸停止で脳に酸素が行き渡らない症状だった」と述べている。

     当方はこのコラム欄で「北朝鮮は22歳の若い米学生に対し、何らかの細菌やウイルスを使った生物兵器の実験をした。学生が昏睡状態に陥ったことを受け、米国側からの強い要求もあって帰国させた。狙いは、米国側に北の生物兵器のレベルを知らせることにあったのではないか」と書いた(「平壌発『米学生の死』の謎解き」2017年6月24日参考)。

     トランプ米大統領は当時、「非人道的な残忍なやり方」と厳しい語調で北側を批判した。そのトランプ氏は今回、学生の家族の要請もあってハノイで金正恩氏に直接事件の真相を聞くと、金正恩氏は、「事件を知らなかった」という。記者団の質問を受けたトランプ大統領は、「金正恩氏の説明を信じる」と答えている。

     このトランプ氏の発言が流れると、死去した学生の家族ばかりか、多くの米国民からも批判の声が出た。家族関係者は、「息子は北によって殺害された。その指導者が知らなかったということは考えられない」と主張し、金正恩氏の「知らなかった」という返答を鵜呑みにしたトランプ氏を批判した。

     トランプ氏は多分、「金正恩氏は知っていた」と考えていたが、相手側(金正恩氏)を配慮してそのように答えたのだろうが、家族関係者が怒るのは分かる。我々は、「金正恩氏は北朝鮮の最高指導者であり、独裁者だ。彼が国内外の重要な出来事を知らないはずがない」と考える。それでは米学生の死去は金正恩氏にとって重要な出来事ではなかったので、「知らなかった」のだろうか。金正恩氏は事実をよく知っていたが、「知っていた」と答えることができなかっただけだ。面子のためではない。「知っていた」といえば、北朝鮮が不法な犯罪集団ということを認めることになるからだ。

     金正恩氏だけではない。父親・故金正日総書記も日本人拉致事件の真相を問われた時、訪朝した小泉純一郎首相に対し、「私は知らなかった。一部の特殊工作員の仕業だった」と答え、関係者を処罰することを約束した。事実は、金正日総書記の命令で拉致事件が起きた。一部の不法な工作員の勝手な犯罪ではなかった。

     金正恩氏の異母兄、金正男氏がマレーシアのクアラルンプール国際空港で劇毒の神経剤で暗殺されてから今年2月で2年が過ぎたが、事件は金正恩氏の直接の命令で起きた暗殺事件だ。同氏の命令を受け、北の対外工作機関「偵察総局」が暗殺計画を立案した、と見てほぼ間違いない。金ファミリー関係者の暗殺は金正恩委員長の承諾なしでは不可能だから、異母兄殺しの最終的責任は金正恩氏にあることは明らかだ。彼が金正男氏暗殺事件を知らなかったということは、絶対にあり得ない。

     都合の悪いことが発覚し、それが外部に漏れた時、北の独裁者は常に「私は知らなかった」と答えてきた。米学生の件でも金正恩氏はその北の伝統を継承しただけだ。金正恩氏は知っていたのだ。

     次は、北の独裁者は全てを掌握し、知っているだろうかだ。彼が知らない国内外の重要な出来事はあるだろうか。金正恩氏は夜遅くまで関係省から送られきた書類に目を通しているという。明確な点は、ホワイトハウスでの執務時間が1日5時間余りと、歴代大統領の中では飛び抜けて短いトランプ氏より、金正恩氏は長時間、働いているだろう。ちなみに、トランプ氏の場合、毎朝、情報機関から前日発生した国内外の情報をまとめたメモを受け取る。1枚の時から数枚に及ぶ時もあるが、10頁を超えることは少ないだろう。読むのが苦手なトランプ氏に100頁の報告書をみせたとしても、読まれないことを関係者は知っているからだ。

     金正恩氏の場合、彼が命令し、その結果の報告を受け取る、といったパターンが多い。彼が現地視察した場合、関係者は彼を取り巻きながら、彼が話す内容をメモしている姿をよく見かける。全ては彼から始まり、彼の指示を受け、彼の感想を聞き、それを現場で実行する。彼が知らないこと、彼が報告を受けていないことが発生した場合、関係者は厳しい処罰を受ける。北朝鮮は通常の国家ではなく、一種の家族構造だ。その指示構造はトップダウンだ。

     金正恩氏は、米学生の死去、なぜ死んだのかも知っている。彼が命令し、その命令を実行した関係者から逐次報告を受けてきたはずだからだ。ただし、「米学生の死去を知らなかった」と答えた金正恩氏の返答をトランプ氏が信じたというニュースはひょっとしたら事実かもしれない。トランプ氏は米国内外の出来事を全て知っている大統領ではないし、本人も全て知りたいと考えている大統領ではないから、金正恩氏が「知らない」と答えたならば、トランプ氏はその発言を鵜呑みにするかもしれない。

     北では「首領様は全てを知っている」という前提で機能している国だ。トランプ氏が議会で大統領選のロシア介入問題で追及された時、「自分は知らない」と答え、返答をぼかすことはできても、金正恩氏は、「自分は知らなかった」とは絶対に言えないのだ。その金正恩氏が今回、トランプ氏の質問に、「知らなかった」と返答したのは、「私もあなたと同じですよ」というシグナルが含まれていたのではないか。

    (ウィーン在住)

    1

    コメント

    コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。

    コメント

    コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。