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    古川 光輝
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    細川 珠生
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    井上 政典
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    伊勢 雅臣
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    河添 恵子
    河添 恵子
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    宮本 惇夫
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    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    朝鮮半島の「点と線」

     作家松本清張には「点と線」というタイトルの長編推理小説があったが、別々の場所で異なった時間に生じた出来事を結ぶ時、意外な事実が浮かび上がる。朝鮮半島周辺で生じている様々な出来事、事件を「点」とすれば、それらの「点」を結んでいくと、考えられないようなシナリオが浮かび上がってくるのだ。

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    在イタリアのチョ・ソンギル北朝鮮大使代理(イタリア日刊紙「イルフォグリオ」記者のツイッターから、韓国中央日報日本語版から転載)

     朝鮮半島を舞台とした「点と線」を考えたきっかけは、能登半島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で昨年12月20日、海上自衛隊哨戒機P1が韓国駆逐艦から火器管制レーダー照射を受けた事件だ。防衛省はP1が記録した電波信号の音を今月21日に公開し、韓国との実務者協議を打ち切ったが、その後も韓国側からさまざまな反論、警告が飛び出している。

     少し、事件を再現する。日本のEEZ内で登場するのは、韓国駆逐艦、北朝鮮の漁船らしい船、そして上空に日本の哨戒機P1だ。その3者はそれぞれ独自の使命を担って「その場」にいた。3者をそれぞれ「点」とすれば、その点を最初に結びつける行動は韓国駆逐艦の火器管制レーダー照射だ。その結果、哨戒機P1と韓国駆逐艦は「線」で結ばれた。今回の事件のカギは3者の間で最初に行動を取った側にある。すなわち、事件のカギは韓国駆逐艦側が握っているといえるわけだ。

     韓国側はここにきて「威嚇飛行」とか「低空飛行」だったとして日本の哨戒機側に責任を負わせようとしているが、これは事件の核心をぼかす工作に過ぎない。事件の「説明責任」が韓国側にあることは明確だ。

     韓国側は「遭難していた北朝鮮の漁船救助に当たっていた」と説明したが、海上自衛隊哨戒機に火器管制レーダーの照射という危険な軍事行動を取った説明にはならない。韓国側が「点」を「線」にした行動の動機を正直に説明しないために、憶測情報が生まれてくる結果となる。

     燃料不足で遭難した北漁船を韓国駆逐艦が国連の対北制裁を破って給油していたという説から、映像に浮かび上がった北の漁船の大きさは通常の漁船より大きく、アンテナを装備していたことから、北の工作船だったという憶測まで囁かれ出してきた。

     「事件を解明する」とは、事件に登場する「点」を他の「点」と結びつけ、その「線」上に浮かぶ事実を見つける行為といえる。無数の「点」から「線」を見つけ、事件を再構成することだ。「給油説」から「北工作船」説まで様々な憶測が日韓のメディアを飾っているが、その責任は、繰り返すが、最初の「線」を結んだ韓国側にある。韓国側がなぜ日本の哨戒機に火器管制レーダーをを照射したか、誰もが理解できるように説明すれば、憶測は生まれてはこないのだ。

     ところで、日韓メディアが見落としている「点」がある。日本のEEZ内で日本の哨戒機が韓国の駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けたのは12月20日だった。そのほぼ1カ月前に在イタリアの北朝鮮大使館からチョ・ソンギル大使代理が行方不明となった。同大使代理は米国に政治亡命を希望しているというが、その後の所在は不明だ。この北大使代理の亡命という「点」を日本の哨戒機への韓国駆逐艦の火器管制レーダー照射事件という「点」と結びつけると新たな「線」が生まれてくる。

     忘れないでほしいことは、EEZには日韓2者だけではなく、北の工作船らしき第3者がいた事実だ。想像力の逞しい読者ならば既に一つのイメージが浮かんでくるはずだ。その通り。韓国駆逐艦は韓国に亡命したチョ大使代理を北側の工作船に引き渡している状況が浮かぶはずだ。

     チョ大使代理は米国への亡命を希望してイタリアに潜伏していた。その時、ソウルから特別指名を受けた外交官がローマ入りし、チョ氏と接触し、韓国への亡命を勧めた。チョ大使代理は最初はあまり乗り気ではなかった。なぜならば、韓国の文在寅大統領が親北路線を取り、北の金正恩朝鮮労働党委員長のスポークスマンのような人物であることを知っていたからだ。ソウルから派遣された韓国外交官はそのチョ氏を説得、ソウルでの亡命を保証し、経済的支援を約束する。最終的には、チョ氏は韓国亡命を決意する。そして12月上旬ごろ、ひそかにソウル入りする。

     問題は次だ。韓国大統領府に設置された南北間のホットラインに電話が鳴った。金正恩氏が至急、文大統領と話したいという。テーマはチョ氏の引き渡し要求だ。親北派とは言え、脱北者を北に引き渡すことは文大統領もできない。人権弁護士として歩んできた過去もある。金正恩氏は文大統領が考え込んでいるのを感じ、「大統領、チョ氏は北朝鮮国民です。その国民の引き渡しを拒否するようでは、私はソウルを訪問できなくなります」とやんわりと、しかし、はっきりという。

     南北融和路線の推進に政治生命をかける文大統領は今年3月1日の「臨時政府」発足100周年を大々的に祝う計画を推進中だ。その式典の最高のVIPとして金正恩氏のソウル入りを願っていた手前、金正恩氏がソウル訪問をキャンセルすれば、これまでの全ての歩みが水泡に帰してしまう。

     文大統領は清水の舞台から飛び降りる決意で「分かりました。チョ氏を引き渡しますが、これは国家機密にして下さい。引き渡しは陸ルートでは難しいですから、わが海軍駆逐艦がチョ大使代理夫妻を連れていきますから、そちらは工作船を派遣し、引き取ってください」と語った。その実行日は昨年12月20日となった。

     ローマの北外交官亡命事件という「点」と朝鮮半島の海上で起きた韓国側の不祥事という「点」を強引に結びつけるとこのようなシナリオが浮かび上がるわけだ。この突飛なシナリオを直ぐに払拭できないのは、文在寅大統領が北に余りにも傾斜しているからだ。

    (ウィーン在住)

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