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人材エクソダス

韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 1980年代のことだ。日本の半導体技術がうらやましかった三星(サムスン)。何とかして技術を身に付けようとした“爺さんがいた”という。(定年)退職後の日本人だった。最高経営人まで乗り出して切実に助けを求めた。三顧の礼よりも礼を尽くしたという。心の扉を開いた爺さんは少しずつ耳打ちしてくれた。三星の半導体への挑戦はこの時から始まった。横目で見て始めた半導体だが、今は王国をなしている。

 半導体の挑戦は何から始まったのか。(三星創業者の)故李秉喆会長は「事業の勝敗は人が決定する」「人の力を借りることができてこそ成功する」。誰でも当然視する言葉だ。しかし、実践は容易でない。少しお金を儲(もう)けると権力に酔う企業家たちを数多く見ている。暴行やセクハラを行ったヤン・ジンホ韓国未来技術会長もそんな類だ。三星は違った。“人材の伝統”は引き継がれた。(2代目の)李健熙会長。「天才1人が10万人を食べさせる」。成均館大に半導体工学科も創った。半導体工学科の最初の卒業生は今、サムスン研究所の課長クラスになっている。彼らを世界有数の大学に送って、また教える。

 技術も、資本もない国で世界的な企業になったサムスン。その後には人材がいた。サムスンだけが人材を重視するのではない。“財閥”の烙印(らくいん)を押された企業で人材を重視しないところは珍しい。人材は韓国経済を興した力でもある。

 そんな人材が抜け出している。半導体崛起(くっき)を宣言した中国。清華紫光集団、福建省晋華集成電路、合肥長金…。中国の半導体企業は先を争って人材狩りに乗り出している。技術の障壁を高く積み上げた米国。狩場は韓国に変わった。何倍の年俸を提示して誘惑する。退職した技術関連の人材が、兎死狗烹(ウサギがいなくなれば猟犬も煮て食べられる)されると知りながらも誘惑をはねのけるのは難しい。“株式会社中国”の突進は韓国の主力産業に脅かしている。

 中国の人材政策。鄧小平の“百人計画”(科学技術優秀人材の招致・育成政策)は習近平の“万人計画”に発展した。万人の技術人材を確保するという国家政策だ。韓国はどうか。目を洗って探してもそんな政策は見えない。“脱原発”に風呂敷をたたんで海外に移る原発の技術者たち。「行きたければ行け」という状況だ。数十年間積み重ねた原発技術はどうなるのか。首をかしげる技術人材たち。どうして“技術強国”を願えるだろうか。

 (11月8日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

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