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    河添 恵子
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    宮本 惇夫
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    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    北の新国連大使・金ソン氏の横顔

     韓国聯合ニュースが14日報じたところによると、北朝鮮の新国連大使に任命された金ソン氏は米国政府から査証(ビザ)の発給を受けたという。その金ソン氏が駐ウィーン北朝鮮大使館1等書記官だった時、当方は金ソン氏とはよく話をした。ジャーナリストとは一切接触しない北外交官が多い中、金ソン氏は少なくとも質問を聞いてくれた。以下、金ソン氏との思い出を書く。

    800

    ニューヨークの北朝鮮国連大使に就任する金ソン氏(サウス・チャイナ・モーニングポストから)

     北朝鮮は2007年3月、国際麻薬関連条約に正式に加盟したが、その時、加盟表明を担当したのが金ソン1等書記官だった。平壌から派遣されたリ・フンシク外務省事務局長が加盟表明をする予定だったが、オーストリア外務省を訪問しなければならなくなったため、同事務局長の代行で急きょ、大役を担った。

     当方は北が3つの国際麻薬条約に加盟表明するという情報を入手していたので、ウィーンの国連本部で開催中の国連薬物犯罪事務所(UNODC)の麻薬委員会(CND)第50回会期の行方を追っていた。

     国際麻薬関連条約の加盟を表明した後、会場から退出した金ソン氏を追いかけていろいろと質問した。北朝鮮が加盟した国際条約は、「麻薬一般に関する憲章」(1961年)、「同修正条約」(71年)、「麻薬および向精神薬の不正取引に関する国際条約」(88年)の3つだ。

     取材ノートから金ソン氏との会話内容を再現する。

     金書記官は、「わが国は3年前に国内法を整備していた。しかし、国際法と比較した場合、まだ完全ではなかった。そこで国際麻薬統制委員会(INCB)のアドバイスを受けてきた。われわれが感謝しなければならないとすれば、INCBの支援だ。UNODCには感謝する必要はない。UNODCはわが国に技術支援を供与してくれなかったからね。UNODCの背後には米国がいる。米国はわが国が麻薬対策に乗り出すと、それを阻止してきた。同時に、わが国が国家ぐるみで麻薬密売に関与していると主張してきた」と、米国を激しく批判するした。その一方、「わが国は欧米社会のように深刻な麻薬問題には直面していないが、加盟する以上、その責任を履行する」と強調した(「北朝鮮の加盟表明の瞬間」2007年3月19日参考)。

     当方が駐オーストリア北大使館の中庭に故金正日総書記の調達人、権栄録氏がいるのを見つけ、カメラを取り出して撮った時、金ソン氏が飛び出してきて、「撮るな」と珍しく厳しく叱責した。

     平壌に帰任後の金ソン氏の動向はまったく知らない。聯合ニュースによると、金ソン氏は平壌国際関係大を卒業して外務省入りし、2014年に国連北朝鮮代表部で参事官として勤務。外務省の条約局長も務めたという。その金ソン氏が今月、国連大使としてニューヨーク入りするわけだ。出世したものだ。

     今年6月、シンガポールで米朝首脳会談が初めて開催された後、米国と北朝鮮の両国関係が動き出してきた。北の非核化が大きなテーマとなっている。そのような時、金ソン氏はニューヨークの国連大使に就任するわけだ。ニューヨーク国連の北大使館と北京の同国大使館は米国が北と接触する際の拠点だ。

     ウィーンの国連には国際原子力機関(IAEA)の本部がある。金ソン氏はウィーン国連で数年間、1等書記官として歩んできた。直接、IAEAとの交渉には関わらなかったが、IAEAについて精通している。

     北の非核化の行方次第ではIAEAの査察活動の再開が視野に入ってくる。金ソン氏がニューヨークの国連大使に抜擢されたのも偶然ではないはずだ。

     金正恩氏は今月5日、韓国の訪朝団と会見し、「トランプ氏の1期の任期内に非核化を実現したい」と発言した。北の非核化の行方は今後2年余りの期間が重要となる。金正恩氏が駐ウィーン外交官を経験し、IAEAを知る金ソン氏をニューヨークの国連大使に選ぶことで、非核化に真剣に取り組む姿勢を米国向けに発信したのかもしれない。

    (ウィーン在住)

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