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危ういトランプ流融和演出―米朝首脳会談

非核化説得を棚上げ?批判必至

記者会見するトランプ米大統領=駐日米大使館ツイッターより

記者会見するトランプ米大統領=駐日米大使館ツイッターより

 米朝首脳会談でトランプ米大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に対し融和的な態度を示し、会談は終始和やかな雰囲気で進められたようだ。こうした融和ムード演出はトランプ氏が金正恩氏と会談すること自体を重視し、北朝鮮に非核化を迫ることを事実上、棚上げした結果とみられる。

 両首脳は午前9時(日本時間10時)、会談場所になったシンガポールのセントーサ島内ホテルで握手を交わし、会談日程がスタート。通訳だけを交えた単独会談や双方の閣僚、側近を加えた拡大会談などの冒頭で取材陣に公開された両首脳の会話内容や表情などからは、最大の焦点だった北朝鮮の「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)」をめぐる緊迫した駆け引きはほとんど感じられなかった。

 金正恩氏だけでなく祖父の金日成主席や父、金正日総書記にとっても、経済制裁や軍事攻撃の脅威などで体制保証の障害となり続けてきた米国の大統領との単独会談は長年の夢だったとされる。今回、トランプ氏の前のめりともいえる会談開催への意欲を逆手に取り、金正恩氏はCVIDを合意文に盛り込ませず、体制保証を約束させることに成功した。

 こうした会談結果に韓国の保守派からは早くも不満や批判が出ている。柳東烈・元韓国警察庁公安問題研究所研究官は「トランプ氏は国内でセックススキャンダルなどにより窮地に追い込まれ、11月には中間選挙を控えている。国内支持基盤を固めるため金正恩氏と合作で非核化詐欺をしたようなもの」と述べた。

 また、ある北朝鮮問題専門家は「翌日付米主要紙社説の見出しは『Mr President, Where is the CVID?』(大統領、CVIDはどこに行ったのか?)じゃなかろうか」とトランプ批判を込めて語った。

(シンガポール・上田勇実)

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