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北を代弁した文在寅大統領

解説

 今回の南北首脳会談では国際社会共通の弊害である北朝鮮の核・ミサイル開発問題で金正恩氏をたしなめ、正常国化に歩み出すよう促すべき韓国の文在寅大統領が、それとは逆に中途半端な北朝鮮の非核化を高く評価し、制裁の最中で口にしないはずだった北朝鮮への事実上の経済協力まで共同宣言に盛り込んだ。あたかも北朝鮮の立場を代弁するような低姿勢であり、改めて文政権の親北朝鮮ぶりが“発揮”されたと言うしかない。

 会談は終始、融和ムードで行われたが、金委員長が態度を軟化させたのではなく、文大統領が北朝鮮に大きく譲歩したためだ。金委員長と文大統領は共に過去2度の南北共同宣言への回帰を口にしたが、その精神は「平和」「自主統一」であり、偽りの平和攻勢で米軍を韓国から撤退させ、朝鮮半島の赤化統一を進めようという北朝鮮が長年抱いてきた野望に巻き込まれる恐れがある。

 その意味で驚くのは年内に朝鮮半島終戦宣言をすると合意したことだ。韓国を除外しない3者ないし4者の会談を進めるというが、北が非核化に踏み出さない段階での平和協定締結は在韓米軍撤退につながる欺瞞戦術である可能性があり危険だ。

 心配されるのは6月初めまでに開催される見通しの米朝首脳会談だ。北朝鮮だけでなく韓国までもが融和に乗じトランプ米大統領に終戦宣言の話し合いを持ち掛けるだろう。11月の中間選挙に向け実績がほしいトランプ氏がこれに応じない保証はない。

 会談では野外に散歩に出た金委員長と文大統領が随行員もマイクもない中、たった2人だけで約40分間対話を交わし、金委員長の方がしばしば真剣な表情で静聴する様子が確認された。文大統領が米朝会談の指南をしたのではないか、という思いを抱かせる場面だった。

(高陽=韓国北西部・上田勇実)

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