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金正恩独裁体制が生き残る道は一つだけ、それを習近平が握っている

北朝鮮問題で注目するべきはCIA(中央情報局)のポンペオ長官が、極秘で北朝鮮を訪れ、金正恩委員長と面会したことである。ポンペオ長官はトランプ政権で次期国務長官に指名されているトランプ米大統領の「腹心」と評価される人物である。ポンペオ長官が金正恩と会ったということはトランプ政権と金正恩政権の交渉がかなり煮詰まっているということである。

個別の専門的な交渉は米国政府の北朝鮮担当チームが北朝鮮の幹部と直接やる。交渉によって合意が煮詰まった状況になったらポンペオ長官のようなトップが合意の確認をするために北朝鮮のトップ金正恩と会う。それが国家間の交渉の基本である。ポンペオ長官が金正恩と会ったことに大きな意義がある。

米科学者連盟(FAS)のアダム・マウント研究員は「米国が金委員長と直接会ったのは非常に劇的な発展」とし「首脳会談が開かれる前に最高位級の対話が行われるのは正しい」と述べたというが、そうではなく、ポンペオ長官が金正恩と会ったということは米国と北朝鮮の合意がかなり進んでいるということであり、そのことが「非常に劇的な発展」なのである。。

トランプ米大統領は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との初の首脳会談をめぐり、「北朝鮮の非常に高いレベルと直接的な話し合いを既にしている」ことを明らかにしている。トランプ大統領の発言から北朝鮮との交渉は最終段階にきていると考えられる。

米国と北朝鮮の合意が実現する可能性がかなり高いことを予想させることがもう一つある。それはトランプ米大統領と金正恩の会談の後に習近平主席が北朝鮮に行くということである。

金正恩委員長が中国に行った時に中国政府は米国の北朝鮮への要求の詳細を聞いただろう。そして、金正恩から相談を受けた習近平主席はなんらかの解決方法を金正恩にアドバイスし、金正恩は了承したと考えられる。金正恩が了承したことを習近平主席はトランプ大統領に伝えただろう。だから金正恩委員長か習近平国家主席に会った約10日後にポンペオ氏が北朝鮮に行き、平壌で金正恩委員長と会ったのである。

ポンペオ氏が金正恩委員長と会ったのは習主席のアドバイスによって金正恩がトランプ大統領の要求を受け入れることを大筋で了承する内容だったからである。

金正恩が核開発を進めたのは米国と戦争をするためではなく、米国に攻撃されないのが目的である。核ミサイルがあれば米国が攻撃した時に韓国、日本に核ミサイルを撃ち込むことができる。韓国、日本は何十万人何百万人という犠牲者が出る。だから、米国は核ミサイルを保有している北朝鮮を攻撃することができない。核ミサイルが金正恩独裁国家を守ると金正恩は信じているのだ。

金正恩が核開発をするのは自分の身を守るのが目的である。身の安全を守ることができれば核開発を放棄してもいいと思っているのが金正恩である。

しかし、核開発では金正恩の身を安全に守ることができなくなってきた。原因はトランプ大統領が始めた経済制裁である。経済制裁は加盟国も参加し、終いには中国も参加した。中国の経済制裁は北朝鮮経済にとってはかなりの痛手であった。中国も加わった経済制裁により北朝鮮の経済は急激に衰退していった。経済が衰退すれば金正恩の資金が底をつく。資金が底をつけば独裁体制を維持することができない。つまり金正恩が北朝鮮を独裁支配することができなくなる。経済制裁が続けば金正恩独裁体制が崩壊する運命にある。

核開発を続けても、核放棄しても身の安全を守れない状況に追い込まれたのが金正恩である。困り果てた金正恩は中国に助けを求めた。

北朝鮮がピンチになっているからといって経済制裁を解くわけにはいかないのが習近平主席である。もし、経済制裁を解けばトランプ大統領が中国に経済制裁をするからだ。中国が北朝鮮に経済制裁をやるようになったのは北朝鮮と貿易をしている中国企業にトランプ大統領が経済制裁をやったからである。習近平主席はトランプ大統領の経済制裁を恐れて北朝鮮への経済制裁をやるようになった。だから、経済制裁を解くわけにはいかないのが中国である。

人民解放軍が支配していた中国であったなら、トランプ大統領の経済制裁を恐れないで北朝鮮と貿易をやり、北朝鮮を守っていただろう。しかし、今の中国を支配しているのは人民解放軍の軍部ではない。官僚である。今の中国はブルジョア官僚独裁国家であり、経済発展と拡大を第一目標にしている。だから、北朝鮮を守ることよりトランプ大統領の経済制裁を受けないことを優先させているのが今の中国である。

金正恩が核保有している限り中国が北朝鮮への経済制裁をを止めることはできない。一方、米国から身の安全を守るには核開発しかないと信じている金正恩がトランプ大統領の要求に従って核放棄をすることはない。今の北朝鮮は八方塞りである。実は金正恩独裁国家の八方塞がりを解決する方法が一つだけある。

トランプ大統領は米議会上院外交委員会の公聴会で「金正恩が核兵器でアメリカを威嚇できないようにしなければならない」としながらも「北朝鮮の体制転換は求めていない」と発言した。

トランプ大統領のいうように核兵器の開発を止め、しかも金正恩独裁体制を安全に維持する方法を金正恩に提案し了承させることを習近平ならできる。それは北朝鮮を一帯一路経済圏に組み込むことである。

北朝鮮が一体一路に加盟すれば中国の経済圏の一部となり、政治・経済だけでなく軍事でも中国が北朝鮮を保護するようになる。そうなれば米国が攻撃することはできなくなる。金正恩独裁体制を維持するには北朝鮮が一帯一路に参加することである。

核放棄をすれば米国が攻撃することはないが金正恩はそう思っていない。核放棄をすればむしろ米軍が攻撃すると思い込んでいるのが金正恩である。だから、金正恩は米国と平和条約を結ぶことを要求している。しかし、米国は北朝鮮を信用していないから平和条約を結ぶことはしない。米国が平和条約を結ばない限り金正恩は核放棄することができない。しかし、北朝鮮が中国の一帯一路の経済圏になれば米国が攻撃することはないと金正恩は信じるだろう。米国が攻撃しない保障があれば金正恩は核を放棄することができる。だから、中国の一帯一路経済圏に入れば金正恩は核を放棄することができるのである。

政治の人気ブログでトップの「新世紀ビッグブラザーへ」の三橋貴明氏は現在の金正恩と米国の関係をリビアのカダフィ大佐と米国の関係と重ねているが、それは間違っている。

確かに米国はリビアのカダフィ大佐に要求したように北朝鮮に対しても「後戻り不可能な非核化」を要求している。高橋氏は、もし、金正恩が米国の要求に応じればカダフィ大佐と同じ運命を辿るから金正恩が核放棄をすることはないと判断している。

そして、「朝鮮半島の安定」に落ち着くことは、まずありないと主張し、これからも日本の安全保障が脅かされた状況が続き、安全保障上の危機が深刻化していると高橋氏は指摘している。

国土に「核ミサイルを落とされる可能性」は、決してゼロではないわけでないのに、「日本国民や政治家の危機感はいかほどのものでしょうか」と日本国民や政治家に危機感がないことを批判している。

高橋氏の分析には決定的な間違いがある。確かに米国がカダフィ大佐に要求していることと金正恩に要求していることは核放棄であり同じである。しかし、リビアと北朝鮮では国内情勢も周囲国の状況も全然違う。

リビアは隣国チュニジアで起こったジャスミン革命の影響を受けて2011年2月に、カダフィ大佐の退陣を求める大規模な反政府デモが発生した。リビアでは国内に強力な反政府勢力が存在していたのである。しかし、北朝鮮にはリビアのような反政府勢力は存在していない。

リビアでは反政府勢力が蜂起し、カダフィ大佐は自身の居住区から撤退した。反政府勢力により首都全土が制圧され、カダフィ政権は事実上崩壊したのである。

カダフィ大佐が核放棄したから政権が崩壊したというのは間違いである。金正恩が米国の要求に応じて核放棄しても金正恩政権が崩壊することはない。

高橋氏は北朝鮮の労働新聞が、
「米国の誘惑と軍事的恐喝によって銃床を下ろすことが、どれほど残酷な結果を招くかはイラクとリビアの悲劇的現実が物語る」
と指摘していると述べているが、イラクは核開発をしているという理由で米国はイラクに進攻してサダム独裁政権を倒した。核放棄をしたから進攻したのではない。リビアは核とは関係なく国内の反政府勢力によってカダフィ政権は崩壊した。北朝鮮の労働新聞が書いてあることは事実と違う。そもそも金正恩独裁国家の宣伝新聞である北朝鮮の労働新聞の報道をそっくりそのまま信用して引用することがおかしい。高橋氏の見識を疑わざるを得ない。

 リビアの周辺国はエジブト、チュニジア、ニジェール、アルジェリアなどであり、政治が不安定で経済も発展していない。それに比べて北朝鮮の周囲国はロシア、韓国、中国、日本であり、リビアの周辺国に比べて政治は安定し、経済も発展している。

中国は世界第二位の経済大国である。そして、経済で世界一になるための一帯一路戦略を実行している。リビアと北朝鮮は環境が全然違う。カダフィ大佐と金正恩を同一に視るのは間違っている。

 間違った判断で北朝鮮の危機を煽るのはやめてほしいものである。もっと正確に北朝鮮情勢を分析してほしい。


「沖縄に内なる民主主義はあるか」より転載
http://hijai.ti-da.net/

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