■連載一覧
  • 米国の分断 第2部 反米・容共の風潮
  • 米朝“宴の後”で 非核化・拉致問題の行方
  • 米朝首脳会談の焦点
  • どうなる米朝首脳会談
  • 2018/7/18
  • 2018/6/14
  • 2018/6/07
  • 2018/5/23
  • 2016 世界はどう動く-識者に聞く
  • 戦後70年 識者は語る
  • 2015 世界はどう動く-識者に聞く
  • 2014 世界はどう動く
  • 2016/1/04
  • 2015/8/09
  • 2015/1/07
  • 2014/1/06
  • 香港・中国返還20年 「一国二制度」の前途
  • 台湾に吹いた蔡英文旋風
  • ルポ・政権交代の攻防 台湾総統選
  • 二極化する香港 識者インタビュー
  • 香港誌「前哨」編集長 劉達文氏に聞く
  • 「雨傘革命」下の香港 揺れる一国二制度の行方
  • 揺れる香港 各派リーダーに聞く
  • 香港の普選運動 親中派民間団体代表の見方
  • 2017/7/01
  • 2016/1/18
  • 2015/12/26
  • 2015/7/12
  • 2014/11/21
  • 2014/11/14
  • 2014/11/06
  • 2014/7/08
  • 危機のアジア 識者に聞く
  • 南シナ海 強まる中国支配 安保専門家に聞く
  • ドゥテルテ大統領就任から3カ月 どこへ向かう比政権
  • 香港「自治」の行方 識者に聞く
  • 中華圏に浸透する同性婚
  • 中台関係の行方
  • 日米同盟と台湾 海洋安全保障の展望
  • 蔡英文時代の台湾 本土派路線のビジョンと課題
  • ASEANの夜明け アジアハイウエー7000キロルポ
  • 緊張 南シナ海
  • 中央アジア胎動 中国「新シルクロード」と日本の戦略
  • “政熱経熱”の中韓
  • 新QDRと米中軍事バランス
  • 新グレートゲーム・幻想だった中国の平和的台頭
  • 新グレートゲーム・中国南進の海
  • 2018/1/04
  • 2017/7/26
  • 2016/9/21
  • 2016/8/17
  • 2016/7/26
  • 2016/6/03
  • 2016/5/31
  • 2016/5/19
  • 2016/3/22
  • 2015/11/18
  • 2015/10/14
  • 2015/9/07
  • 2014/3/31
  • 2014/2/14
  • 2013/4/18
  • ムスリム同胞団とアラブ モハメド・F・ファラハト氏に聞く
  • 多難な年明けのトルコ
  • EUと難民 UNHCRウィーン事務所報道官に聞く
  • ロシアのシリア内戦介入 アルアハラム財団事務局長に聞く
  • 2017/9/01
  • 2016/1/30
  • 2015/12/11
  • 2015/11/13
  • 「赤旗」役所内勧誘の実態
  • 憲法改正 私はこう考える
  • 衆院選大勝 安倍政権への提言
  • 2017衆院選 国難と選択
  • 新閣僚に聞く
  • 第3次改造内閣 信頼回復へ始動
  • ’17首都決戦
  • 施行から70年 憲法改正を問う
  • どうなる「民共協力」 27回共産党大会の焦点
  • 蓮舫民進 疑問の船出
  • 新閣僚に聞く
  • 「立憲主義」について
  • 再改造内閣 始動
  • 安倍政権 新たな挑戦
  • 16参院選 注目区を行く
  • 伊勢志摩サミット
  • 憲法改正 ここが焦点
  • 筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談
  • 第3次安倍改造内閣スタート
  • 詳解 集団的自衛権 安保法制案の合憲性
  • 衆院選 自公圧勝 ~課題と展望~
  • ’14衆院選 注目区を行く
  • 第2次安倍改造内閣スタート
  • 日米首脳会談 成果と課題
  • 2018/3/30
  • 2018/2/15
  • 2017/10/25
  • 2017/10/16
  • 2017/9/07
  • 2017/8/06
  • 2017/6/27
  • 2017/4/26
  • 2017/1/09
  • 2016/9/17
  • 2016/9/02
  • 2016/8/22
  • 2016/8/04
  • 2016/7/12
  • 2016/6/30
  • 2016/5/23
  • 2016/4/25
  • 2016/4/04
  • 2015/10/08
  • 2015/8/06
  • 2014/12/16
  • 2014/12/07
  • 2014/9/05
  • 2014/4/26
  • 歪められた沖縄戦史 慶良間諸島「集団自決」の真実
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第2部 自衛隊配備へ動く石垣島
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第1部 与那国島・陸自駐屯地
  • 激震・翁長県政 「オール沖縄」の凋落
  • 普天間基地移設 経緯の検証と提言
  • 「援護法」に隠された沖縄戦の真実
  • 2018/4/07
  • 2016/10/31
  • 2016/10/12
  • 2016/1/26
  • 2015/10/01
  • 2013/7/08
  • 検証 南北首脳会談
  • どう見る北の脅威
  • 北暴走 揺れる韓国
  • どう見る北の脅威
  • 北朝鮮 制裁の現実
  • どう対処 北の脅威 米有識者に聞く
  • 9年ぶり左派政権 文在寅大統領の韓国
  • 弾劾の波紋 漂流する韓国政治
  • 検証・金正恩統治5年
  • どこへ行く混迷・韓国 国政介入事件の深層
  • どう見る金正恩体制 日韓専門家対談
  • 迎撃ミサイル配備 韓国の決断
  • 3代世襲“完成” 北朝鮮第7回党大会
  • 検証 元料理人 藤本氏の再訪朝
  • 韓国総選挙ショック
  • 日韓国交正常化50年 識者に聞く
  • どうする拉致解決 日朝ストックホルム合意1年
  • 日韓国交正常化50年 「嫌韓」「反日」を越えて
  • 張成沢氏失脚 北で何が起きたか
  • 2018/5/01
  • 2018/2/13
  • 2017/9/21
  • 2017/9/19
  • 2017/6/26
  • 2017/5/17
  • 2017/5/11
  • 2017/3/15
  • 2016/12/27
  • 2016/12/05
  • 2016/8/24
  • 2016/7/20
  • 2016/5/10
  • 2016/4/29
  • 2016/4/15
  • 2015/6/22
  • 2015/5/11
  • 2015/2/05
  • 2013/12/10
  • 待ったなし地球温暖化対策
  • 環境先進国フランスの挑戦
  • 迫る気候変動の脅威 どうする大災害への備え
  • 2016/1/02
  • 2015/10/07
  • 2015/9/21
  • 米国の分断 第1部 断罪される偉人たち
  • 「米国第一」を問う トランプを動かす世界観
  • トランプのアメリカ 就任から1年
  • トランプVSリベラル・メディア
  • 「情報戦争」時代と米国
  • 米軍再建への課題-元上級将校の提言
  • トランプ政権始動
  • トランプ大統領の衝撃 米国と世界はどこに向かう
  • トランプvsヒラリー 米大統領選まで1カ月
  • オバマのLGBT外交 米国と途上国の「文化戦争」
  • トランプVSヒラリー 米大統領選まで3カ月
  • オバマ外交と次期米大統領の課題
  • 2016年米大統領選まで1年
  • 再考 オバマの世界観
  • オバマの対宗教戦争・第1部
  • オバマの対宗教戦争・第2部
  • 2018/5/08
  • 2018/3/12
  • 2018/1/18
  • 2017/12/21
  • 2017/4/03
  • 2017/2/28
  • 2017/1/22
  • 2016/11/11
  • 2016/10/08
  • 2016/9/26
  • 2016/8/06
  • 2016/6/14
  • 2015/11/08
  • 2015/7/06
  • 2013/8/05
  • 2013/9/30
  • JAXA宇宙探査計画
  • 2015/12/24
  • 渥美 堅持
    渥美 堅持
    イスラーム専門家
    坂東 忠信
    坂東 忠信
    元警視庁北京語通訳捜査官
    遠藤 哲也
    遠藤 哲也
    元日朝国交正常化交渉日本政府代表
    服部 則夫
    服部 則夫
    元ベトナム大使
    石井 貫太郎
    石井 貫太郎
    国際政治
    河添 恵子
    河添 恵子
    ノンフィクション作家
    宮塚 利雄
    宮塚 利雄
    北朝鮮専門家
    中澤 孝之
    中澤 孝之
    ロシア問題
    太田 正利
    太田 正利
    外交評論家
    ペマ・ギャルポ
    ペマ・ギャル...
    チベット・中国問題
    佐藤 唯行
    佐藤 唯行
    ユダヤ人問題
    渡瀬 裕哉
    渡瀬 裕哉
    早稲田大学招聘研究員
    山田 寛
    山田 寛
    元読売新聞アメリカ総局長

    どうして安倍総理は韓国大統領に訪日を呼び掛けるのか?

     昨日の『中央日報』日本語版に、安倍総理が文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領に対し、「早期訪日を要請した」とする記事が掲載されていました。安倍政権を支持している保守層は、最近の韓国の反日的振る舞いの酷さに加え、こうした安倍政権の対韓宥和的な姿勢に不安を感じているのではないでしょうか?本日はこれについて、私なりに考察を加えてみたいと思います。

    【安倍外交の成果】
    対中封じ込めの成果は上々!
     私は安倍政権の外交を支持しており、また、信頼しています。

     その理由は簡単です。安倍政権下で日米同盟は強化され、欧州やオーストラリア、インドなどの民主主義国との関係も改善し、ASEANなどとの善隣外交も推進されているからです。また、ロシアとの関係も一進一退を続けているものの、決して悪くはありません。

     あくまでも私の理解ですが、2012年の第2次安倍政権発足以来、安倍外交の軸足は、中国のリスクの封じ込めにありました。というのも、中国は「法による支配」を正面から否定する国であり、放置しておけば、南シナ海の全域や、尖閣諸島や沖縄県そのものを含めた東シナ海の全域に対する領有権を主張しかねない、危険な側面を持っているからです。

     そして、長年の努力の成果が、11月の日中首脳会談です。

     安倍=習近平首脳会談、日中関係改善や北朝鮮問題での連携強化で一致(2017年11月12日(日)11時17分付 Newsweek日本版より)

     安倍・習の両首脳は11月11日にベトナム・ダナンで首脳会談を行い、「▼日中関係の改善を進めること、▼北朝鮮問題での協力を深めること、▼海空連絡メカニズムの早期運用開始に向けた協議を加速すること、▼首脳の相互訪問」、などで合意したとのことです。

     日中がここまで緊密な関係を構築することに成功した最大の要因は、日米同盟の強化にあります。

     2017年11月、安倍総理は、日本を訪問したドナルド・トランプ米大統領との間で、これでもかというほど「日米蜜月」を見せつけました。

     中国にとって、強い日本、そして鉄壁の日米同盟は、脅威以外の何物でもありません。

     そして、中国とは非常に面白い国で、自国よりも明らかに強い同盟に対しては、媚びへつらうのです。

     逆説的ですが、日本が軍備を強めれば強めるほど(つまり戦争の準備をすればするほど)、中国が日本に戦争を仕掛ける可能性は低くなるのです。

     もちろん、中国の「世界戦略」は、侮ることができません。

     中国が主導する国際開発銀行「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)や「一帯一路構想」は、中国が金融面から世界を支配しようとする試みだと理解できます。そして、中国はそれこそ「国家百年の大計」により、金融、経済、軍事などの面で、世界の覇権を握ろうとするでしょう。

     ただ、そうであるならばなおさら、中国の野望を封じ込めるための努力が必要です。

    対韓外交では脇の甘さが目立つ!
     いわば、安倍外交は、外交の最優先課題を「中国リスクの封じ込め」に置いているのであり、その観点からは、安倍外交は「完全無欠」にも見えるのです。

     ただ、その安倍外交にも欠点はあります。それが、対韓外交です。

     ヒトコトで申し上げれば、「脇が甘い」の言葉に尽きます。

     あくまでも私の理解ですが、現在の安倍外交は中国との対立に全力を尽くしているため、それ以外の潜在的な敵国(とくにロシアと韓国)に対しては、宥和的な姿勢を維持しているのではないでしょうか?

     もちろん私は、相手が中国であれ韓国であれ北朝鮮であれロシアであれ、変な野心を捨てて日本とともに手を取り合い、未来に向けて発展していく意思があるのであれば、仲良くすべきだと考えています。

     しかし、現状で見ると、領土的野心を剥き出しにしている中国は論外としても、核・大量破壊兵器を開発している北朝鮮、日本に歴史戦を仕掛けて来ている韓国、日本領を不法占領して返そうとしないロシアは、いずれも日本と友好国になるだけの資格がある国ではありません。

     そして、安倍政権を支持している保守層は、とくに日韓友好を推進しようとしている現政権の姿勢に不安を感じているのも事実でしょう。

     そこで、本日は普段と少し視点を変えて、「安倍総理の対韓外交」について、考察を加えておきたいと思います。

    【安倍総理の対韓外交は正しいのか?】
    文大統領の早期訪日を要請する安倍総理

     韓国メディア『中央日報』の日本語版は昨日、わが国の安倍晋三総理大臣が文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領の訪日を呼びかけたという話題を記事にしています。

     安倍首相「文大統領の早期訪日を要請」(2017年12月12日15時27分付 中央日報日本語版より)
     
    安倍総理は常々、「対話が大切だ」と主張しており、今回の発言も、何ら目新しいものではありません。

     とくに、安倍総理は「日中韓3ヵ国首脳会談」の議長国として、来年1月に東京で3ヵ国首脳会談を開くことを目標としており、今回の発言もそれに沿ったものと考えて良いでしょう。

     ただ、私自身、安倍総理の外交スタンスを深く信頼しているものの、今回の発言に対しては、不安を感じてしまいます。というのも、対韓外交に関しては、安倍政権ですら、韓国には煮え湯を飲まされてばかりだからです。

    日韓関係悪化は2012年8月から継続
     第2次安倍政権が発足したのは2012年12月末のことですが、その前後から、日韓両国政府間では、おもに韓国側の理由によって、さまざまなコンフリクトが発生しています。というのも、主に李明博(り・めいはく)、朴槿恵(ぼく・きんけい)の大統領(=いずれも肩書きは当時)による、実に濃密な「反日外交」が繰り広げらたからです(図表1)。

    ■図表1 李明博・朴槿恵両氏による「告げ口外交」(肩書きは当時)

    kaikeishizuhyou1

     ただ、日韓関係の悪化は、安倍政権以前からすでに始まっていたという事実を忘れてはなりません。

     まず、日韓関係の急激な冷え込みは、2012年8月から始まりました。

     すなわち、朴槿恵氏の前任者である李明博(り・めいはく)元大統領は、2012年8月に、わが国固有の領土である島根県竹島に不法上陸。あわせて天皇陛下を侮辱する発言を行った、という事実です。

     わが国の外務省が実施する「外交に関する世論調査」で見ても(図表2)、韓国を訪問した日本人数が激減したことで見ても(図表3)、李明博元大統領による一連の行動が、日本国民の対韓感情に非常に悪い影響を与えたことは、ほぼ間違いないと見て良いでしょう。

    ■図表2 外交に関する世論調査

    kaikeishizuhyou2

    【出所】政府広報室ウェブサイト

    ■図表3 日韓の往来

    kaikeishizuhyou3

    (【出所】日本政府観光局ウェブサイトおよび韓国観光公社ウェブサイト(※韓国語)

     そして、これらの調査結果を見ても、2012年以降悪化した日本人の対韓感情がほとんど改善していないことは、注目に値します。

     朴槿恵氏は、就任前は「保守派」であると見られており、「李明博政権末期に悪化した日韓関係を修復する」という期待がかかっていたことも事実です。

     しかし、実際には李明博政権なみの、いや、それ以上の強烈な「反日告げ口外交」を実施しました。

     日韓関係を巡って、おもに日本側で国民感情が落ち込んでいることは、その「反日告げ口外交」の威力と見るべきでしょう。

    極め付けは世界遺産登録と慰安婦合意
     こうした反日・卑日外交が続く一方で、安倍政権は、粘り強く朴槿恵政権との対話を試みました。

     まず、2014年3月25日には、米国の仲介を得て、日米韓3ヵ国での首脳会談が初めて実現しました。しかし、この時も朴槿恵氏は、韓国語で話しかけた安倍総理を無視。日韓関係の悪化が、諸外国に対しても強く印象付けられた格好となりました。

     また、2015年前半には、安倍総理が米国を訪問し、いわゆる「希望の演説」を行いましたが、これに対して韓国は猛反発。尹炳世(いん・へいせい)外交部長官(外相に相当)は、おりしも日本が登録を目指していた、明治期の産業革命関連施設の世界遺産登録を全力で妨害するという行為に出ます(図表4)。

    ■図表4 日韓関係を損ねた2015年前半の出来事

    kaikeishizuhyou4

     これについては、私は明らかに、安倍政権の対韓外交を巡る失態だと考えています。

     というのも、ありもしない「朝鮮人の強制連行」というウソをでっち上げ、韓国はそれを国際社会において日本に認めさせたからです。

     さらに、同年12月28日には、岸田文雄外相が尹炳世外交部長官との間で、「慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決」で合意する談話 を発表。これにより、安倍政権を支持していた多くの日本人は、対韓外交に深く失望したのです。

    (※なお、これらについてはつい先日も、『むしろ韓国に慰安婦合意を破棄させろ』『少しずつ好転しつつある日本外交』の中で触れたばかりですので、ここでは繰り返しません。)

    【安倍総理は「日韓対話」を主張するのか?】
    韓国が日本から離れたわけ
     当時の朴槿恵政権が、2015年12月に安倍政権との間で「日韓慰安婦合意」に至った理由は、主に米国との関係にあります。

     日本にいると、韓国との間では歴史問題(とくに「慰安婦問題」)での対立が強く意識されますが、韓国は米国との間でも、長年、懸案を抱えています。それが安全保障問題です。

     もともと、韓国は米国が1948年8月13日に作った国であり、また、朝鮮戦争以降、韓国は常に北朝鮮の脅威に晒されていて、米国との同盟は韓国にとって死活問題でした。

    ところが、こうした状況が変化し始めたのは、1988年のソウル五輪以降です。

     まず、1988年に、事実上、初の民選大統領である盧泰愚(ろ・たいぐ)が政権を獲得。盧政権は1992年に韓国は中国と国交を正常化します。

     次に、1995年11月に、当時の大統領だった金泳三(きん・えいさん)が中国国家主席の江沢民(こう・たくみん)と並んで、日本に対して「ポルジャンモリ」と言い放つ事件が発生しました。この「ポルジャンモリ」とは、目上の人間が目下の人間を叱りつけるときに使う単語だそうですが、いわば、「中国の威光を傘に着て日本を叱りつける」という、その後の「黄金パターン」が、すでにこの時点で萌芽していたことは見逃せません。

     さらに、1998年に始動した金大中(きん・だいちゅう)政権は、対北朝鮮融和政策である「太陽政策」を掲げます。

     この「ポルジャンモリ」と「太陽政策」により、韓国は長年の米国・日本との連携を捨て、徐々に親北・親中路線を取り始めたのです。

     そして、金大中政権の次に大統領に就任した盧武鉉(ろ・ぶげん)は、米国に対し、韓国軍への戦時統制権の返還を要求。さらに、米国が世界戦略の一環として、韓国への配備を要求し続けてきた高高度ミサイル防衛システム(THAAD)についても、韓国は中国への配慮から、一貫して拒絶し続けて来ました。

    それだけではありません。

     朴槿恵前大統領は、米中二股外交を激化しました。つまり、日本とは「慰安婦問題」を初めとする歴史問題で対立しつつ、米国との間では、おもに軍事問題で新たな対決の火種を持ちこんだのです。

     朴槿恵政権で、それまでの韓国大統領の慣例を破り、米国の次の訪問国として日本ではなく中国を選んだ真の理由とは、韓国が日本との関係を軽視し始めただけでなく、米国との関係も変質していたからでしょう。

    「日韓断交論」を無視する安倍総理
     つまり、日本からみれば、李明博政権時代末期から、韓国の日本に対する挑発が酷くなったという現象が目につきますが、韓国の内面的な変化は、すでに1990年代から始まっていたと見るべきなのです。

     さきほどの図表でも確認したとおり、日本人の対韓感情は、客観的に見て、確実に悪化しています。

     こうした中、インターネットの某匿名掲示板などを覗いてみても、「さっさと韓国と断交すれば良いのに」といった、ひと昔前だと「過激だ」と思われていたような極論で溢れ返っていますし、「日韓断交」までは行かないにせよ、「韓国とは少し距離を置いた方が良いのでは?」と思う人の数は、間違いなく増えているでしょう。

     そして、安倍政権の岩盤の支持層にも、こうした「韓国とは距離を置いてほしい」と思う人たちが数多く含まれているであろうことは、想像に難くありません。

     ただ、政府の外交は、世論の急激すぎる変化に振り回されるわけにはいきません。たとえ世論が激高して、「日韓断交論」が多数意見になろうとしていても、日韓間の往来、貿易、投資、軍事協力などの関係を考えると、現実的には「明日からただちに断交する」などとは言えないのが現実です。

     安倍総理としては、「対話が大事だ」という原則論を大切にしており、安倍政権が続く限りは、よっぽどのことがない限り、「日本の方から日韓断交を言い出す」ということはあり得ないでしょう。それどころか、機会を見て日韓首脳会談を呼び掛けるのも、こうした安倍政権の姿勢の表れに他ならないと見るべきでしょう。

     しかし、冒頭に紹介したニュースのように、安倍総理がこの期に及んで「日韓対話」を言い続けるのを見て、安倍政権の岩盤の支持層は、安倍外交に疑念を持つのも当然です。

    対韓外交の変数は中国と北朝鮮だ!
     ただ、私は、とりあえず安倍総理の対韓外交については、見守るしかないと考えています。

     「私の理解が正しければ」という前提ですが、安倍総理の対韓外交は、あくまでも「中国リスクの封じ込め」に加え、北朝鮮の核開発問題への対処を最優先課題に置いているからです。

     要するに、「敵を増やす」のは愚の骨頂だ、という考え方でしょう。

     この考え方が正しいかどうかは、とりあえずは脇に置きましょう。重要なのは、「安倍総理がどう考えているか」、です。

     おそらく、安倍総理が「戦略家」なのだとしたら、2015年12月の慰安婦合意は、韓国の歴史問題を一時的に黙らせるための「捨て身の戦法」であると見るべきでしょう。韓国を黙らせる目的は、米国への軍事協力を進めさせるためであり、それをすることにより、北朝鮮リスクに対処するためです。

     しかし、安倍総理の目論見は、朴槿恵政権が想定外に早く崩壊したことで、完全に外れてしまった格好です。というのも、文在寅大統領は、この慰安婦合意を覆す気でいるからです。

     仮に、安倍政権が文在寅政権を黙らせるために再び慰安婦問題で譲歩をすれば、今度こそ「岩盤の保守層」が黙っていないでしょう。政権支持率は急落し、場合によっては2019年の参院選で、自民党が大敗する可能性だってあります。

     そして、私は、安倍総理が近いタイミングで、韓国との関係改善を「断念する」ことを決断しなければならなくなると見ています。

    文在寅氏の中国公式訪問が試金石に
     その試金石となるのが、本日からの文在寅氏の中国公式訪問です。

    重要なことは、中国が韓国を「日米陣営」と見ているか、それとも「自国の属国」と見ているのか、という違いです。

     ここで興味深い報道も発見しました。

     文大統領が北京に到着する日、習主席は南京大虐殺の追悼式典に 日本も招待(2017年12月12日07時33分付 中央日報日本語版より)
    中央日報日本語版によると、文在寅氏が中国に到着する当日、肝心の習近平国家主席は、「南京大屠殺の80周年追悼式典」に参加するため、北京に不在である、というのです。

     報道が正しければ、これは、明らかに中国が韓国を「格下」、あるいは「すでに属国になった」と見ている証拠でしょう。

     ということは、文在寅氏の訪中中の振る舞い次第では、日本は韓国との関係改善を諦めるという決断を、早いタイミングで下さなければならない、ということです。

     なぜなら、「中国の属国」になってしまった韓国は、もはや単独で日本(や米国)と交渉すべき相手ではなくなるからです。

     日本が韓国に求めている最も重要な点は、北朝鮮の軍事的暴発リスクを防ぐための相互協力であり、その点が期待できないのであれば(あるいは韓国が北朝鮮や中国と結託して日本を攻撃する可能性があるならば)、日本としては韓国との関係を、抜本的に見直さなければならなくなるのです。

    【中国との関係で議論せよ】
     というわけで、本日は私なりに、安倍総理が韓国に対し、たびたび対話を呼び掛けるとともに、宥和的な姿勢を取っている理由について、考察してみました。

     私の結論は、安倍外交は対中封じ込めという点ではうまく行っているものの、そのために払う犠牲が大きすぎる、というものです。具体的には、中国との外交を優先するあまり、韓国との外交で、日本は相当、韓国に対して譲歩し、結果的に国益を損ねているのではないかと考えています。

     ただ、先日から『反日韓国は中国に躾けてもらえ/』などで申し上げてきたとおり、すでに韓国を単独の交渉相手と見るべきではありません。いや、日本はむしろ、韓国を中国の属国と位置付け、「日韓関係の改善」(というよりも「韓国の躾け」)を中国に依頼するのが正しいのかもしれません。


    「新宿会計士の政治経済評論」ブログより転載
    http://shinjukuacc.com/

    10

    コメント

    コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。