ワシントン・タイムズ・ジャパン

韓国は7割の確率で中華属国化する《前編》

そろそろ「シナリオ」を更新します

従来の「7つのシナリオ」
 以前から私は、朝鮮半島の未来を巡っては、7つのシナリオがあると申し上げて来ました(図表1)。

【図表1 朝鮮半島情勢を巡る7つのシナリオ】
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 このうち、(1)に示した「南北統一シナリオ」については、①韓国社会が左傾化するあまり、北朝鮮主導で赤化統一されてしまうのか、それとも米国か中国が北朝鮮処分に踏み切ることで、②米国、③中国、それぞれが主導で統一されてしまうのか、という違いがあります。ただし、いずれも共通点があるとしたら、韓国が自分で朝鮮半島の未来を決めることはできない、という点にあります。

 一方、(2)に示した「南北分断継続シナリオ」については、④と⑤は「韓国社会が中華属国化する」という点では同じであり、唯一、シナリオ⑥(グンジクーデター)だけが、韓国が自分で自分の将来を決めることができる選択肢です。また、先月私は「⑦現状維持シナリオ」を追加しました。

「7つのシナリオ」のアップデート
ただ、この「7つのシナリオ」、急速過ぎる朝鮮半島情勢の変化を受けて、もはやそのままでは実情にそぐわない部分もあり、修正する必要が出て来てしまいました。

 というのも、とくにこの半年で、韓国で軍事クーデターが発生する可能性は極めて低くなってしまいましたし、米国が北朝鮮の体制を変革するような攻撃を単独で加える可能性も、ほぼゼロに近付いていると考えているからです。

 そこで、本日の記事では、米国が北朝鮮の非核化のために取り得る作戦が3つあること、米国の軍事行動には4つのパターンがあることを説明し、そのうえで、「新・6シナリオ」を提示する形とします。

新シナリオの前提

 解決のための作戦は3つ
日本のメディアの報道を見ていると、この期に及んで「北朝鮮の核問題を対話によって解決すべきだ」とする主張も散見されます。しかし、私の考えによれば、北朝鮮の核危機を完全に解決するには、すでに対話による核放棄を迫るという局面は過ぎています。

 ということは、この局面を打開するためには、具体的には、3つの作戦しかありえません。その作戦とは、①斬首作戦、②サージカル・アタック、③金正恩(きん・しょうおん)の亡命(無血開城)、です。

①斬首作戦とその難点

 1つ目の作戦として考えられるのは、「斬首作戦」です。これは、北朝鮮に攻め込み、金正恩の身柄を拘束(あるいは殺害)することで、北朝鮮の体制そのものを変革してしまうというものです。

 この作戦がうまく成功すれば、恐るべき狂気の独裁者が排除され、朝鮮半島の非核化も確実に達成できそうです。しかし、この作戦には難点がいくつもあります。

 まず、実際に「金正恩の斬首」を目的として北朝鮮に攻め込むとしても、米国やその同盟国(日英豪など)だけの判断でできる話ではありません。当然、中国とロシアの許可が必要でしょうし、「金正恩体制後」の北朝鮮の在り方について、中国・ロシア両国との合意をきちんと取っておかねばなりません。

 また、実際に米国が中露の合意を得て、北朝鮮に攻め込んだとしても、それこそ北朝鮮は死にもの狂いで抵抗することが懸念されます。というのも、北朝鮮の人民は金正恩に絶対忠誠を誓うように洗脳されており、金正恩の所在地は地下要塞化されていて、しかも金正恩には影武者が何人も存在するからです。このため、金正恩本人の所在の特定は難しいのが実情でしょう。

 さらに、うまく金正恩の所在を特定し、その身柄の拘束や殺害などに成功したとしても、混乱する北朝鮮の新秩序を速やかに打ち立てなければならないという意味で、「戦後処理」も非常に困難です。

 このため、この「斬首作戦」については、かなりハードルが高いと見るべきなのです。

②サージカル・アタックの長所と短所

 そこで注目される2つ目の作戦とは、「サージカル・アタック」、つまりミサイル発射基地などを特定し、局所的に攻撃を加える、というものです。この場合、北朝鮮の体制崩壊を招かずに、ピンポイントでICBMの発射基地を破壊するというものであり、うまくやれば、北朝鮮の核危機を「当面は」先延ばしにすることができる作戦です。

 しかも、この「サージカル・アタック」(つまり限定的な爆撃)の場合は、すでに中国政府の了解も取れていると考えるべきであり(詳しくは『トランプのディナー歓待に見る日越中韓の違い』の中の『「成果は全くなかった」のか?』あたりをご参照ください)、極端な話、米国(とその同盟国である日本や英国、豪州など)だけの判断で実施することができます。

 ただし、この作戦を採用し、成功した場合であっても、北朝鮮に核放棄をさせることはできません。下手をすれば、北朝鮮の体制自体、いつまでも続くことにもつながります。このため、この作戦だと、本質的な解決にはつながらないのです。

③本当の理想は「米中露3ヵ国会談」と無血開城

 ところで、「ウルトラC」として考えられるのは、3番目の作戦です。これは、戦闘ではなく、金正恩が自らの判断で第三国(たとえばロシアやスイスなど)に亡命し、平和裏に北朝鮮という国を明け渡す(つまり「無血開城」)、というものです。これには戦闘が発生しないというメリットもあり、また、確実に核放棄も実現できるため、理想的なパターンです。

 ただし、この作戦を成功させるためには、それこそ米中露3ヵ国がしっかりと打ち合わせを行い、かつ、北朝鮮側の了解を取らねばなりません。

これを「難易度順」にまとめると、次のとおりです(図表2)。

【図表2 北朝鮮核問題の解決3パターン】

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北朝鮮攻撃の「4つのパターン」と微妙な立ち位置の韓国
 ただし、これらの実現可能性を読むうえでは、米国と中露の「協力パターン」を仮定することが必要です。これについて私は、次の4つのパターンがあると考えています。

①中露が一切絡まない、米軍とその同盟国による北朝鮮攻撃
②米中両国が共同で実施する北朝鮮攻撃
③米中露3ヵ国が共同で実施する北朝鮮処分
④トランプ大統領が失脚するなどの、米国内の混乱

です。これらについては、以下にパターン①~④として詳述していきたいと思うのですが、その前に、議論しておかなければならない論点が、もう1つあります。

 それは、微妙な立ち位置の国・韓国のことです。

 実は、今回の北朝鮮危機において、私は、韓国が米国の軍事作戦に協力しない可能性が極めて高いと見ています。それには2つの理由があります。

 1つ目の理由は、韓国はもはや、精神的にはすっかり中国の「属国」になってしまったことです。先月、韓国は中国に対し「三不」(MDに参加しない、THAADを追加配備しない、日米韓軍事同盟を結ばない)を宣誓させられました(『「三不協定」の衝撃:米韓同盟崩壊が視野に入った』参照)。この「三不」により、韓国は「日米韓3ヵ国協力」の枠組みから、自主的に抜け出してしまったのです。

 そして、2つ目の理由は、韓国の「病的」ともいえる反日感情です。つまり、北朝鮮処分を行う際、日本が共同作戦の主要メンバーに入っている限り、韓国はそれには参加しないことが予想されるのです(※これに関しては残念ながら、私たち日本にとって、できることはもう何もありません)。

 いずれにせよ、この2つの理由があるため、米中両国が北朝鮮攻撃で明らかに合意した場合を除けば、韓国が米国の軍事作戦にすんなりと協力する可能性は低いと見るべきでしょう。

 以上を踏まえて、いよいよ本題の、「具体的に考えられる米中露協力の4つのパターン」を眺めておきましょう。

●パターン①中露が一切絡まない攻撃
 最初に考えられるパターンとは、中国とロシアが一切絡まない軍事作戦であり、具体的には、米軍による単独攻撃か、あるいは米国とその同盟国(日英豪など)の共同軍事作戦による北朝鮮攻撃です。

 ただし、このパターンの場合は、中国におもねる韓国が軍事作戦に協力しないと考えられ、必然的に、「38度線をまたいで地上から北朝鮮を攻撃する」という戦法が使えません。このため、おもに日本海に展開する日米英などの軍艦から、ミサイルや爆撃機を用いて北朝鮮を攻撃するという形態にならざるを得ません。

 そして、このパターンの場合、金正恩個人の所在を特定し、そこに特殊部隊を送り込む、といった作戦を遂行することは、極めて困難です。ということは、このパターンでは、上記の3作戦のうち、「サージカル・アタック」しか採用できません。

 さらに、このパターンにおいて最も懸念されるのは、中国からの妨害に遭う可能性です。

 一応、『「成果は全くなかった」のか?』でも触れたとおり、「限定的な空爆であれば」、中国は米国による攻撃には介入しないことを確約していると考えて良さそうです。しかし、仮に米国による北朝鮮攻撃が、北朝鮮の体制変革を伴う危険があると見れば、中国が介入してくる可能性があります。

 北朝鮮は中国と長い国境を接しており、必然的に、中国は北朝鮮の安定に大きな利害を持ちます。そして、北朝鮮が米国の支配下に入ることを、中国は何よりも嫌がるでしょうし、米国の北朝鮮攻撃に伴い、北朝鮮からの難民が押し寄せることを警戒しているはずです。

 ということは、このパターン①の場合であったとしても、中国の了解を取っておく必要はあります。

 ただ、「サージカル・アタック」の場合、ロシアの了解が取れなくても大きな問題はありません。というのも、ロシアは北朝鮮に重大な利権を所持しているものの、接している国境自体はそれほど長くなく、北朝鮮の体制が崩壊しない程度の攻撃であれば、基本的に難民の問題は発生しないからです。

 もちろん、北朝鮮が米国の支配下に入ることを嫌がるという意味では、ロシアも中国と事情は同じです。このため、パターン①だと、中国・ロシアとの関係という面からも、北朝鮮の体制変革を伴うような攻撃など不可能でしょう。

●パターン②米中による協調介入
 次に考えられるのが、米中が協調介入する可能性です。

 習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席自身、10月の共産党大会で権力基盤を固めたと報じられていますが、もしそれが事実であれば、この「協調介入パターン」も現実味を帯びて来ます。もっといえば、今月のトランプ氏の訪中で、トランプ氏は習近平氏との間で、「事実上の米中共同軍事作戦」で合意していた可能性もあるでしょう。

 具体的には、米国が38度線を南側から北侵し、中国が中朝国境を警備し(場合によっては南侵し)、北朝鮮を「挟み撃ち」にする作戦です。

 このパターンの場合、北朝鮮を軍事攻撃することを巡って、中国の了解が得られていますので、韓国を共同軍事作戦に参加させることが可能です(といっても、韓国軍は事実上、使い物にならないので、米軍が在韓米軍基地を使い、38度線を陸上から北侵することができるというだけの話ですが…)。

 それでも、パターン①と比べると、取れる作戦の幅が、はるかに広がります。具体的には、サージカル・アタックはもちろん、米軍が斬首作戦に踏み切る可能性も出て来ます。

 ただし、斬首作戦を取るのであれば、ここで障害になって来るのがロシアの存在です。ロシアは北朝鮮に大きな利害を所持しているからです。ということは、米中が協調して北朝鮮の体制変革を行おうとするならば、今度はロシアがその作戦を妨害しに来るでしょう。

 場合によっては、北朝鮮に対する武器供与、金正恩の身柄の保護などを通じて、米中の共同作戦を擾乱する可能性だってあります。

 たとえば、米中が共同して「斬首作戦」を遂行しようとすれば、ロシアが速やかに金正恩をロシア領に退避させ、北朝鮮国内に金正恩の影武者を残して擾乱する形となれば、それこそ収拾がつきません。

 やはり、「斬首作戦」を確実に遂行しようとすれば、ロシアを作戦に招き入れるしかないのです。

●パターン③米中露3ヵ国談合
 そこで出てくる「理想的な協力パターン」とは、北朝鮮処分を巡る米中露3ヵ国談合です。

 北朝鮮に多大な利害を有しているロシアがこの「談合」に乗って来る可能性は低いという問題はさておき、仮に米中露3ヵ国が何らかの形で金正恩の除去に合意したとすれば、俄然、話は速くなります。

 ただし、このパターンが実現した場合、結果的に「斬首作戦」は遂行されないと見るべきでしょう。というのも、米中露3ヵ国が談合した時点で、北朝鮮には一切勝ち目がなくなりますから、金正恩はその時点で白旗を上げるに違いないからです。

 この場合、金正恩一族は身柄の安全を保障されることと引き換えに、どこか第三国(たとえばスイスあたり)に亡命することで合意し、実際に戦争を行うことなく、平壌を「米中露連合軍」に明け渡すのです。

 つまり、米中両国がロシアを引き込むことに成功すれば、上で見た「3つの作戦」のうち、一番難易度が高い「無血開城」を実現させることができるのです。そして、このパターンが実現すれば、結果的に多くの人命を犠牲にすることなしに、北朝鮮の核開発を完全に放棄させることができるため、まさに「理想の作戦」です。

 ただし、このパターンを実現させるためには、北朝鮮処分を巡り、中国とロシアのそれぞれにとって、何らかの「旨味」がなければなりません。とくにロシアに対しては、米国が何らかの「果実」(たとえばウクライナ問題を巡る制裁を解除する、シリアにおけるロシア軍の駐留を容認する、ロシアをG7会合に再び参加させる、など)が必要でしょう。とくに米国がウクライナ問題を巡る制裁を解除した場合、欧州連合(EU)、とりわけドイツのメルケル首相が米国を厳しく非難するであろうことは、想像に難くありません。

 「ロシア・スキャンダル」で政治的危機に直面しているだけでなく、国際的な指導力にも疑義がある現状のトランプ政権に、果たしてそこまでのことができるのか、非常に疑問です。

●パターン④トランプ失脚と北朝鮮の現状維持
 以上、①米国(とその同盟国)が単独で北朝鮮をピンポイント攻撃するパターン、②米中が談合して北朝鮮を攻撃するパターン、③米中露3ヵ国が協調して北朝鮮を処分するパターン、の3つを眺めてみました。

 これらについてはのちほど、もう少し深く議論するとして、「パターン」としてあり得るのは、果たしてこの3つだけでしょうか?

 実は、私自身が「可能性が高い」と考えているパターンが、もう1つあります。それは、米国の国内事情により、北朝鮮攻撃が遅れ、結果的に北朝鮮が現状を維持してしまうパターンです。

 具体的には、ドナルド・トランプ米大統領自身が、現在、米国で弾劾の危機に瀕していることです。その材料が「ロシア・スキャンダル」、つまり2016年の大統領選で、ロシアがトランプ陣営に有利になるように、何らかの工作を行ったとされる疑惑です。

 私はこの「ロシア・スキャンダル」、米国メディアによる「フェイク・ニュース」である可能性が極めて高いと見ているものの、だからといって楽観視して良いというものではありません。

(※余談ですが、わが国でも「もりかけ疑惑」という「フェイク・ニュース」でマス・メディアが安倍政権の倒閣を図った事件が発生していますが、マス・メディア産業の腐敗は、先進国では共通の悩みなのかもしれません。)

 そして、万が一、「ロシア・スキャンダル」によりトランプ氏が失脚するか、あるいは弾劾手続に入ってしまうだけでも、米軍は動きが取れず、北朝鮮攻撃に踏み切れなくなります。その結局、北朝鮮の現体制は温存されてしまうのです。

 もちろん、現在の日本は一生懸命に頑張って、北朝鮮に対する国際的圧力を高めるように努力していますが、単独で軍事的オプションを行使できない日本だけでは、自ずから限界もあります。したがって、米軍を主体とした攻撃が実施されない場合には、北朝鮮が結局、現状のまま生き延びてしまうのです。


「新宿会計士の政治経済評論」ブログより転載
http://shinjukuacc.com/

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