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50杯のコーヒーと60粒の豆

 フランスの文豪バルザックはすごい人だ。作品が世界的文学なのは言うまでもないが、大学時代それ以上に興味を持ったことは……。
 彼は1日に50杯もコーヒーを飲んだ。そして働きすぎとコーヒーの飲みすぎで死んでしまった。

 オーストリア人はこの作家には及ばないが かなりのコーヒー愛好家だ。飲み物で1番好きなのはコーヒーで、ビール、ミネラルウォーターがそれに続く。1日に平均3杯、1年に162リットルのコーヒーを飲む。

 なんでこんなこと?
 もうすぐ16回目の“コーヒーの日”だ。オーストリアでは10月1日だが、コーヒーにちなんで1週間、様々なイベントが開かれ、人々はコーヒー祭りを楽しむ。

 ウィーンのKaffeehauskultur(コーヒーハウス文化)は有名で、2011年にユネスコ無形文化遺産に登載された。
 最近、オーストリアの新聞で“カフェハウスの不味いコーヒー”という記事を読んだ。それによれば……、人はコーヒー(不味い黒色のお湯のような)のためにカフェに行くのではなくて 雰囲気を楽しむために行くのだ。
 ウィーンのカフェにつきものなのは、愛想のないウエイターや値段の高さ、支払いまでに待たされる長い時間、という伝統なのだ……と皮肉っている。

 文学とカフェは深いつながりがある。昔、作家や哲学者や芸術家たちがカフェに集って様々なことを論じ合った。私が大学生の時、最初のゼミの論文のテーマがカフカだったので、論文のアイディアをまとめに‘Cafe Kafka’に行ってみたものだ。同じカフェに数回、学生たちの詩やエッセーの朗読会を聞きに行ったこともある。私がカフェに行ったのはそれぐらいだ。家でコーヒーを飲むほうが好きなので カフェハウスエキスパートとは言えない。

 ところで先日、近くのウィーンカフェハウスに行ってみた。いるはずだと思っていた愛想のないウエイターではなく、感じのいい若いウエイトレスが待っていた。友人と弟のイタリア人のお嫁さんと3人で窓側のきれいなテーブルに座った。カフェの中はエレガントで心地よい。伝統的なカフェのように様々な新聞が新聞かけに掛かっていて静かに読むこともできる。
 注文したコーヒー、メランジェ、トーストや朝食セットも美味しかった。この店では 夜までモーニングサービスを頼めるという。会計はいとも簡単に早く済んだ。私たちはこのカフェでゆっくりくつろいで楽しい時間を持った。

 机に向かって、ブログをまとめ始める。もう午後になってそろそろ疲れて眠くなってきた。
 そういえば あのベートーベンがきっちり60粒コーヒー豆を数えて、朝のコーヒーを用意したという話を聞いたことがある。 もう1杯コーヒーを飲もうかな。今日、3杯目だ。これで私も“平均的オーストリア人”になった。

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「ウィ―ンのカミちゃんの呟き」からの転載
http://blog.livedoor.jp/ogawakamiyoblog/

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