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英財政を救ったユダヤ大富豪

佐藤 唯行

公債市場活用し戦費調達 緒戦で敗れ暴落も買い支える

獨協大学教授 佐藤 唯行

 英金融史上、伝説と化したロスチャイルド財閥の創始者ネイサン・メイヤー・ロスチャイルド。その70年前、匹敵する力量を示したもう一人のユダヤ大富豪がいた。サムソン・ギデオン(1699~1762)だ。彼ひとりで18世紀中頃、英ユダヤ社会の富の1割を保有したと歴史家E・サミュエルは述べている。

 中流のユダヤ商人家庭に生まれ、慎ましい元手で宝クジ販売を始め、儲(もう)けを元手に公債引受業に乗り出した彼は、自力独行型の大富豪だった。全盛期には英国公債の4分の1を引き受け、自身の人脈で売り捌(さば)いたといわれる。南海会社の株価大暴落を引き金とする大恐慌が多くの破産者を出した1720年代。彼と多くのユダヤ投資家は大損を免れたようだ。異邦人として英社会の周縁に身を置く彼らは、投機熱から距離を置く冷静さを備えていたのであろう。

取り付け騒ぎを鎮める


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