ワシントン・タイムズ・ジャパン

日ウズベキスタンが円卓会議

 日本国際問題研究所(東京都千代田区)は16日、「中央アジアの安全保障」をテーマにウズベキスタンの訪日団を交えた円卓会議を開催した。会議では中露のはざまで、経済を軸に地域間協力を強めようとしているウズベキスタンの意欲が読み取れた。
(池永達夫)

地域間協力進む中央アジア
ウズベク「タリバンと米欧仲介の用意」

 ウズベキスタンのソディク・サフォエフ上院第1副議長は、「日本の仏教は中国、韓国を経由してきた。仏教伝来の道でもあったシルクロードは、東門を日本だとしたら西門はサマルカンドになり、ウズベキスタンは第二の仏教の故郷だ」と精神的絆を指摘した上で「日本と中央アジアは歴史的なパートナーだ」と結んだ。

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ソディク・サフォエフ上院第1副議長(左)と戦略地域間研究所エルドル・アリポフ所長(右)

 また、ウズベキスタン大統領府付属戦略地域間研究所のエルドル・アリポフ所長は、ここ数年間で中央アジア各国との関係が急速に進んだことを報告。とりわけ隣国のタジキスタンやキルギスとの国境を確定して、長く閉鎖されてきた国境のイミグレーションを開き、「キルギスとは昨年、合計600万人が往来。中央アジア諸国との交易も順調に伸びており、昨年度の貿易高は40億ドルに達し、来年度は50億ドルを想定している」と述べた。

 旧ソ連時代にはもっぱらモスクワとの関係が主軸としてあるだけで、他の中央アジア諸国との横の関係は薄かっただけに、地域共同体形成に向けた画期的な動きが生まれつつあることをアリポフ所長は「以前は想像さえできなかったことだ」と述懐した。この地域共同体形成に一役買っているのが、交通網の整備だ。ウズベキスタンの首都タシケントとタジキスタンの首都ドゥシャンベを結ぶ直行便が飛び、ウズベキスタンからカザフスタンまでを結ぶ鉄道も運行中だ。

 また、アリポフ所長は「中央アジアが独自の存在感を示すことを、ロシアは歓迎しているのか」(新潟県立大学・袴田茂樹教授)との質問に対し、「サマルカンドで開催された中央アジア諸国外相会談で地域協力推進が謳(うた)われたが、ロシアはこれを強く支援した。ロシアは中央アジア諸国の関係強化状況を熟知しており、これらの国同士の争いを歓迎しない」と答えた。

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 中央アジア諸国は現在、1年に1回首脳会議を開催すると同時に、貿易に関するエキスパートグループ会合の定期会合を開いている。これに関しアリポフ所長は、「ただ地域における協力システムをつくることだけに関心があり、国際的な同盟をつくろうとしているわけではない」と強調した。

 なお安保専門家からは「ウズベキスタンは中国の長距離防空システムFD2000を導入するなど対中軍事関係を強めている。これは、ロシアが唯一の武器供給国であったウズベキスタンが、中国を武器供給国に引き込むことで、軍事面でのロシアの影響力を弱める中立維持政策なのか」との質問が出た。

 これに対しアリポフ所長は、「ここ数年、大きな変化は起きていない」とし「中国との協力は強化されているのは事実だが、特定の国との強化策ではなく、すべての国々との軍事協力が強化されている」と答えた。

 会議で注目されたのはアフガン問題だった。アリポフ所長は「タリバン代表者は何度もウズベキスタンを訪問している」との事実を明らかにし、「ウズベキスタンはタリバンと米欧との仲介を果たす用意がある」と明言した。

 アリポフ所長が強調したのは、「平和構築には政治だけでなく、互恵的な経済プロジェクトが必要」とのことだった。「経済関係を推進するほうが戦争よりいいと地域各国とアフガン各勢力のコンセンサスができれば、中央アジアのネックとなってきたアフガン問題が解決に向かう」というのだ。

 ウズベキスタン訪日団が日本との関係強化に熱心なのは、自国の経済成長のエンジンにしたいだけでなく、中央アジア全体をも視野に入れている。わが国としても中露のはざまにある中央アジア諸国を引き寄せておく意義は小さくない。

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