■連載一覧
  • 台湾総統選 吹いた蔡旋風
  • アメリカの選択 展望2020大統領選
  • 新春座談会 令和の外交と安保―待ったなし憲法改正
  • 米大統領選まで1年 トランプ政権の攻防
  • 2020/1/14
  • 2020/1/06
  • 2020/1/01
  • 2019/11/04
  • 2016 世界はどう動く-識者に聞く
  • 戦後70年 識者は語る
  • 2015 世界はどう動く-識者に聞く
  • 2014 世界はどう動く
  • 2016/1/04
  • 2015/8/09
  • 2015/1/07
  • 2014/1/06
  • 香港憤激 一国二制度の危機
  • 香港・中国返還20年 「一国二制度」の前途
  • 台湾に吹いた蔡英文旋風
  • ルポ・政権交代の攻防 台湾総統選
  • 二極化する香港 識者インタビュー
  • 香港誌「前哨」編集長 劉達文氏に聞く
  • 「雨傘革命」下の香港 揺れる一国二制度の行方
  • 揺れる香港 各派リーダーに聞く
  • 香港の普選運動 親中派民間団体代表の見方
  • 2019/7/04
  • 2017/7/01
  • 2016/1/18
  • 2015/12/26
  • 2015/7/12
  • 2014/11/21
  • 2014/11/14
  • 2014/11/06
  • 2014/7/08
  • 中国「一帯一路」最前線 バルカンに吹く風
  • 危機のアジア 識者に聞く
  • 南シナ海 強まる中国支配 安保専門家に聞く
  • ドゥテルテ大統領就任から3カ月 どこへ向かう比政権
  • 香港「自治」の行方 識者に聞く
  • 中華圏に浸透する同性婚
  • 中台関係の行方
  • 日米同盟と台湾 海洋安全保障の展望
  • 蔡英文時代の台湾 本土派路線のビジョンと課題
  • ASEANの夜明け アジアハイウエー7000キロルポ
  • 緊張 南シナ海
  • 中央アジア胎動 中国「新シルクロード」と日本の戦略
  • “政熱経熱”の中韓
  • 新QDRと米中軍事バランス
  • 新グレートゲーム・幻想だった中国の平和的台頭
  • 新グレートゲーム・中国南進の海
  • 2018/8/20
  • 2018/1/04
  • 2017/7/26
  • 2016/9/21
  • 2016/8/17
  • 2016/7/26
  • 2016/6/03
  • 2016/5/31
  • 2016/5/19
  • 2016/3/22
  • 2015/11/18
  • 2015/10/14
  • 2015/9/07
  • 2014/3/31
  • 2014/2/14
  • 2013/4/18
  • ムスリム同胞団とアラブ モハメド・F・ファラハト氏に聞く
  • 多難な年明けのトルコ
  • EUと難民 UNHCRウィーン事務所報道官に聞く
  • ロシアのシリア内戦介入 アルアハラム財団事務局長に聞く
  • 2017/9/01
  • 2016/1/30
  • 2015/12/11
  • 2015/11/13
  • 新閣僚インタビュー
  • 令和参院選 注目区を行く
  • 大阪G20サミット焦点
  • 地方創生・少子化対策 首長は挑む
  • 新閣僚に聞く
  • 懸案にどう挑む 第4次安倍改造内閣
  • 「赤旗」役所内勧誘の実態
  • 憲法改正 私はこう考える
  • 衆院選大勝 安倍政権への提言
  • 2017衆院選 国難と選択
  • 新閣僚に聞く
  • 第3次改造内閣 信頼回復へ始動
  • ’17首都決戦
  • 施行から70年 憲法改正を問う
  • どうなる「民共協力」 27回共産党大会の焦点
  • 蓮舫民進 疑問の船出
  • 新閣僚に聞く
  • 「立憲主義」について
  • 再改造内閣 始動
  • 安倍政権 新たな挑戦
  • 16参院選 注目区を行く
  • 伊勢志摩サミット
  • 憲法改正 ここが焦点
  • 筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談
  • 第3次安倍改造内閣スタート
  • 詳解 集団的自衛権 安保法制案の合憲性
  • 衆院選 自公圧勝 ~課題と展望~
  • ’14衆院選 注目区を行く
  • 第2次安倍改造内閣スタート
  • 日米首脳会談 成果と課題
  • 2019/10/08
  • 2019/7/11
  • 2019/6/24
  • 2019/6/12
  • 2018/10/25
  • 2018/10/04
  • 2018/3/30
  • 2018/2/15
  • 2017/10/25
  • 2017/10/16
  • 2017/9/07
  • 2017/8/06
  • 2017/6/27
  • 2017/4/26
  • 2017/1/09
  • 2016/9/17
  • 2016/9/02
  • 2016/8/22
  • 2016/8/04
  • 2016/7/12
  • 2016/6/30
  • 2016/5/23
  • 2016/4/25
  • 2016/4/04
  • 2015/10/08
  • 2015/8/06
  • 2014/12/16
  • 2014/12/07
  • 2014/9/05
  • 2014/4/26
  • '18沖縄県知事選ルポ
  • 歪められた沖縄戦史 慶良間諸島「集団自決」の真実
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第2部 自衛隊配備へ動く石垣島
  • 国防最前線・南西諸島はいま 第1部 与那国島・陸自駐屯地
  • 激震・翁長県政 「オール沖縄」の凋落
  • 普天間基地移設 経緯の検証と提言
  • 「援護法」に隠された沖縄戦の真実
  • 2018/9/25
  • 2018/4/07
  • 2016/10/31
  • 2016/10/12
  • 2016/1/26
  • 2015/10/01
  • 2013/7/08
  • 何処へゆく韓国 「親北反日」の迷路
  • 金正恩体制を斬る 太永浩・元駐英北朝鮮公使に聞く
  • 迷走する北非核化
  • 平壌共同宣言の波紋
  • どうなる米朝首脳会談
  • 検証 南北首脳会談
  • どう見る北の脅威
  • 北暴走 揺れる韓国
  • どう見る北の脅威
  • 北朝鮮 制裁の現実
  • どう対処 北の脅威 米有識者に聞く
  • 9年ぶり左派政権 文在寅大統領の韓国
  • 弾劾の波紋 漂流する韓国政治
  • 検証・金正恩統治5年
  • どこへ行く混迷・韓国 国政介入事件の深層
  • どう見る金正恩体制 日韓専門家対談
  • 迎撃ミサイル配備 韓国の決断
  • 3代世襲“完成” 北朝鮮第7回党大会
  • 検証 元料理人 藤本氏の再訪朝
  • 韓国総選挙ショック
  • 日韓国交正常化50年 識者に聞く
  • どうする拉致解決 日朝ストックホルム合意1年
  • 日韓国交正常化50年 「嫌韓」「反日」を越えて
  • 張成沢氏失脚 北で何が起きたか
  • 2019/7/18
  • 2019/2/19
  • 2018/12/26
  • 2018/9/26
  • 2018/5/23
  • 2018/5/01
  • 2018/2/13
  • 2017/9/21
  • 2017/9/19
  • 2017/6/26
  • 2017/5/17
  • 2017/5/11
  • 2017/3/15
  • 2016/12/27
  • 2016/12/05
  • 2016/8/24
  • 2016/7/20
  • 2016/5/10
  • 2016/4/29
  • 2016/4/15
  • 2015/6/22
  • 2015/5/11
  • 2015/2/05
  • 2013/12/10
  • 待ったなし地球温暖化対策
  • 環境先進国フランスの挑戦
  • 迫る気候変動の脅威 どうする大災害への備え
  • 2016/1/02
  • 2015/10/07
  • 2015/9/21
  • 米中新冷戦 第2部 中国・覇権への野望
  • 米中新冷戦 第1部「幻想」から覚めた米国
  • 検証’18米中間選挙
  • 米国の分断 第3部 「自虐主義」の源流
  • 米国の分断 第2部 反米・容共の風潮
  • 米国の分断 第1部 断罪される偉人たち
  • 「米国第一」を問う トランプを動かす世界観
  • トランプのアメリカ 就任から1年
  • トランプVSリベラル・メディア
  • 「情報戦争」時代と米国
  • 米軍再建への課題-元上級将校の提言
  • トランプ政権始動
  • トランプ大統領の衝撃 米国と世界はどこに向かう
  • トランプvsヒラリー 米大統領選まで1カ月
  • オバマのLGBT外交 米国と途上国の「文化戦争」
  • トランプVSヒラリー 米大統領選まで3カ月
  • オバマ外交と次期米大統領の課題
  • 2016年米大統領選まで1年
  • 再考 オバマの世界観
  • オバマの対宗教戦争・第1部
  • オバマの対宗教戦争・第2部
  • 2019/1/16
  • 2019/1/07
  • 2018/11/11
  • 2018/10/15
  • 2018/7/18
  • 2018/5/08
  • 2018/3/12
  • 2018/1/18
  • 2017/12/21
  • 2017/4/03
  • 2017/2/28
  • 2017/1/22
  • 2016/11/11
  • 2016/10/08
  • 2016/9/26
  • 2016/8/06
  • 2016/6/14
  • 2015/11/08
  • 2015/7/06
  • 2013/8/05
  • 2013/9/30
  • JAXA宇宙探査計画
  • 2015/12/24
  • 安東 幹
    安東 幹
    共産党問題
    坂東 忠信
    坂東 忠信
    元警視庁北京語通訳捜査官
    古川 光輝
    古川 光輝
    保守国際派
    細川 珠生
    細川 珠生
    政治評論家
    井上 政典
    井上 政典
    歴史ナビゲーター
    伊勢 雅臣
    伊勢 雅臣
    「国際派日本人養成講座」編集長
    河添 恵子
    河添 恵子
    ノンフィクション作家
    宮本 惇夫
    宮本 惇夫
    企業・経営
    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    故郷に錦を飾れない「教皇」の悩み

     このコラムが掲載される頃はフランシスコ教皇はイタリアへの帰国途上だろう。いつものように機内で随伴記者団との会見が行われているかもしれない。82の高齢フランシスコ教皇にとって10時間以上の飛行機旅は大変だっただろうと推測する。日本国民の一人として教皇の訪日を感謝したい。教皇の訪問で慰められ、励まされた日本人も多かっただろう。

    800

    天皇閣下を謁見したフランシスコ教皇(2019年11月25日、バチカン・ニュース公式サイトから)

     フランシスコ教皇にとって若い時代の夢だった「日本での宣教活動」は実現できなかったが、ペテロの後継者として日本を訪ね、肌で日本国民、社会を体験できたのだから、若い時の夢の一部は実現された、と受け取っていいだろう。

     バチカンに戻れば、フランシスコ教皇には聖職者の未成年者への性的虐待問題や女性の聖職者問題からバチカンの不正財政問題に至るまで多くの難問が待っている。健康にきつい日々がまた始まる。

     ところで、南米出身のフランシスコ教皇は2013年3月、第266代ローマ教皇に選出されて以来6年半が過ぎたが、まだ故郷(アルゼンチン)に錦を飾っていない。前教皇べネディクト16世(在位2005年~13年)は就任後、ドイツに凱旋帰国している。ポーランド出身の故ヨハネ・パウロ2世(在位1978年~2005年)は27年間の教皇在位期間中、数回帰国し、国民から大歓迎を受けている。

     アルゼンチン出身のフランシスコ教皇はなぜ故郷に帰国しないのだろうか。何か特別の理由があるのか。カトリック教信者が人口の1%にも満たないタイや日本を訪問し、中東のイスラム教国エジプトやアラブ首長連邦には足を向けるが、フランシスコ教皇は母国を訪ねていないのだ。

     教皇就任直後、世界最大のカトリック教会、南米のブラジルを訪問し、15年にはエクアドル、ボリビア、キューバを訪問。16年にはメキシコ、17年にはコロンビアをそれぞれ訪問し、昨年はチリとペルーを訪ねたが、アルゼンチンだけはフランシスコ教皇の外遊計画には入っていなかった。そして来年の2020年の教皇の外国訪問先にもアルゼンチンの名前が見つからないのだ。どうしたのか。

     教皇になる前はホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿としてブエノスアイレス大司教を務めてきた。ベルゴリオ枢機卿は故郷に戻れない理由でもあるのだろうか。故郷で何か悪いことをしたのか。アルゼンチンの日刊紙クラリンは、「フランシスコ教皇はペルーを訪ねながら、なぜ母国アルゼンチンを素通りするのか」と疑問を呈したが、フランシスコン教皇とアルゼンチンの間にきっと何かがあったのだろう。

     ベルゴリオ枢機卿が教皇に選出された後、アルゼンチンから2度、現職大統領がバチカンを訪問し、フランシスコ教皇と会見している。クリスティーナ・フェルナンデス・キルチネル大統領が13年の教皇就任式典に参加した。そして大統領が代わり、実業界出身のマウリシオ・マクリ現大統領が2016年末、バチカンを訪問し、フランシスコ教皇を謁見したが、両者の会談はわずか20分間で終わったことから、「マクリ大統領はブエノスアイレス市長時代、近くに住んでいたベルゴリオ大司教(現フランシスコ教皇)とはほとんど交流がなかった」という不仲説さえ流れたものだ。

     これまでメディアに流れた「教皇の帰国できない理由」としては、①フランシスコ教皇のアルゼンチンの軍政政権時代(1976年~83年、ベルゴリオ大司教時代)での、独裁政権との関係説。アルゼンチン国民の中には、「ベルゴリオ大司教は独裁政権への抵抗が十分ではなかった」、「修道院の同胞が迫害されても救援しなかった」、「彼は独裁政権の共犯だ」等の批判の声があった。②教皇は国内の政治問題に自身が利用されることを避けたい、そして③はバチカン側の説明だが、「日程の都合」だ。③は例外だろう。チリ、ペルーを訪問しながら、隣国のアルゼンチンを訪問する日程がなかったでは余りにも説得力がない。

     興味深い点は、バチカン・ニュースはアルゼンチンの政情についてはかなり頻繁に報道していることだ。バチカン・ニュースは今月19日、「次期大統領アルベルト・フェルナンデス元首相は、「中絶の自由化に関する審議を早急に開始したい」と述べたと報じている。フランシスコ教皇のアルゼンチン教会は中絶の自由化には反対している。ただし、アルゼンチンの中絶闘争がフランシスコ教皇の帰国を阻んでいるとは考えられない。むしろ逆だ。ベルゴリオ枢機卿は故郷に戻り、国民に中絶の危険性を訴えるべきだからだ。

     フランシスコ教皇と母国との関係を考えていると、「預言者は故郷では受け入れられない」と語ったイエスの言葉を思い出す信者もいるだろう。当方はフランシスコ教皇は神の約束の地カナンを目の前にしながら入れなかったモーセと重なる(もちろん、フランシスコ教皇はイエスでもモーセでもない)。

     イエスは常に「ナザレから何のよいものが出ようか」と嘲笑された。イエスがエルサレムに入り、福音を伝えようとすると、イエスを知っているユダヤ人から、「彼は大工ヨゼフの息子だ。その息子がキリストであるはずがない」として、偽りを伝える危険人物と受け取られた。その時、「エルサレムよ、エルサレムよ」という有名な嘆きがイエスの口から飛び出したわけだ。イエスが嘆いたように、神が送った多くの預言者は過去、故郷では歓迎されず、むしろ迫害されてきた(「『預言者』は故郷では歓迎されない」2018年1月18日)。

     一方、モーセは60万人のイスラエル民族を引き連れて奴隷生活を強いられてきたエジプトを出てカナンに向かったが、イスラエル民族は辛い長旅に不満を吐露し、エジプトに戻りたいと嘆く。それを聞いたモーセは激怒し、神からもらった「十戒」を記した石板を地に投げつけて壊す。最終的には、神はモーセに「あなたはカナンに入れない」と言い渡すシーンが「出エジプト記」に記述されている。

     フランシスコ教皇はアルゼンチン国民を愛している。しかし、ペテロの後継者となったフランシスコ教皇は世界13億人の信者を先ずケアしなければならない。ローマ・カトリック教会は今、崩壊の危機に瀕している。聖職者の性犯罪件数は数万件に及ぶ。その賠償金の支払いは世界のカトリック教会の財政を危機に陥らせている。信者は教会への信頼感を失い、教会脱会者は年々増加。一方、聖職者になる若者の数は年々減少し、聖職者が不在の教区も出てきた。

     フランシスコ教皇はアルゼンチンに戻り、旧友と会ってのんびりとした日々を過ごしたいだろう。教皇には自身の羊たち(アルゼンチンの国民)を愛する前に他の羊たち(世界のカトリック信者たち)を愛さなければならないという思いが強いのかもしれない。

     世界のカトリック教会は初代キリスト教会のように霊性を取り戻し、生き生きとした神の館に回復できるだろうか。フランシスコ教皇はいつ故郷に錦を飾ることができるだろうか。

    (ウィーン在住)

    2

    コメント

    コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。

    コメント

    コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。