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日・EUパートナーシップ署名に尽力 来月退任するユンケル欧州委員長

中国の「一帯一路」を警戒し、協力不可欠

 11月に退任する欧州委員会のユンケル委員長は9月27日、ベルギー・ブリュッセルで開催された「欧州連結性フォーラム」に参加した安倍晋三首相とともに持続可能な途上国支援などに関する協定「日・EU間の持続可能な連結性と質の高いインフラストラクチャーに関するパートナーシップ」に署名した。

ユンケル欧州委員長

ユンケル欧州委員長=2018年11月、ブリュッセル(EPA時事)

 同協定の背景には中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」に対抗する狙いがある。英国の欧州連合(EU)離脱を控えたユンケル氏は、この調印を心から喜んだ。

 ブレグジットに揺れるEUは、ポピュリズム政党の台頭や自国中心主義の旋風が吹き荒れる中、加盟27カ国の結束が揺らいでおり、ドイツの景気減速で経済的にも良好とは言い難い状況にある。イタリアは海路の貿易要所の湾岸開発で中国の投資を受け入れ、EUだけでなく、先進7カ国(G7)メンバー国として、初の「一帯一路」参加国となった。

 今回調印されたパートナーシップ協定は「一帯一路」とは異なり、国際基準を重視する持続可能なインフラ投資として、運輸やエネルギー、デジタル分野などを対象に欧州・アジア間の高度なインフラ構築に取り組むことを目指している。EUは、すでにアジアのコネクティビティー(連結性)強化に向けて600億ユーロを投じることを表明している。

 ユンケル委員長は首相と計20回の会談を行っており、今年2月には世界貿易の約4割をカバーする日・EU間の経済連携協定(EPA)の発効に漕ぎ着け、戦略的パートナーシップ協定(SPA)も結んだ。中国の経済覇権を警戒するEUの日本との連携強化は、EUの重要な柱と位置付けられている。

 今回のパートナーシップ協定は、西バルカンや東欧、中央アジア、インド太平洋、アフリカにまで広がり、インフラ構築に国際ルールに基づいて日本とEUが連携して取り組むためのものだ。EUの拠出金に加え、複数の開発銀行や民間企業が資金提供を行うとしており、日本側も民間資金を加えた資金を準備する方針だ。

 すでに中国は欧州とはロシアルートで鉄道で結ばれ、ベトナムやラオスなどの交易の要所を結ぶ道路インフラで巨額の投資が行われている。中国の投資を受けた国々は債務漬けに陥るリスクを抱える。EUは中国の覇権を阻止するとともに成長するアジアなど途上国とのアクセス強化を模索しており、日本との協力は不可欠という立場だ。

(パリ 安倍雅信)

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