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    古川 光輝
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    細川 珠生
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    井上 政典
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    伊勢 雅臣
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    河添 恵子
    河添 恵子
    ノンフィクション作家
    宮本 惇夫
    宮本 惇夫
    企業・経営
    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    ドイツ社民党を救済するのは「誰」?

     大政党の党首ポストを目の前でちらつかされれば、それを掴もうとするのが政治家だろう。しかし、例外がある。ドイツの第4次メルケル連立政権に加わっている社会民主党(SPD)だ。ナーレス党首が6月辞任表明した後、2人党首の指導体制を敷き、暫定党首を決め、今年12月初めに開催される党大会で正式に党首を選出することになったばかりだ。来月1日の党首選立候補登録期限が差し迫ってきたが、党内の大物党員は静かで、これまで手を上げなかった。簡単に言えば、誰も今のSPD党首に就任したくないのだ。

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    社民党の党首選に候補を表明したショルツ財務相(ドイツ連邦財務省公式サイトから)

     独社民党(1863年創設)は東方外交のヴィリー・ブランド、ヘルムート・シュミット、「新中道」を提唱したゲアハルト・シュレーダーといった時代の挑戦に立ち向かった指導者を輩出してきた政党だ。昔の社民党を知っている古参幹部の嘆きは深刻だ。

     しかし、捨てる神があれば、拾う神も出てくるものだ。メルケル政権で財務相を務めるオーラフ・ショルツ氏(61)が16日、党首選に候補することを決めたというニュースが報じられたのだ。それが報じられると、社民党内でも「やっと本命候補者が出てきた。これで党首選らしくなる」といったと安堵の声が聞かれるという。ショルツ財務相が誰と組むかは不明だ(SPD党首は今後、男性と女性の2人党首制)。

     参考までに、ニーダーザクセン州のピストリウス内相とザクセン州のペトラ・ケピング統合相組が立候補を表明したほか、党副党首のラルフ・シュテーグナー副党首、SPD大統領候補者だったゲジーネ・シュヴァン女史組が立候補を明らかにしたが、連邦レベルの政治家ではなく、社民党党首として小物すぎると受け取られてきた。

     話を進める前に、社民党で党首になることを願う党幹部がなぜいないのかを少し説明する。

     ドイツで9月1日、旧東独のザクセン州とブランデンブルク州で州議会選挙が行われる。ビルド日曜版のために実施された世論調査によると、両州とも極右派政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が世論調査では23%の支持を得てトップを走っている。それを「キリスト教民主同盟」(CDU)が1ポイント差で追っている。左翼党14%、「同盟90/緑の党」14%、その後に社会民主党(SPD)11%、リベラル派「自由民主党」(FDP)7%となっている。連邦レベルでは、CDU/CSUが26%でトップ、それを追って「緑の党」23%、第3党にAfD14%となり、その後にSPDが13%、FDP9%、左翼党8%の順だ。すなわち、SPDは連邦レベルで4党なのだ。CDU/CSUと社民党の2大政党時代は昔の話というわけだ。

     特に、SPDの低迷は目を覆うほどだ。過去2年間で党首が2度、短期間で代わった。SPDは2017年3月19日、ベルリンで臨時党大会を開き、前欧州議会議長のシュルツ氏を全党員の支持(有効投票数605票)でガブリエル党首の後任に選出し、メルケル首相の4選阻止を目標に再出発した。シュルツ氏は停滞する党勢を復帰してくれる救世主のように期待されたが、その後の3つの州議会選(ザールランド州、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州、そしてドイツ最大州ノルトライン=ヴェストファーレン州)でことごとく敗北を喫し、本番の2017年9月24日の連邦議会選では社民党歴史上、最悪の得票率(20・5%)に終わった。

     シュルツ党首に代わり、社民党初の女性党首としてアンドレア・ナーレス氏が昨年4月、就任したが、ナーレス社民党もシュルツ氏と同じように選挙の度に支持率を失っていった。SPDは昨年10月14日のバイエル州議会選では第5党となり、極右党AfDの後塵を拝したばかりだ。5月26日に実施された欧州議会選では社民党は15・8%と前回(2014年)比で11・5%減と大幅に得票率を失う一方、同日に行われた独北部ブレーメン州議会選でも戦後からキープしてきた第1党の地位をCDUに奪われるなど、散々な結果で終わったばかりだ。ナーレス党首は今年6月2日、その責任を取って党首と連邦議会(下院)の会派代表のポストを辞意表明したわけだ。

     “希望の星”シュルツ党首は社民党の低迷をストップできず、1年余りで党首ポストをナーレス党首に譲った。SPD初の女性党首に就任したナーレス党首も党の低迷を止めることはできず、最終的には1年2カ月の短命で党首のポストから降りた。

     党の低迷の主因をメルケル連立政権に参加したことだとして第4次連立政権から離脱すべきだという声は社民党内にもあるが、早期総選挙の実施を求める声は聞かれない。現在の党勢では早期総選挙は自殺行為に等しいからだ。党の低迷にストップをかけ、それから選挙というわけだ。

     ショルツ財務相はハンブルク市長を経験し、第4次メルケル政権で財務相に就任。実務経験の多い政治家としてCDU内でも評価は高い。本人は財務相を務めながら党首を兼任するのは時間的、日程的にも難しいと考え、党首候補を控えてきたというが、党幹部が手を上げない状況の中、党の存続をかけて党首選に乗り出さずを得なくなったというのが現実だろう。なお、シュルツ財務相はCDU/CSUとの大連立支持者だから、同財務相がSPD党首に選出された場合、大連立政権からの離脱というシナリオは後退する。

     社民党は10月14日から党員集会を開き、そこで次期党首候補者の公聴会を実施し、12月初めの党大会で新党首を正式に決定する予定だ。

    (ウィーン在住)

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