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    古川 光輝
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    細川 珠生
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    井上 政典
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    伊勢 雅臣
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    河添 恵子
    河添 恵子
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    宮本 惇夫
    企業・経営
    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    中国に急傾斜するイタリアの冒険

     イタリアの国民経済はリセッション(景気後退)に陥ってきた。同国統計局(ISTAT)が1月31日公表した昨年第4四半期の国内総生産(GDP)は前期比で0・2%減とマイナス成長を記録した。予算をめぐる欧州連合(EU)との対立の影響もあってイタリア国債の利回りは上昇し、財政懸念が国民経済の発展のブレーキとなっていると受け取られている。イタリア国民経済は経済統計を見る限りリセッションだ。先月9日、ローマで約20万人の反政府デモが行われたばかりだ。

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    昨年6月1日からイタリアのかじ取りをする法学者のジュゼッペ・コンテ首相(イタリア首相府公式サイトから)

     中道右派「同盟」とポピュリズムで反EU路線の政党「5つ星運動」から成るコンテ連立政権はここにきて中国に接近してきた。具体的には、習近平国家主席が提唱した新しいシルクロード構想「一帯一路」への参加だ。東南アジア、西アジア、中東、欧州、アフリカを鉄道、道路、湾岸を建設し、陸路と海路で繋ぐ巨大なプロジェクトで9000億ドルの資金が投入されるという。欧州では、ハンガリーやギリシャは既に同プロジェクトに参加しているが、イタリアでもトリエステ市(同国北東部の湾岸都市)は中国企業の欧州供給拠点となることを期待している。例えば、ギリシャ政府は2016年4月、同国最大の湾岸都市ピレウスのコンテナ権益を中国の国営海運会社コスコ(中国遠洋運輸公司)に売却するなど、中国との経済関係を深めている。

     「5つ星運動」の党首、ディマイオ副首相兼経済発展・労働相はここ数カ月の間で2回、北京を訪問し、「一帯一路」への参加に積極的な姿勢を表明し、「イタリアは欧州では最初の中国プロジェクトのパートナーとなる」と主張するなど、雇用拡大、投資、安価なクレジットを中国から獲得して、イタリア経済を回復させたい意向を表明している(独週刊誌シュピーゲル電子版3月9日)。

     イタリア現政権の中国傾斜に対して米国やEUのブリュッセルから警告の声が出ている。駐ローマのルイス・アイゼンベルク(Lewis Eisenberg)米大使はジュゼッペ・コンテ首相と会合し、「イタリアは中国と一帯一路プロジェクトで署名すべきではない。イタリアは国際社会で名声を失う危険性がある」と警告を発している。コンテ政権内でも中国傾斜には賛否両論があることは事実だ。

     駐中国の欧州諸国の大使たちは昨年、中国のプロジェクト参加には警戒するようにという趣旨の共同声明を出した。その一方、ブルガリア、クロアチア、チェコ、スロバキア、ギリシャ、マルタ、ポルトガル、ポーランド、ハンガリー、スロバキア、そしてバルト3国の計13カ国は中国との協定に署名済み、ないしは参加意思を表明済みだ。

     しかし、そこにイタリアが入った場合、インパクトは上記の13カ国より数段大きい。経済危機に陥っているとはいえ、イタリアはEU内で4番目の経済国であり、世界で8番目の経済国だ。そのイタリアが中国のプロジェクトに参加したならば、経済的ばかりか、政治的衝撃は無視できない。中国としても、EUの主要国イタリアを陥落させたいという思いが強いだろう。

     ところで、中国のプロジェクトに参加し、北京から投資を受けてきた国の中には、債務返済不能に陥っている国が多い。スリランカ、モンゴル、パキスタンで既にみられる。債務返済不能となった場合、中国側の言いなりになってしまう危険性が出てくる。イタリアでも米中貿易戦争が終了し、世界経済が改善される時まで中国との間でいかなる経済文書にも署名しない方がいいといった声が出ている。

     今月22日に習近平国家主席がローマを訪問する。その前日にはブリュッセルでEU首脳会談が開催され、中国のプロジェクトについて話し合われる予定だ。そしてEU・中国サミット会談は4月9日に開催される。それまでにEUは中国のプロジェクトに対するEU加盟国でのコンセンサスを構築しなければならないわけだ。

     イタリアは2000年1月、当時の先進主要国7カ国(G7)の中で北朝鮮と最初に外交関係を樹立した国だった。そのイタリアは19年後の今日、中国の「一帯一路」プロジェクトに加わるG7の最初の国となろうとしている。

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