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    安東 幹
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    坂東 忠信
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    古川 光輝
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    細川 珠生
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    井上 政典
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    伊勢 雅臣
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    河添 恵子
    河添 恵子
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    宮本 惇夫
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    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    ドイツ“バイエルン州ファースト”の波紋

     メルケル首相が率いる独与党「キリスト教民主同盟」(CDU)とゼーホーファー内相のバイエルン州の地域政党「キリスト教社会同盟」(CSU)は姉妹政党だ。両党とも「キリスト教」を政党名に付ける中道右派政党だ。これまで両党は選挙戦ばかりか、政策ガイドライン作りでも同じ歩調を取ってきたが、両党の関係がここにきて急変してきた、というより、対立が先鋭化し、第4次メルケル連立政権の土台すら震撼させている。

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    難民政策で連携を深めるバイエルン州ゼ―ダー首相(左)とオーストリアのクルツ首相(2018年6月20日、オーストリアのリンツで、CSU公式サイトから)

     CDU/CSUの関係険悪化の最初の契機は2015年以来の大量難民の殺到だ。100万人以上の難民が中東・北アフリカからドイツに殺到したが、その影響を最も受けたのがドイツ南部のバイエルン州だ。

     同州出身のCSUのゼーホーファー内相はメルケル首相に難民歓迎政策の修正、難民受け入れ最上限の設定などを要求してきた経緯がある。先の連立交渉でゼーホーファー氏が連立政権の閣僚入りを果たし、難民政策の権限を有する連邦内相のポストを手に入れたまでは良かった。

     しかし、政権入り後もメルケル首相の難民政策は変化しない一方、ゼーホーファー内相はドイツに難民申請した者が他の欧州で登録済みの場合、国境で強制的に返還させることを主張し、欧州統合の難民政策を模索するメルケル首相と対立。ゼーホーファー内相はCDUとの政党連携を分裂させることも辞さない強硬路線を取ってきた。

     ゼーホーファー内相の強硬政策に対し、連立与党の社会民主党(SPD)から「バイエルン州ファーストはドイツの連立政権を破壊するだけではなく、欧州全体に大きなダメージを与える」という警告の声が出てきている。

     SPDの元党首、ガブリエル前外相は「CSUの政策は非常に危険だ。CSUはそれで得るものはない。ドイツ連立政権を崩壊させ、ドイツと欧州をカオスに陥れるだけだ」と警告。一方、シュタインマイヤー大統領(SPD出身)も「党最高指導者が本来、解決できる問題に対し激しく対立を繰り返すやり方には未来はない」とあからさまに批判している。

     ゼーホーファー内相が今回、強硬政策に拘るのはバイエルン州で10月14日、州議会選挙が実施されるからだ。同州与党のCSUはこれまで議会の過半数を掌握してきたが、支持者離れの傾向が見えだした。特に、右派政党、反難民政策、反イスラム教を主張する「ドイツのための選択肢」(AfD)が州選挙で躍進する可能性が高まってきた。CSUはうかうかしておれないという危機感がある。ドイツの複数世論調査によると、CSUを支持する有権者は約38%と過半数を大きく下回っている。そこでCSUはAfDより厳格な難民対策を実施することで有権者の関心と支持を得ようというわけだ。

     ゼーホーファー内相はメルケル首相に対し、「今週末の欧州連合(EU)首脳会談前に難民政策を修正しなければ、バイエルン州は既に申請済みの難民は国境で強制送還する処置を開始する」と警告したばかりだ。なお、CDUとCSU、SPDのトップが26日夜、ベルリンの首相府で会合し、難民政策でコンセンサスを模索している。

     ちなみに、マルクス・ゼ―ダー バイエルン州首相は今月20日、オーストリアのクルツ首相とリンツで会合し、難民対策で連携強化をアピールしている。

     最後に、不動産王トランプ氏が“米国ファースト”を宣言してホワイトハウス入りして以来、欧州でもミニ・ファーストを標榜するハンガリーのオルバン首相らの政治家が出てきた。そのファースト政策を助けているのが難民・移民の殺到だ。“バイエルン州ファースト”もその延長線にある。ただし、世界各地で“ファースト”が叫び出されてきたこともあって“ファースト”に新鮮さが薄れ、少々食傷気味となってきた感もする。自分優先、自国ファーストは主張としては分かり易いが、選挙に追われる政治の世界に益々ロマンが無くなってきた。閉塞感が覆う今日だけに、このへんでロマンを語る政治家が現れてきてもいいのではないか。

    (ウィーン在住)

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