ワシントン・タイムズ・ジャパン

迷走する中国、インド侵攻も選択肢

■台湾派兵明言しないアメリカ

 アメリカは中国が台湾侵攻を行えば、同盟国とともに対応すると中国を威嚇。それに中国が反発している。だがアメリカは、台湾にアメリカ軍を派遣し、台湾軍と共同作戦を行うとは明言していない。

●中国外相、台湾問題で米をけん制 首脳会談控え
https://jp.reuters.com/article/usa-china-xi-taiwan-idJPKBN2HZ00A?il=0

 中国はアメリカに反論しても、人民解放軍を用いた威嚇をしていない。双方が外相と首脳の会談を行うことで対話の姿勢を見せているが、譲歩する気配はない。中国は、アメリカ軍が台湾派遣に積極的でないと知りながら、曖昧な反論で終わらせている。

■国防線の位置

 国防線は、国境の外に置き、仮想敵国が突破したら、国境の間で迎撃する緩衝地帯。何故なら、国土で敵国と戦争すれば、国土で生活する自国民を戦闘に巻き込む。これでは戦争に勝っても国民を守ったことにはならない。だから各国は、国境の外に国防線を置くのが基本。

 海洋国家の国防線は、大陸の海岸線に置くのが基本。アジアならば、中国大陸の海岸線と朝鮮半島の38度線に置く。さらに大陸の海岸に、友好国を作り軍隊を置くのも基本。

 朝鮮半島であれば、韓国に在韓米軍を置いている。海洋国家であるアメリカから見れば、韓国は大陸に上陸した時の橋頭堡。戦時に上陸作戦を行うと損害が多い。だから平時に、海岸線の国に友好国を持ち、橋頭堡としての役目を持たせる。

 在韓米軍が存在するのは、アメリカの国防線が38度線に置かれているから。この場合は、在韓米軍は韓国軍と共同作戦を行う。だが不可解なのは台湾の立場。本来であればアメリカ軍を台湾に置くべきだが、アメリカ政府は台湾と距離を保っている。

 台湾・南シナ海のアメリカ政府の国防線は何処か?
大陸の海岸線に置かれているなら、香港問題の時に、アメリカ政府はアメリカ軍を香港に派遣している。だが、それがないことは、大陸の海岸線と台湾に置かれていない証。

 アメリカ海軍の動きを見ていると、台湾海峡を強引に航行している。どうやらアメリカ海軍は、地政学の基本に従い、大陸の海岸線に国防線を置いている。だがアメリカ政府の国防線は、バシー海峡に置かれている。

 アメリカ政府の国防線が大陸の海岸線か台湾に置かれているなら、台湾にアメリカ軍基地を置く。韓国のように在韓米軍を置いていないので、アメリカ政府の国防線がバシー海峡になるのは確定。

■台湾侵攻はアメリカの罠

 国防線がバシー海峡だから、アメリカ軍基地を台湾に置かない。その代わり、アメリカ政府は台湾を軍事支援する。ではアメリカ軍の戦闘参加はあるのか?
アメリカ政府は、台湾軍が敗北する兆しを見せれば、同盟国と共同して台湾軍支援に参加する。

 アメリカ政府としては、中国の台湾侵攻を待っている。むしろ、中国が台湾侵攻を行うことを望んでいる。理由は、軍隊を用いて戦争を始めると、今の平和を否定する行為。そうなれば中国は平和を否定する悪の国になるので、アメリカは正義の国として参戦可能。

 だが直接戦争するとアメリカ人の損害が出る。アフガニスタンで損害が多かったので、アメリカ政府としては人的損害を回避したい。ならば台湾への軍事支援で中国と戦争させるほうが有益。

 中国はアメリカに挑戦しているから、台湾を使って代理戦争をさせることが望ましい。アメリカ政府は台湾への軍事支援で金が入り、しかも台湾が中国を消耗させる。見た目のアメリカは台湾を巡り中国と対立しているが、本音は台湾侵攻を望んでいる。

 こんな見え透いた罠を中国が判らないわけがない。実際に中国は、台湾侵攻を臭わせるが、威勢はいいが実行する戦力に欠けている。しかもアメリカを威嚇する方向に変えており、罠から逃げる素振りを見せている。

 仮想敵国が外交で弱気になれば、軍事力で覇権を拡大するのが基本。国際社会には軍事力の空白地帯はないから、必ず何処かの軍隊が侵入する。これが国際社会の現実だが、アメリカが台湾に対して曖昧なのに、中国は攻めの外交をしていない。台湾侵攻が罠だと知っているからだ。

■中国の海洋進出は頓挫

 中国は、南シナ海・東シナ海の制海権をアメリカ海軍・イギリス海軍に奪われた。実際に人民解放軍海軍の継続的な活動が、南シナ海・東シナ海で減少している。それに対して、アメリカ海軍・イギリス海軍の継続的な活動が増加しているので、中国の海洋進出は頓挫している。

 人民解放軍の戦力で台湾侵攻は可能。だが台湾侵攻すれば、アメリカが用意した罠の中に飛び込んでしまう。アメリカが習近平のために用意した棺桶は明白だから、習近平が自ら棺桶に入るとは思えない。だが過去の中国は、基本を無視して朝鮮戦争に参加した前例がある。

 当時の中国は、人民解放軍を義勇兵と称して朝鮮戦争に参加。これは兵站を無視した侵攻だったので、アメリカ軍には奇襲になった。この前例があるので、台湾侵攻がないとは言い切れない。同時に、別の可能性もある。それはインドへの侵攻。

 アメリカ政府の国防線が大陸の海岸線に置かれていないことは明白。ならば、アメリカ軍を積極的に派遣することはない。そうなれば、インド・中国の国境付近ならば、アメリカのインドへの軍事支援はあるが戦闘参加はないことになる。

 しかもインド・中国国境付近となれば、海岸から遠く離れている。これではアメリカ軍の兵站線は長く、アフガニスタンの悪夢の再来。アメリカ政府が消極的になるのは明らかで、インドへの軍事支援に留まるのは明らかだ。

 中国としてはインド侵攻にもリスクはあるが、台湾侵攻よりはリスクが少ない。何故なら台湾侵攻なら日米同盟の参加が確定しているが、インド侵攻では同盟軍の参加は未定。つまり、中国によるインド侵攻に対する同盟軍との連携は台湾以上に曖昧なのだ。

■インド侵攻が有力

中印国境を警備するインド軍兵士(大紀元より引用)

中印国境を警備するインド軍兵士(大紀元より引用)

 中国は国内問題で苦しんでいる。食料不足・電力不足・武漢ウイルス感染拡大など連続し、企業の破綻危機も発生。国内経済は不安定で、外国に侵攻しても生産と輸送が対応できない。

 中国は人民解放軍を使い、南シナ海・東シナ海の覇権を拡大した。だがアメリカ海軍・イギリス海軍に制海権を奪われ、中国の覇権が縮小した。中国国内では、外のことを無視して習近平の独裁強化に邁進。

 それでも中国の覇権縮小は変わらないから、国民の敵意を外国に向けなければならない状況に追い込まれている。そうなれば、台湾侵攻かインド侵攻が可能性として高い。戦略的には台湾侵攻が有益だが、台湾侵攻はアメリカが用意した罠。国民の目を外国に向け、しかもアメリカ軍の戦闘参加がないインド侵攻が有力になる。実際に選ぶのは習近平だが、台湾侵攻に限定せず、インド侵攻も想定すべきだ

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