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「中国版リーマン・ショック」で日本も国家破綻に巻き込まれる!?

 こんにちは、元・中国人、現・日本人の漫画家の孫向文です。

●中国産「Made in Japan」製品の隆盛

 僕は1980年代の生まれです。父は、僕が小さい頃から日本製の電気製品マニアでした。家にはパナソニックや日立、東芝、シャープなどの白物家電の他、VHSやテレビなど映像、娯楽商品まで、沢山ありました。言うなれば「日本製原理主義者」でした。当時は鄧小平が松下電器を中国に招致し、中国国民の間で松下電器が一躍有名ブランドになり、テレビを付ければ、一日中日本製電気製品のコマーシャルが流れ、非常に親日的な時代でした。僕はそんな親日的な雰囲気で育ちました。

 しかし、天安門事件以降、情勢は一変しました。1990年代、江沢民政権になると、天安門事件を国民の目から隠蔽するために反日教育が始まりました。一方で、日本企業の中国への工場移転がブームになり、以来、真正「Made in JAPAN」商品が激減し、現在は、中国国内で販売される日本の電気・電子製品は、ほぼ中国製です。

 「日本製原理主義者」の父も失望し、最近は(日本に住む)僕に、日本で純正日本製の商品を買うよう頼んできます。なぜ父がそんなに日本製にこだわるのかというと、同じメーカー、同じ商品でも、日本製のほうが中国製より耐久性があるというのがよくわかっているからです。

 それに気付いた中国人は多く、今は中国人の間で「日本メーカーの商品は『どうせ中国製だよ』」と失望していて、ブランド価値がだいぶ下がっています。最近は、日本にやってきた中国人観光客が求める商品はやはり「純正」日本製の商品ばかりです。今回は東芝が、中国から全面撤退するというニュースを紹介します。

●東芝、中国撤退を決定づけた中国企業による買収劇

 実は東芝は、80年代から中国に日本製の商品を販売し、90年代から中国に工場を開設し、中国国内で生産を始めました。日本企業の中国進出の典型的事例でした。東芝グループは1991年9月に中国・大連に工場を建設。中国最大規模の中国本社です。

 ところが、2021年9月に大連工場の閉鎖を発表しました。これで中国における東芝の一時代が終わりとなりました。東芝は中国に投資開始以来、中国全土で25校の「希望小学校」の建設に出資し、中国人の間にも評判のいい企業でした。実は1990年代から協業関係にあった東芝の白物家電部門に目をつけた美的集団は、当時赤字だった同部門を537億円で買収しました。それ以来、東芝の電気製品の「日本ブランド価値」は急落し、形骸化しました。

 このようなことがあり、中国人は「東芝の製品を買うのは中国メーカーのものを買うのと同様だ」と失望しました。東芝以外にも、日立、パイオニア、パナソニック、三洋電機などの日本の家電製品ブランドが中国の民間企業に買収されたり、「中国化」したりしていきました。技術流出が、さらに止められない状況となったのです。

 しかし、情勢は更に急変し続けます。日本の主要メディアは報道しませんでしたが、それは中国政府に忖度するためだったのでしょうか?

●ネットユーザーが指摘する「反日教育」の誤算

東芝の中国(大連工場)撤退の憶測を伝える中国メディア 「自由財経」より引用

東芝の中国(大連工場)の憶測を撤退を伝える中国メディア
「自由財経」より引用

 8月末、日本の電機大手の東芝グループは、遼寧省の大連工場を2021年9月30日に閉鎖することを発表しました。これは2013年末に大連のテレビ工場を閉鎖したのに続く措置です。つまり、東芝は1990年代からの中国での生産に終止符を打つことになります。

 東芝グループは、中国24の都市にある33の工場と研究開発施設を2021年12月末までに閉鎖し、研究開発施設と精密部品の生産は日本に戻し、電機事業はすべてベトナムに移設予定と発表しました。

 最近、あるネットユーザーが中国製SNSのWeiboに投稿したところによると、東芝は大連工場の1000人を正式に解雇することを発表。1000人の従業員が会議に参加している様子を撮影した動画も投稿されました。動画には、作業服を着た中国人従業員が携帯電話で撮影している様子が映っており、中には「彼らは長年ここで働き、家族や子供を持ち、中には子供がここで働いている人もいるのに、すべてが思い出になろうとしている」と嘆く人もいました。

 東芝の大連工場の閉鎖は、ネットユーザーの間で「日本製品を全面的にボイコットする一方で、日本企業が撤退する時には悲鳴を上げる。反日教育の方針を反省すべき時だ!!」と皮肉る声も上がり、まさに茶番劇でした。年末までに東芝が全面撤退する際に、中国には数万人の失業者が発生するでしょう。今まで激しい反日教育を施してきた習近平主席はどんな気持ちなのでしょうか!?
想像するだけでワクワクします。

●中国から撤退する海外企業続々、国内経済の悲鳴

 2019年末に新型コロナ感染症が発生して以来、中国政府は外国人の入国を規制し、2020年の夏には大洪水が発生して、交通障害が発生し、海外企業のサプライチェーンが大きな打撃を受けました。アップル社員の日本人の知人によると、2020年にiPhone12のリリース、発売が遅れた原因は、中国政府が入国する外国人へのPCR検査や隔離を強化し、iPhone12シリーズの商品の設計図を中国の工場に送るのを遅らせたからです。そして、中国の三峡ダムの決壊を懸念した中国政府が、秘密裏に放水し、今年の夏にも2回目の大洪水が発生しました。

 今後も梅雨の季節には、中国で毎年恒例の大洪水が発生する見通しです。これに伴い日本企業にも支障が発生しました。2020年6月に第1弾として87社の日本企業が中国から撤退し、そのうち30社が東南アジアに生産ラインを移設、57社が日本に戻りました。同年7月、日本政府からの第2弾の撤退補助金に1670社もの日本企業が応募しました。

 実は同時期に、韓国のサムスングループが中国からの撤退を進めており、最近では寧波のサムスン重工業が閉鎖を準備し、従業員が抗議のデモ行進を行いました。

 こうして海外からの投資が撤退し、中国国民の間では失業や景気悪化の不安が広がっています。9月9日の朝、サムスン重工業の寧波工場で働く数千人の従業員が、撤退による失業の不安から抗議行動を行いました。日本の企業と比べて、サムスン社からの退職金は少なくなるという憶測も出ているようです。

 中国メディアの報道によると、サムスンの寧波工場の従業員は、今年7月頃、サムスン本社が寧波工場の操業を終了する準備をしていることを知らされたといいます。また、工場がある地方政府は、土地の再利用契約が終了したと発表しました。つまり、サムスンの中国撤退は既成事実になりました。

 サムスンは、2019年から2020年にかけて、中国の携帯電話、パソコン、テレビの工場を次々と閉鎖しています。東芝の撤退プロセスとほぼ重なっています。

●海外企業撤退の裏で噂される「中国版リーマン・ショック」

 実はこれから、海外企業の中国からの大規模撤退を起こす、他の引き金も浮上しています。

 中国不動産開発大手「恒大集団」は巨額の負債を抱えています。その額は約3千億㌦(約33兆円)に上ります。この企業が破綻した場合、中国経済界に激震が走るだろう言われています。中国で売上高2位の「恒大集団」が債務危機に陥れば、投資者にとってはいわゆる「マイナス資産」になります。言うなれば、「中国版リーマン・ショック」が必至だということです。

 今は債権者が、企業の債務不履行を恐れています。すでに中国各地で株の投資者がデモを行い、自殺すると訴える市民もいました。同社は、資産を売却して資金を調達しようとしていますが、どう見ても債務返済には焼け石に水レベルです。さらに、住宅を購入しても、建築工事が完了するまで数か月あるいは数年も待つ場合も多く、不安は募るばかりです。工事は完了できません。マンションを納品できず、多くの国民の一生の財産が水の泡となりかねません。

 実は日系金融企業の野村ホールディングス中国エコノミストは、「恒大集団の経営破綻は、中国に真のドミノ効果を起こす」とコメントしています。

 前述のように、中国国内のパンデミックが終息せず、毎年のように大洪水が頻発、すでに息が弱まっている日本をはじめとした海外企業が、中国の不動産バブル崩壊を引き金に大逃亡しています。こうして中国経済崩壊の前兆が目に見え始めているところです。

 そして、中国共産党政権も揺れ、日本の経済界、親中派にも大きな打撃を与えるでしょう。日本政府は今すぐ、中国への経済依存から脱却しなければ、日本国民まで、この中国経済崩壊に巻き込まれかねません。

 日本の民間企業も対中投資を今すぐやめるべきです。コロナの上に「中国版リーマン・ショック」、日本企業は今すぐ中国との取引を切らないと、国家破綻に繋がりかねません。

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