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中国共産党・結党100年 〜世界がドン引きした演説と各国からの『皮肉』の声

妄想した者は14億の中国人民が血と肉で築いた鋼の長城にぶつかり血を流す

河添恵子氏

河添恵子氏

 中国共産党は7月1日に結党100年を迎えた。
それにあたり、日本では「習近平の傲慢…中国共産党結党100周年で自らを毛沢東と『同格』扱いした理由」「中国共産党100周年、歴史を統制し『神話作り』に力」「中国共産党100周年式典は習近平ただ1人を礼讃するイベントと化した」「二階氏や枝野氏 中国共産党100周年にメッセージ」「小沢一郎氏が中国共産党100周年に祝意『国際社会が大きな期待』」「プーチン大統領ら多くの国の首脳、中国共産党100周年を祝う」などのタイトルの報道があった。

 だが、これらのタイトルと内容を見ているだけでは、「自由と民主」「法の下の平等」「人権」を価値基準とする西側諸国が、昨今の中国共産党をどのように評価しているかはまったく分からない。
西側メディアの内容を紹介する前にまず、習近平国家主席が、結党100年にあたりどのような演説をしたのかを端的にまとめよう。

 「我々は最初の100年の目標を実現した。全面的な小康社会(ややゆとりのある社会)を築き上げ、絶対的な貧困の問題を歴史的に解決した。中国は半植民地化という国家的な屈辱に遭った。その時から中華民族の復興の実現が夢となった。我々は帝国主義、封建主義、官僚資本主義の3つの山を打倒し、中華人民共和国をつくった。改革開放で社会主義市場経済への歴史的転換を実現した」「(習氏が総書記となった2012年の)第18回党大会以来、特色ある社会主義の新時代に入り、国の統治能力を現代化して(2049年の)2つ目の100年の奮闘目標への道筋をつけた。共産党がなければ新中国もなく、中華民族の偉大な復興もない。党の指導は中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴で、最大の優位性だ。党と中国人民を切り離そうという企ては思い通りにはならない。人類文明の有益な成果は手本とし、有益な提案や善意の批判は歓迎するが、教師づらした偉そうな説教は受け入れない。共産党は自ら選んだ道を歩く」「100年前、50数人だった共産党員は9500万人以上となった」「軍隊の現代化を加速させる。国を強くするには軍を強くする必要がある」「中華民族は強烈な民族の誇りと自信を持っている。我々をいじめ、服従させ、奴隷にしようとする外国勢力を中国人民は決して許さない。妄想した者は14億の中国人民が血と肉で築いた鋼の長城にぶつかり血を流すことになる」などと演説している。

支配層とAIで監視される大多数の奴隷

 では、海外メディアや論客はどのように語っているのか?

 英国の『Mail Online』。タイトルは、「習近平国家主席は、共産党結党100周年で香港に『秩序』をもたらしたと自負。だが、中国はアメリカを念頭に敵を『頭が割れて血が流れる』と脅している」。記事は、2人の娘を連れて英国へ亡命した香港人の女性による「中国共産党は地獄へ落ちるが良い」というコメントで終わっている。

 また、100年前の中国共産党結党は、上海のフランス租界で行われている。米国より15年早い1964年に国交を締結したフランスだが、中道左派のクオリティペーパー『ル・モンド』紙のタイトルは、「中国100歳の党の挑戦。質問への回答を拒む党は全体的な衰退へと向かっている」だった。その内容には「この数年、目の前で繰り広げられている世界の変貌を驚きをもって見守っている。2049年までに中国を世界有数の大国にするという目標のため、1人の男のために体制全体が動かされているのだ。そのプロパガンダは、外国人に対するパラノイア*だけでなく、自国民に対するパラノイアにも匹敵する」と記されていた。1人の男が誰を指すかは、書かないまでも分かるはずだ。
ちなみに2017年1月の世界経済フォーラム(通称ダボス会議)後の同紙では、習主席を「自由貿易の旗手」と手放しで称えていたのだ。この3年、欧州連合(EU)は、中共政府に対する〝付き合い方〟を抜本的に変えるべく、警戒モードを強めてきた。

 そして、非常に的を射た内容を発表しているのは、旧共産圏の超大国、ロシアかもしれない。『エキスパートロシア』という雑誌で、「中国共産党創立100周年を祝う『赤い皇帝』」とのタイトルの興味深い長文の記事を見つけた。

記事には、このようなくだりがある。

 ――中国共産党がこの100年間、成功してきたのは現在の9500万人という驚異的な党員数と中国国民の知恵だけであるかのように書いている。1949年の政権奪取とその後の社会主義の建設は、当時のソ連からの直接的な援助(第6回中国共産党大会はモスクワ近郊で開催された)によって可能になった、その事実は「赤い皇帝」の報告書には書かれていなかった――。

 「歴史の捏造、修正主義は共産主義の十八番」であることを示した皮肉だろうか? さらに、

 ――中国共産党のイデオロギー学者たちは、複雑なイデオロギーの構造や公式を作るが、この社会の基本的な価値観は100年前から原理的に変わっていない。それは個人よりも公共を優先させるということ。それは、もはや古典的な共産主義ではない。現在の中国共産党には深刻なイデオロギー的ライバルがいないため、共産主義や社会主義を自由に解釈することができる――

――今日、中国共産党は党が正統派マルクス主義政党から、億万長者に恥じないメンバー構成の社会民主主義政党に進化した例を示しているという意味で、世界の共産主義運動をリードしている。中国共産党は、党が正統派とプラグマティストに分裂しないようにするために、非常に成功した処方を見つけた。リニューアルされた社会主義は、貧しい人のためのイデオロギーではなく、豊かで幸せな人のためのイデオロギーである。概念のこういった置き換えにより、中国共産党はその旗のハンマーとカマが、資本家の党員であることと平和的に共存することを実現させた。これは、世界のすべての共産党にとって自然な進化なのだ――。

 事実、共産党員はスーパーエリートそして成金集団に変化している。9515万人ほどの党員のうち、党の記章にある鎌とハンマーで国家を支える農業・漁業関係者や工場労働者は3230万人ほど。3346万人は党籍が出世に欠かせない公務員や会社員、そしてアリババの創業者、馬雲(ジャック・マー)氏に代表されるような起業家なのだ。

 すなわち、共産主義の100年は「平等な社会の実現」どころか、格差をより広げていくのみならず、「支配層とAIで監視される大多数の奴隷」という構造になりつつある。ただ、それは対岸の火事なのか?
日本の左傾化は言うまでもないが、コロナ禍にかこつけて監視・管理強化、不自由化が徐々に恐ろしいレベルになっている中で、まともな議論すらできなくなっている日本への危惧が強まるばかりだ。

*パラノイア
妄想性障害
読み方:もうそうせいしょうがい
別名:パラノイア
英語:paranoia

現実には起きていないことを起きていると思い込んでしまう精神障害のこと。

妄想性障害における妄想の内容は、現実にあり得るかもしれない良くないことであり、例えば、友人から仲間外れにされている、誰かに狙われているといった内容である。ちなみに、現実にはあり得ない妄想をする場合の精神障害を統合失調症という。
妄想性障害になると日常生活に支障をきたすこともあり、中には犯罪を犯してしまうケースもある。
妄想性障害の患者は中年期が多いといわれ、薬物療法や精神療法などによって治療が行われる
Weblio国語辞典よりhttps://www.weblio.jp/

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