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戦略が無い人民解放軍

■中国共産党の私兵

 中国の人民解放軍は国家の軍隊ではなく中国共産党の私兵。この根本が人民解放軍の動きを限定しているのは事実であり、中国共産党の命令で活動が決まる。外国の軍人は国家に忠誠を誓うが、人民解放軍は中国共産党に忠誠を誓う。これで戦う意味も目的も異なる世界。

 さらに国家戦略と中国共産党の戦略が不一致だから、中国共産党の利益のために動けば、中国の立場を悪くする時も有る。2019年から米中対立が激化し、2021年になると欧米と中国の対立に変化した。

 2019年までの人民解放軍の軍事演習は定期的に行われ、派手な宣伝で知ることになる。だが2020年から段階的に軍事演習の規模は縮小。2021年になると人民解放軍の軍事演習は無いに等しい。

■軍事演習の裏の顔

 軍事演習は軍隊の練度向上と維持に使われる。何故なら敵が居ないだけの実戦だから、指揮命令・運用・物資消費などは実戦と同じ。この理由から、各国の軍隊は定期的に軍事演習を行い、練度向上と維持に用いている。

 軍事演習の裏の顔は外交用の脅し。覇権とは言葉による指導力だから、軍事演習を見せ付けて仮想敵国を脅す。もしくは隣国の政治を脅して従わせる。この理由から、軍事演習は政治の顔が必ず存在する。

 人民解放軍の軍事演習は、外国の軍隊と比べても異質。大規模な軍事演習ならば人民解放軍が上だろう。そして、無意味な軍事演習が多いのも人民解放軍と言える。過去の人民解放軍は、渤海・黄海・東シナ海・南シナ海で同時に軍事演習を行ったことが有る。

 海岸部に大規模な移動と広範囲な活動を世界に見せ付けた。見た目は派手なのだが、2600年の戦争史では無意味な軍事演習。何故なら、海から大陸に攻め込む軍隊は、一箇所に上陸するが、複数同時作戦を行わない。

■無意味な大規模演習

 海から大陸に攻める軍隊は、海岸部から離れて作戦する。敵から制海権を奪ってから大陸の海岸に接近。その後大陸の海岸の一部に上陸し橋頭堡を築く。この時は敵前上陸ではなく、敵軍がいない海岸に上陸。その後、敵軍の基地の背後から攻めるのが基本。

 2600年の戦争史を基本とすれば、人民解放軍の大規模軍事演習は無意味なのだ。現代であれば制空権を敵から奪い、次に制海権を敵から奪う。これで中国に接近する外国の軍隊を撃破する。

 渤海・黄海・東シナ海・南シナ海で連なる軍事演習は、基本から見れば政治ショー。大規模な活動が出来ることをアピールするだけであり、実戦を想定した軍事演習ではない。仮に実戦を想定した軍事演習ならば、東シナ海を基点とするはず。次に東シナ海から南シナ海・太平洋に向かう軍事演習を繰り返す。これならば練度向上と日米への恫喝に使える。

 人民解放軍海軍の場合は、東シナ海を日米に奪われた段階で活動停止。人民解放軍海軍は渤海に閉じ込められ動けない。現代のミサイルならば、黄海から渤海に向けて撃てば、渤海周辺の基地や艦隊を攻撃できる。艦隊は攻勢に使うのが戦争史の基本であり、艦隊を防勢に使った側は敗北している。

■曖昧な戦域

 結論から言えば、中国共産党は人民解放軍から戦略を奪っている。本来の国家であれば、国土戦域・前方戦域・覇権戦域の3区分で認識。この後に、軍隊に対して明確な任務を与える。

戦域の区分
国土戦域:国家主権として主張できる地域
前方戦域:領域線と国防線の間の緩衝地帯
覇権戦域:国防線よりさらに前方で覇権を争う地域

 中国共産党は国土戦域・前方戦域・覇権戦域が曖昧で、勢いで中国の覇権拡大に邁進した。典型的なのが南シナ海。中国の南シナ海における戦域は、国土戦域・前方戦域・覇権戦域が同時進行している。

 仮に南シナ海を国土と見なせば、絶対に譲ることができない戦域になり、人民解放軍の作戦行動を限定する。本来ならば南シナ海は前方戦域なので、緩衝地帯として敵軍と戦闘する。こうなれば人民解放軍に作戦行動の自由が与えられ、敵軍に対して攻撃・防御を組み合わせた作戦ができる。

 中国共産党が南シナ海を中国の領土だとするなら、人民解放軍は南シナ海から離れて戦闘できない。仮に南シナ海から離れたら、敵軍に奪われて中国共産党の面子は潰れる。これでは中国共産党の恐怖が低下するので、人民の反乱を誘発する。これは明らかだから、中国共産党は人民解放軍から戦略を奪い、南シナ海での活動に限定する。

■核兵器用いた脅しに

 人民解放軍は軍事演習を減少させ、練度が低下していると見るべき。そうなれば人民解放軍は戦争で戦えない。それを知っているから、中国は人民解放軍を使った脅しを減少。行き着く先は、核兵器を用いた脅しに変わると思われる。

国家戦略=外交×軍事

 外交は軍事を背景に行うのが基本だから、軍隊が無ければ外交は行えない。では北朝鮮の様に、アメリカと比べて軍事力に劣る国はどうする?
その答えは核兵器の保有。軍隊が劣っていても、核兵器が代用になる。だから北朝鮮の様に核兵器に手を出す国が絶えない。

外交×通常戦力=国家戦略=外交×核兵器

 核兵器を保有するだけでアメリカと対等に外交ができる。これは独裁者には旨味になる。通常戦力で劣るから核兵器に手を出すのだが、中国が核兵器で脅しに出たら?
これは人民解放軍が戦争で勝てないことを意味する。

中国、砂漠に大規模なミサイル格納庫を建設 紛争リスク高まる=米研究
https://www.epochtimes.jp/p/2021/07/76203.html

 それに核兵器は金食い虫で、毎日何らかの整備が必要。これで保有するだけで通常戦力に回す金が減少する。実際に冷戦期の核保有国が、核兵器に金を消費して通常戦力の兵器は陳腐化した。それだけではない、米ソ冷戦で核兵器を装備したことで、戦略が失われた。お互いに核兵器で撃ち合うならば、戦術・戦略など不要。これは第一次世界大戦の塹壕戦を巨大化した世界。

 敵陣に突撃するだけなら戦術・戦略は無い。これが核兵器に置き換わり、戦略を奪ってしまう。これが北朝鮮軍の姿であり、人民解放軍も戦略無き世界の住人に成りかけている。これは中国が核兵器を脅しの道具にすれば判明する。

■中国潰しで経済回復

 欧米は人民解放軍を見抜いているから連合した。しかも政治・経済・軍事で中国を追い詰め、意図的に怒らせている。これは中国から開戦させることが目的。同時に、中国から開戦しないならば、欧米からの先制攻撃で中国を潰すことになる。どちらに転んでも都合が良いルールにしているから、欧米はシナリオに従い勝利を得ようとしている。欧米は常に戦略から見るから、中国の弱点と戦略を見抜いている。

 人民解放軍は中国共産党の私兵なのだから、東シナ海が運命を左右することを知っている。しかも軍事演習が減少したのだから、イギリス空母打撃群の戦力でも勝てると判断したのだ。ならば戦争回避は不可能で、中国潰しで経済回復を行うだろう。何故なら、戦争すれば経済は強引に動くので経済対策になる。中国は生贄であり、戦略無き人民解放軍を犠牲にした世界再生なのだ。

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