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    中澤 孝之
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    丹羽 文生
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    太田 正利
    太田 正利
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    佐藤 唯行
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    石平
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    新宿会計士
    新宿会計士
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    長谷川 良 ...
    コンフィデンシャル
    渡瀬 裕哉
    渡瀬 裕哉
    早稲田大学招聘研究員
    山田 寛
    山田 寛
    元読売新聞アメリカ総局長

    中国の臓器移植産業の闇~ドナーは一体どこからなのか?

    ●「未来の新興産業」と2000年より国家戦略の優先事項に

     中国の医療現場で、年間10万件近い臓器移植手術が行われていることを、世界が〝注視〟している。中国には、日本が資金援助をする病院を含む全国865カ所の病院に約9500人の移植医師がいるとされる。認定移植センターは、政府当局からの多額の資金投入もある。

     中国の移植手術の分岐点は、2000年にさかのぼる。中国政府が臓器移植手術を「未来の新興産業」と国家戦略の優先事項に位置づけ、衛生部、科学技術部、教育部、軍などが移植技術の研究開発、人材養成、産業化のために投資を始めた。
     同年の臓器移植手術件数はいきなり前年の10倍に跳ね上がり、2005年には5年前の3倍に増加した。わずか数年の間に〝大規模事業〟となっていったのだ。アメリカには、ドナー登録者が約1億2000万人いるが、手術までの平均待機は2~3年とされる。一方、中国において待機は2週間、早ければ数時間で移植手術が可能となっている。ドナー提供を待つ国内外の患者にとっては、夢のような話ではある。

     ただ、そのドナーは一体どこからなのか?
    第1期全国軍事医学委員会委員を務め、90年代半ばにハーバード大学公衆衛生学での研究を機に、アメリカへ移住した元軍医の汪志遠氏は、「中国の医師と医学生のなかでは、臓器移植用の臓器は死刑囚もしくは収監者からだということは公然の秘密だった」と語っている。

     WHO(世界保健機関)が、2005年11月に行ったある会議で、中国衛生部の黄潔夫副部長(当時)がドナーについて、「死刑囚がほとんど」「臓器移植手術は年間5500~1万件」と語った。ところが、アムネスティによる「中国の死刑囚の数」は、同年までの5年間の年平均は1600人強だった。

     中国外交部はその後、黄副部長の発言を否定し、「市民からの自発提供」と述べた。その後、上海や南京などの赤十字社に覆面調査をした結果、ドナー提供者数はゼロや数件だったことも報じられた。

    ●中国の毒牙に侵された?WHO

     中国政府の組織的な臓器狩りの疑念が、より〝真実味〟を持つようになったのは、2006年3月9日、アメリカにおいて行われた中国人女性による告発に端を発する。「元夫が法輪功学習者の臓器移植に加担していた」ことを、公の場で謝罪したのだ。アメリカ在住の元軍医、汪氏らはその話を聞き、中国全国各地の病院に電話をかけるなど、おとり調査を始める。「身内に臓器移植を希望する患者がいる」などの設定で医者らとやり取りする様子が、ボイスレコーダーに生々しく残されている。

     会話からは、簡単に臓器が得られること、当時の相場が25万元ほどであること、提供者は名前ではなく番号で管理されていること、さらに政府、公安、警察、病院が一体化して行っていることなどが推測できた。

     さらには、病院内のボイラー室で働く人物による証言、「病院に焼却炉があり、そこで人を焼いている」「時計や貴金属がついたままの遺体もある」まであった。聞き取りを続ける元軍医は愕然とする。中国の病院に、かつてはなかった火葬場まで併設されていたのだ……。

     それにしてもなぜ、法輪功学習者が主ターゲットとなったのか? 学習者は1億人近く存在するとされ、中国政府にとっての脅威となっていたこと以外、「飲酒や喫煙をせず、ストイックに心身の修練を行うことで健康的な体を維持しているから」という。

     一方、中国衛生部の副部長で移植医でもある前述の黄氏は、いつしか「移植界の権威」との称号が与えられ、中国臓器移植・提供委員会委員長の肩書を持つまでになっていた。
     
     さらに、香港出身のWHO事務局長のマーガレット・チャン氏(2017年6月退任)は、2016年10月に北京の人民大会堂で開かれた「中国国際臓器移植・提供会議」に送ったビデオメッセージで、「WHOはいつでも中国移植発展に貢献する」「中国の臓器移植技術発展の成功体験は、中国モデルとして他国も参考にできる」などと語った。

     事務局長時代のチャン氏は、WHOに中華台北の名義でオブザーバー加盟している台湾(中華民国)を、「中国台湾省」と呼ぶよう内部通達したり、2016年には、「一つの中国」を特記したWHO総会の招待状を送りつけたり、昨年は中国政府の意向を受けて台湾を招待しないなど、あからさまなほどの中国共産党シンパだった。

     今年7月、スペインで開かれた2年に1度の国際移植会議の後、WHO組織で専門家や医師からなる「臓器と人体組織の提供と移植に関する作業部会」30人のメンバーに、WHOの推薦で黄氏が選ばれた。中国の官製メディアはすかさず、「中国の移植経験は世界に称賛されている」「疑われた臓器狩りはでっち上げということが証明された」などと報じた。WHOも、中国の毒牙に侵されているらしい。
     
    ●イギリスで民衆法廷が発足

     ただ、「自由と民主」「法の下の平等」、そして「人権」を重視する欧米諸国の有識者が、この限りなく黒い疑惑を放置していたわけではない。それどころか、カナダのデービッド・ギルガー氏(元アジア太平洋担当国務大臣)とデービッド・マタス弁護士の2人は、2010年に調査『戦慄の臓器狩り』でノーベル平和賞候補に名を連ねている。イギリスのジャーナリスト、イーサン・ガットマン氏も昨年、同じテーマでノーベル平和賞候補に躍り出ている。
    しかも、この3人は2016年に調査報告のアップデート版、『流血の収穫・虐殺(Bloody Harvest / The Slaughter)』を発表している。680ページに及ぶ最新報告書は、中国政府が駆動する産業が、公式に認めている死刑囚と自主的なドナー提供者の総計の数倍も上回る数の臓器を移植していることを示している。

     英BBCは、10月8日に『誰を信じるべきか?中国の臓器移植(Who to Believe? China’s Organ Transplants)』と題する番組で、中国臓器移植ビジネスの闇に迫った。時を同じくして、イギリスにおいて新たな動きもある。「中国での臓器移植濫用停止(ETAC)国際ネットワーク」からの委託で、中国での強制臓器収奪を調査する民衆法廷が発足したのだ。

     民衆法廷は、公式の国際機関が進んで調査しない、もしくはできない状況の深刻な犯罪を裁くために行われるという。裁判は勅撰弁護士(=エリザベス女王陛下から権威を授与された法律家)であるジェフリー・ニース卿がつかさどる、7人の独立したメンバーで形成されている。

     中国政府による「国家の敵」グループのリストの存在も囁かれており、全国各地の法輪功学習者のみならず、新疆ウイグル自治区の収容施設に100万人を超えるウイグル人が収監されている事実も報じられ、欧米諸国が非難の声を強めている。
    彼ら〝良心の囚人(無実の人々)〟からの強制的な臓器の収奪・売買に、中国政府の組織的関与の疑惑が指摘される中、ロンドンでは第1回の公聴会が12月に開かれ、30人の証言者と専門家の証拠が提示される予定だ。世界の〝正義〟が本気で糺す臓器移植産業の闇を、習近平政権は永遠に隠し通せるつもりだろうか?

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