ワシントン・タイムズ・ジャパン

中国、多方面で北朝鮮に制裁

 北朝鮮による弾道ミサイル発射や6回目の核実験などを受けた8月と9月の対北国連制裁決議を受け、中国が中朝合弁事業を中断させるなど多方面で制裁履行に踏み出したと思われる動きの一部が明らかになった。ただ、履行をアピールすることで北朝鮮問題をめぐり強硬路線を敷く米国との関係を悪化させたくないという思惑もありそうだ。(ソウル・上田勇実)

合弁事業中断/派遣労働者の就労短縮
米国向けに履行アピールか

 中朝関係筋が19日、本紙に明らかにしたところによると、中国は北朝鮮北西部の「新義州国際経済地帯」や北東部の「羅先経済貿易地帯」での北朝鮮との合弁事業を中断し、9月中旬に現場関係者を本国に引き揚げさせたという。

鴨緑江大橋(左)と鴨緑江断橋

中朝国境沿いを流れる鴨緑江をまたいで中国・丹東と北朝鮮・新義州を結ぶ鴨緑江大橋(左)と鴨緑江断橋(2006年12月、上田勇実撮影)

 8月に国連で可決した制裁決議2371号は北朝鮮との新規合弁企業の設立を禁じており、中国商務省は同月、国内企業に通達していた。

 また北朝鮮の元山、清津、羅先にある中朝合弁の水産物加工工場と冷凍倉庫の多くが稼働を中断しているという。同決議は北朝鮮産水産物の輸入を禁止しており、中国は9月の段階で北朝鮮からの水産物輸入を全面的に中断する措置を講じたとみられる。

 9月可決の制裁2375号は北朝鮮労働者に対する就労許可を禁じているが、中国は北朝鮮の主要な外貨稼ぎ口と言われる海外派遣労働者にもメスを入れた。

 同筋によると、北朝鮮から派遣され国内で働いている労働者の就労契約期間を「5~10年」であった場合は「3~4年」に大幅短縮し、契約満了後は延長手続きを認めない方針を固めた。

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 10月以降、北朝鮮から新たに派遣された労働者はなく、中国側がこうした措置を取る前に就労契約を結んでいた労働者の派遣も見送られたままだという。

 労働者のビザ延長は農産物や紙類などを扱ってきた「朝鮮8・28貿易総会社」など一部企業を除き応じていないようだ。

 このほか中国は軍事目的への転用が懸念されている大型トラックの北朝鮮輸出も禁止した。三大メーカーの「東風商用車」「一汽解放汽車」「中国重型汽車」が輸出をストップしているという。

 ただ、中国は依然として石油の全面禁輸など北朝鮮への打撃が大きい制裁には難色を示したまま。今回明らかになった制裁履行は国連制裁決議の内容に沿ったピンポイント的なものだ。

 中国共産党の宋濤・中央対外連絡部長は17日、習近平国家主席の特使として訪朝し、北朝鮮の最高指導者・金正恩朝鮮労働党委員長の最側近とされる崔竜海・党副委員長らと会談。双方は北朝鮮核問題で見解の相違があったとされる半面、中朝の「伝統的友好関係」を確認するなど、冷え込んでいた両国関係が改善に向かう兆しも見え始めている。

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