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“国籍問題”で外相が辞任―フィリピン

ドゥテルテ政権「火消し役」失う

 フィリピンのドゥテルテ大統領の閣僚人事にほころびが生じている。上院議会は8日、米国の市民権をめぐり虚偽の証言をしたとして、ヤサイ外相の承認を拒否した。これを受けヤサイ氏は9日に辞任。ドゥテルテ大統領は代行にマナロ外務次官を任命した。

 当初ヤサイ氏は、過去に米市民権を取得したことを否定していたが、後になって1986年に米市民権を取得していたことを認めた。そのため上院の任命委員会で不信感が高まり、承認の拒否に繋がった。

 ヤサイ氏はドゥテルテ氏が大学生だったころのルームメイト。旧知の仲でドゥテルテ氏の性格を知っていることもあり、外交をめぐる大統領の過激発言があるたびに、その「真意」の説明に努めるなど、外相就任以来、「火消し役」として政権を支えてきた。

 国籍問題と言えば、前回の大統領選が思い出される。ドゥテルテ氏はライバル候補のポー氏が、過去に米市民権を取得していたことを指摘し、候補者資格が無効だとして激しく追及した。今回、自身が任命した閣僚が、同じ問題で辞任に至ったことで、政権にブーメランが突き刺さった格好だ。

 閣僚の承認をめぐっては、ロペス環境相も問題に直面している。元環境活動家だったロペス氏は、ドゥテルテ氏に任命されてから環境破壊を理由に国内75カ所の鉱山事業の停止を命じ、業界から大きな反発を招いている。鉱山の大量閉鎖による地方経済への打撃を懸念する意見も出ており、ロペス氏の任命が適切かどうか疑問視する意見が強まっている。

 依然として70%から80%という高い支持率を維持しているドゥテルテ政権。超法規的殺人の問題を追及してきたアキノ前政権派のデリマ上院議員が、麻薬取引への関与疑惑で逮捕されるなど、政敵の排除は順調に進む。しかし、重要政策と位置付けていた麻薬戦争が、警察の腐敗問題で停滞しているほか、期待されていた共産勢力との和平交渉が中断するなど、当初の勢いに陰りが出ているのも事実だ。

ダバオ市長時代の旧友や左派系出身の人物で固めた閣僚人事が、今後の政権批判の火種となる可能性もありそうだ。

(マニラ福島純一)

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