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不透明、操作…中国経済は“伏魔殿”

 中国が初の議長国となり、主要20カ国・地域(G20)の首脳会議が浙江省杭州市で9月4、5日の両日に開かれた。習近平中国国家主席にとって一世一代の晴れ舞台となったが、G20の首脳宣言では、「世界経済の成長は期待よりも弱く、下方リスクが存在する」との危機感も表明された。経済の発展に不可欠な自由貿易については、「あらゆる形態の保護主義への反対」で一致し、実質的に破綻した中国のゾンビ企業――主に国有企業の温存が、世界経済のリスク要因となっているため、過剰生産の解消に向けて情報共有を進める国際的な枠組みを設立することで合意した。

 「中国バブル崩壊」「次なるリーマンショックは中国発」「独裁政権崩壊」といった声が聞こえる中、中国経済の現状や見通しを有識者や当事者らはどのように評価しているのだろう?

 まず、フォーブスが6月に公開した「世界の有力企業2000社ランキング(グローバル2000)」によると、中国工商銀行が4年連続1位で、中国建設銀行、中国農業銀行と3位までを中国の銀行が独占し好調を維持している。

 7月、李克強首相は国際通貨基金(IMF)や世界銀行などの首脳との会談後に、「中国経済は強い下振れ圧力に直面しているにもかかわらず、その健全なファンダメンタルズに変化はなく、妥当な範囲内にとどまっている」と自信をちらつかせた。

 日本銀行の黒田東彦総裁は、9月に行われた講演会の質疑応答で、「中国発の世界経済の停滞の可能性は低い」「中国国内の個人消費や固定資産の投資は安定している。金融や政府当局の景気下支えもある」と分析したことなどが日本経済新聞に報じられた。

 一方、世界で著名な投資家の1人、ジョージ・ソロス氏は習政権が船出して以来、執拗に「中国経済崩壊」に言及している。

 そもそも、中国国内の経済政策が一枚岩ではない。「民間企業で産業の競争力をつけて、W字かV字回復を目指す」との方針を掲げている李首相に対し、習主席の側近中の側近、中国の経済ビジョン策定を担っている劉鶴・中央財経指導小組弁公室(中財弁)主任は、異なる考えを打ち出している。

 党機関紙『人民日報』(5月9日)は、匿名の権威筋による「中国経済はL字型」とする中国経済が直面する課題についての評論を掲載したが、この「権威筋」が劉主任だと推測されている。劉鶴主任は「共産党は改革政党ではなく支配政党でなければならない」と論文等で主張しており、共産党のマクロコントロールの堅持、もしくは強める意向が伺える。

 中財弁は重要な経済政策文書を作成する他、習主席や中央政治局常務委員に提案や意見を行ったりする部署で、ハーバード大学で公共管理の修士を取得した劉主任は、胡錦濤時代から中財弁の副主任(2003~2013年3月)を務め、習政権で主任に昇格した。「主任と副主任3人」のこれまでの体制は現在、副主任6人に拡大している。

 中国の企業債務残高は2008年から一直線に伸びているとされるが、シャドーバンキング経由の融資など、実体が不透明な部分が多すぎる。しかも、数字の操作は末端からはじまり、企業責任者は二重、三重の帳簿を隠し持ち、地方幹部も出世のために粉飾、偽造、捏造を繰り返す。偽札も氾濫。何より中国共産党政府がコントロールする経済活動は、タックスヘイブン(租税回避地)を含め、今や地球規模にまで拡大している。

 中国経済はまさに“伏魔殿”といえる。

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