ワシントン・タイムズ・ジャパン

ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領1期目 大胆な民主化と改革進める

駐日ウズベキスタン大使 ムクシンクジャ・アブドゥラフモノフ<寄稿>

人権や信教の自由を重視
成長率18%、国民所得も28%増

9月9日、自由民主党大会で次期大統領候補に擁立され、演説するミルジヨエフ大統領

9月9日、自由民主党大会で次期大統領候補に擁立され、演説するミルジヨエフ大統領

 中央アジアのウズベキスタン共和国で10月24日、大統領選挙が行われる。現職のミルジヨエフ大統領は2016年の就任以来、大胆な国内改革を実行し、外交面とりわけ周辺諸国との関係改善に大きな成果を挙げている。選挙を前にムクシンクジャ・アブドゥラフモノフ駐日大使がミルジヨエフ大統領の1期目の成果を総括する。

 ミルジヨエフ大統領の誕生から5年間で社会や国全体で抜本的な改革が行われ、新しい発展段階となる「新しいウズベキスタン」の時代が始まり、国民の福祉の向上を目指した取り組みが行われてきました。

 ウズベキスタンは民主主義の理念に基づいた新しい国造りと自由な市民社会づくりを目指した政策を貫いており、国や社会の法基盤の強化、国の近代化、議会や政党、国民の役割の強化を果たすための大々的な民主的改革がスピード感を持って進められています。特に人権や人々の法的利益、言論の自由、宗教の自由を守ることが重視されています。

 ウズベキスタンでは人権に関わる国の戦略が策定されており、強制労働や児童労働などは完全に根絶されています。国連人権理事会の理事国にウズベキスタンが選出されたことは、人権への取り組みが国際社会から評価を受けたことを示す良き例と言えます。

 17年から20年までの経済成長率は18・3%で、GDPは600億㌦に達しました。貿易高は16年の240億㌦に対し、20年には360億㌦まで増加しました。経済の自由化と税関手続きの簡素化により、輸出高は25%上昇しました。

 ウズベキスタン経済に対する投資家の信頼は非常に増しています。投資額は短期間に2・1倍に増加し、海外投資は3倍近く増加しました。現在、ウズベキスタンで実施されている大規模投資プロジェクトの一つに、三菱重工業と三菱商事が参画するアンモニア尿素製造プラントの建設があります。

 この3年間で税制の改革も行われており、売上税が廃止されるなど、税の種類が減少しています。電力・エネルギー、石油・ガス、通信などの部門では国有企業の民営化など構造改革が進められており、小ビジネス、民間企業の数が2倍に増加し、それによって140万の雇用が創出されました。国民所得が16年から28%増加したことは、経済が急速に発展していることを示しています。

 個人事業主のための環境が整備されたことによって、この1年間で50万人が事業登録を行いました。このような企業活動の推進に対するアプローチによって、この5年間でウズベキスタンは世界銀行が発表している投資環境ランキングで141位から69位まで順位を上げました。

 現実主義的な開かれた対外政策によって、近年、世界や中央アジア地域におけるウズベキスタンの政治的役割と威信は非常に高まっており、国際社会ではウズベキスタンへの信頼が強まり、協力を模索する動きが活発になっています。特に中央アジア諸国との友好と善隣関係が築かれたことで、国境が開かれ、国を超えた行き来が自由にでき、引き裂かれていた家族や親族が再び交流できるようになりました。世界の政治学においては「中央アジアの精神」という概念が生まれています。

 アフガニスタン情勢に関して、ウズベキスタンはアフガニスタンとの友好・善隣関係を維持する姿勢を取っており、国民のコンセンサスを得て、国際法に基づき、平和裏に政権が移行されることが極めて重要であると考えています。

 国際社会とともにアラル海の環境問題に対する取り組みを行っており、100㌶もの枯渇した湖底に植栽がされるなどしています。このような取り組みの中で重要な役割を果たしているのは「アラル海地域マルチパートナー人間の安全保障基金」です。ウズベキスタンが提案したアラル海地域を環境イノベーション・テクノロジーゾーンとする国連特別決議は今年5月に全会一致で可決されました。

 この5年間、世界では対立が深まり、貿易戦争や環境問題が悪化し、試練の時となっています。昨年始まった新型コロナウイルスの拡大によって、経済は疲弊し、グローバル社会の一部であるウズベキスタンにとっても深刻な問題が起きています。

 そのような中、ミルジヨエフ大統領は国民の利益のために目標を達成するには、まだ多くの仕事をしていかなければならないと強調し、大統領選挙を前にした政策「新しいウズベキスタン戦略」を発表しました。これは17年から21年までの国の発展を目指した五つの優先分野における行動戦略を継続するもので、国民1人当たりのGDPを30年までに1・6倍に当たる4000㌦以上に引き上げるという壮大な目標が掲げられています。

 ミルジヨエフ大統領の最終的な目的は、自由で快適かつ豊かな生活を約束し、民主主義、人権、自由などの理念に貫かれた発展を可能とし、国際社会との友好と協力の上に立つ新しいウズベキスタンをつくることです。大統領は、自身の政策はPRのための戦略ではなく、政治、法律、社会・経済、文化・人文などの環境に基づき、国民の利益とニーズに応えるために客観的に見て必要だと思われる政策であると強調しています。

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