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中国共産党は張子の虎

■反撃される中国共産党

 これまでの中国共産党は強気外交だった。江沢民時代は太平洋進出の勢いがあり、習近平になると一帯一路構想を掲げて勢いを増したかに見えた。だが習近平政権になってから米中対立が悪化し始める。

 南シナ海での人工島建設・チベット問題・ウイグル問題・香港国家安全法などで対立し、2020年に入ると米中関係は悪化の一途。トランプ大統領が中国共産党に対して制裁を連続して出すと、中国共産党は当然報復した。だが習近平の直接的は反論がない。

 中国共産党による香港の国家安全法に関し、イギリス・カナダ・オーストラリアが犯罪者引き渡し協定停止を表明。中国共産党は欧米の外交圧力を受けているが、これでも習近平は沈黙。そんな時に欧米で中国寄りと言われたドイツでさえ、7月31日に香港との犯罪人引き渡し条約を停止すると表明した。

戦争学研究家 上岡龍次氏

戦争学研究家 上岡龍次氏

■弱腰と見なされた

 結論から言えば、中国共産党は外国への圧力は強い。だが外国からの圧力には弱い。攻撃には強いが防御に弱いのが中国共産党。米中対立でトランプ大統領による制裁に報復しても、アメリカには影響がないも同然。それだけではなく、習近平の発言がない。

 欧州連合(EU)は7月28日に、香港の国家安全法を理由に香港に輸出する監視関連機器の制限を表明。同31日に、中国寄りのドイツが香港との犯罪人引き渡し条約停止を表明。本来であればこれに対する習近平の発言が必要で、発言することで国内外に方針を示せる。これで安定化を行うが、沈黙すると弱腰と見なされる。さらに悪いことに、イギリス・カナダ・オーストラリアによる外交圧力に対しても習近平は沈黙した。

 EUや中国寄りのドイツが反中国共産党に回ったのは、習近平の発言がないからだ。習近平は弱腰と見なされ、トランプ大統領に付くことを選んだ。国際社会とはパワーバランスだから、強国が信用される世界。つまりトランプ大統領の強気外交が正しい。

■戦争の臭いを出す

 米中対立が悪化すると、中国南部の広東省で装甲車の目撃報告が相次いだ。これは戦争の危機感を煽る、意図的な移動・報道の可能性がある。中国共産党による戦争準備と思う前に軍事の基準から見るべきだ。

広東省で大量の装甲車が目撃 中国共産党は対米戦争に備えている?

 仮に戦争準備なら毎日1万トン以上の物資が移動し集積される。何故なら2万人規模の一個師団だけで1日2000トンの物資を消費する。空軍が一個師団を対地攻撃支援する場合は、1日で4000トン消費する。10丁のマシンガンは1日で100万発の弾丸を消費する。大砲は1日で10万発を消費するのが基本。空軍・海軍も参加するなら、毎日物資の移動は当たり前。

 中国共産党が海岸部の戦闘を想定しているならば、海岸から25km内陸に小規模兵站基地、50km内陸に中規模兵站基地、100km内陸に大規模兵站基地が置かれる。この兵站基地配置にしなければ、人民解放軍の継続戦闘は不可能。広東省で装甲車は確認されたが、物資の移動と集積を確認されていない。確認されないなら脅しの映像。

■可能性

 人民解放軍は朝鮮戦争の時に、義勇兵として戦争に参加した。この時の人民解放軍は兵站無視で攻撃開始。欧米の軍事常識ではあり得ないので、アメリカ軍には奇襲攻撃になった。だが長期戦になるとアメリカ軍に反撃されている。

 一個師団は基本的に1カ月分の物資を持っている。次に1カ月以内に上級司令部から補給を得て戦闘する。基本的に緊急展開部隊は、総兵力の20から30%。人民解放軍も、陸海空の戦力は最大30%が緊急展開部隊と言える。

 中国共産党が1カ月以内の短期決戦を想定しているならば、戦場は南シナ海・東シナ海・台湾と推測できる。南シナ海・東シナ海ならば、アメリカ艦隊との決戦。台湾ならば占領が目的になる。

 この場合は軍事常識を無視するから、朝鮮戦争の時のように奇襲攻撃が可能。しかし1カ月以内に勝利できなければ人民解放軍は敗北する。仮に人民解放軍が補給を行ったとしても、態勢を整えたアメリカ軍が日本・イギリス・オーストラリア連合で反撃する。そうなれば人民解放軍は勝てない。一時的な補給ができても兵站がないと長期戦はできないのだ。

 人民解放軍は装甲車を広東省で見せ付けている。中国は水害で広範囲に被害を受けた。これは中国南部の反乱対策か香港への投入の可能性がある。反乱対策なら歩兵と装甲車が必要で、香港占領も歩兵中心の部隊が好ましい。

■尖閣諸島付近の人民解放軍海軍

 人民解放軍海軍は、ミサイル艇を尖閣諸島付近に展開させたと報道された。ミサイル艇は開戦奇襲には使えるが継続的に制海権を獲得できない。それに自軍の制空権下でなければ活動困難。仮にアメリカ海軍が航空戦力を展開すれば狩られる立場。日本政府への圧力としては有効だが、今のアメリカ海軍は関与したがっている。だから逆にアメリカ海軍を呼び込むだけで、人民解放軍海軍には都合が悪い。

 それに人民解放軍空軍が制空権を獲得するには、中国本土で兵站基地が必要になる。そして基地を支援するだけの物資・備蓄が求められる。このような物資の移動と集積は隠すことができない。アメリカ軍でさえ隠せないのだ。それなのに人民解放軍だけが隠せることはあり得ない。

■緊張が高まるだけ

 中国共産党は東シナ海・南シナ海・香港で緊張を高めている。内陸部ではインド国境で緊張が高まっている。さらにアメリカ・イギリスは、ウイグル・香港問題を使い内政面でも圧力を高めている。これでは中国共産党は四面楚歌。そんな時に日本へ圧力を加えて逃げ道にしているようだが、不要な緊張を高めるだけで解決策にはならない。これが現実で、実際の中国共産党は動けない張子の虎なのだ。

(当記事のサムネイルはWikipediaから引用いたしました)

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