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「一帯一路」を断てばウイグルに活路

米のイラン攻撃が焦点に

 日本ウイグル協会(イリハム・マハムティ代表)の学習会が25日、都内で行われ、本サイトのライターである戦争学研究家の上岡龍次氏がウイグルへの中国の弾圧と一帯一路との関連を中心に、ウイグル人の人権問題を国際社会に対してどのように効果的に働きかければ良いのかなどについて語った。

ウイグル問題と一帯一路との関係

上岡龍次氏

日本ウイグル協会主催の学習会で講演を行う上岡龍次氏=25日夜、東京都文京区(石井孝秀撮影)

 ここ数年ウイグル人の弾圧が激しくなっているのは、中国が進める「一帯一路」と関係している。ちょうど一帯一路の出入り口がウイグルであり、ウイグルからイランを通りヨーロッパ諸国へと続いていく。人体で言えば肩関節の部分に当たるのがウイグルだ。

 本来、一帯一路はウイグル人とは無関係だが、ウイグル自治区が中国大陸の肩関節の部分に当るため、中国の一帯一路戦略にとっては非常に重要な拠点となってしまった。もしこの地で反乱が発生したらどうなるか。腕全体が機能を停止してしまう。だから中国共産党はウイグル人の反乱を異常なまでに恐れるようになったのである。習近平国家主席が一帯一路を進めてから急激にウイグル人の弾圧が進んだのは、中国共産党にとってウイグル人の反乱は死活問題ということだ。

イランとウイグル問題の関係性

 またウイグル人の立場はイランと関係している。中国が一帯一路の腕を伸ばして行って、肘関節部分に相当するところがイランだ。イランには陸路と海路があり、一帯一路経済圏の重要な場所に位置している。だからイランを潰されたら、チベット・ウイグルの戦略的価値が低下する。そうなると一帯一路が始まる前の状況に戻る。

 現在トランプ米大統領がイランを攻撃する気がある。もしイランを空爆すれば習近平派はリストラされるだろう。というのも習近平派が一帯一路を進めているので国内のライバルがその挫折を許すはずがない。派閥争いでは格好のチャンスとなるだからだ。特にライバルは江沢民派だ。江沢民派と習近平派は対立している。そんな時に一帯一路が潰れてしまったら、江派は習派を追い出しにかかるだろう。だから一帯一路とウイグル人の関係は直結しているのだ。

国際社会が反応するものを知る

 デモなどで活動するのであれば国際社会が反応するものとしないのものを知っていた方がいいだろう。例えばナポレオン戦争の時代にイギリスとフランスは対立した。その時に先にイギリスが手を出しフランスの商船を拿捕した。フランスは怒ってフランス国内にいるイギリス人を拘束した。しかし、国際社会で批判されたのは先に手を出したイギリスではなくフランスだった。なぜか。「民間人の自由」を奪ったからだ。つまり、「ウイグル人が強制収容所に入れられている」(=民間人の自由が奪われている)というのは国際社会は反応する。

 国際社会が反応しないケースがある。例えば数年前にロシアがジョージアやウクライナに手を出した。ロシア人をロシア系移民として隣国へ送り出した。そしてロシア系移民が現地住民より多くなったらロシア系移民が自治を求めて選挙を行った。その結果、ロシア系移民が多いので多数派が勝ちジョージアの一部(南オセチア)はロシア系の移民自治が生まれた。ウクライナ東部も同様だ。移民を武器にし侵略の道具にした結果だ。

 中国も同じ手を使っている。中国系を隣国へ送り込み、その土地の住民が追い出されていないか。チベット人、ウイグル人はまさにそういうことになっている。これは国際社会が反応せず、批判しないケースだ。デモを起こす時には使えない。国際社会に対して効果があるのは「強制収容所に入れられて、自由を奪われている」ということを強調することだ。(談)

(まとめ=デジタルメディア編集部・桑原孝仁)

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