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フィリピンで違法就労中国人増加

 フィリピンで中国人労働者の急増が問題となっている。親中外交を推し進めるドゥテルテ大統領により、フィリピン国内に進出する中国企業が増加しており、合法的な労働者だけでなく違法就労を目的に入国する中国人も後を絶たない状態だ。フィリピン人の就労機会を奪い失業率を上げている可能性もあり、同国議会の上院が実態調査に乗り出している。
(マニラ・福島純一)

上院労働委の調査で警鐘
ドゥテルテ政権の親中外交が影響か

 このほど、上院労働委員会のビリャヌエバ委員長は、国内で急増している中国人違法労働者の実態調査と取り締まりを強化するよう関係当局に求めた。

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15日、マニラ首都圏マカティ市外のマンション1階に並ぶ中国人向けの飲食店

 労働雇用省のデータによると、2015年から17年までに労働許可証が発行された外国人は11万5652人で、そのうち約半数の5万1980人が中国人と最多数を占めている。ちなみに日本人は1万2177人で韓国人は1780人だった。

 これらは合法的な外国人労働者だが、野党のドリロン上院議員は、マニラ首都圏だけでも約40万人の外国人が働いていると主張しており、これが事実なら数十万人の外国人が違法に働いていることになる。

 特にドゥテルテ大統領が就任してから、中国人への労働許可が急増していることも分かっている。15年に労働許可証が発行された中国人は9109人だったが、ドゥテルテ氏が就任した16年には1万8920人と倍増。17年には2万3951人に達した。ドゥテルテ氏が推し進める親中外交が、中国人労働者の増加をもたらしたことは明白だ。

 中国人違法労働者の多くが、中国人向けのオンラインカジノや中国系企業が請け負っている建設現場で働いていることが分かっている。これらの違法労働者の多くは、観光ビザで入国し、そのまま労働許可を得ずに働き続けている。

 昨年11月には、マニラ首都圏パシッグ市でオンラインカジノが摘発を受け、93人の中国人が違法就労で逮捕された。また、昨年12月にはパンパンガ州クラークにあるゴルフ場建設現場で、労働許可証を持たずに働いていた45人の中国人と24人の韓国人が逮捕されている。マニラ市にある伝統的な中華街でも違法労働が後を絶たず、昨年8月には小売店で働いていた74人の中国人が逮捕されるなど、入国管理局とのイタチごっこが続いている。

 ビリャヌエバ委員長は、「これらの仕事はフィリピン人には担えないのか? または訓練を受けてスキルを学ぶことはできないのか?」と述べ、急増する中国人への労働許可に疑問を呈した。昨年9月に発表された統計によると、国内の失業者は980万人、失業率は22%に達している。このため労働者団体などからは、外国人の就労条件をより厳しくすべきだとの意見も出ている。

 急増する中国人労働者の問題は、フィリピン人の就労機会の喪失だけではない。中国系企業のオフィスや中国人従業員の社宅として住宅需要が高まり、マンションの賃貸価格が高騰しているのだ。

 商業地域として開発が進むマニラのベイエリアでは、18年最初の4カ月で賃貸料が62%も跳ね上がったとの情報もあり、ビリャヌエバ氏は「彼らは仕事だけでなく不動産も盗んでいる」と、強い懸念を示した。このようなマンションの周辺には、中国語の看板を掲げた雑貨店や飲食店が急増し異彩を放っている。

 この問題に関してドゥテルテ大統領は、フィリピンが世界有数の出稼ぎ大国であることを踏まえ、「私たちも同じ問題を海外で起こしている」と指摘し、複雑な立場をのぞかせた。国内で違法に働く中国人を「手荒く」扱えば、「海外で同じ境遇にあるフィリピン人に影響を与える可能性もある」と述べ、強制送還には同意しつつも寛大な対応も必要だとの認識を示している。

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