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中国とアメリカの南シナ海争奪戦

■制海権

 制海権は艦隊が海にいるだけでは得られない。制海権は基地と作戦海域を継続的に往復することで得られる。基地と作戦海域を艦隊が継続的に往復するが、60%の優先利用で制海権が得られている。

 陸戦は燃料が尽きてもその場に留まれる。だから土地の戦略が可能。しかし空戦と海戦は燃料が尽きると墜落か漂流する。だから基地と作戦海域を継続的に往復することで制海権を獲得する。これが陸戦と異なる戦い方になる原因である。

海洋戦略=目的(制海権の獲得)・手段(敵艦隊+敵基地ネットワークの破壊)・方法(艦隊と基地ネットワークの造成)

制海権=艦隊+基地ネットワークの継続利用
制空権=戦闘機隊+基地ネットワークの継続利用

■抑止力

 アメリカ海軍が日本に母港を持ち、空母艦隊や原子力潜水艦を配備しただけでは中国への抑止力にはならない。空母艦隊や原子力潜水艦が抑止力になるには、日本の母港から作戦海域まで継続的に往復させることで抑止力になるのである。

 最初に、方法として艦隊と基地ネットワークを造成し、手段として敵艦隊と敵基地ネットワークを破壊する。自艦隊は継続的に基地と作戦海域を往復することで、目的の制海権を獲得する。

 しかし、基地から作戦海域まで継続的に往復しなければどうなるのか。それは空白地帯になることを意味し、仮想敵国が進出する原因になる。そうなれば、日本にアメリカ艦隊が存在しても抑止力にはならないのである。

■中国の南シナ海進出

 中国海軍はこれまで太平洋への進出を試みていた。だがアメリカ艦隊が継続的に西太平洋と中央太平洋で活動することで、中国海軍の太平洋進出を阻止してきた。中国海軍の太平洋進出には抑止力になっていたが、南シナ海では状況が変わっている。

 アメリカ海軍は太平洋での継続的な活動は維持しているものの、南シナ海とインド洋での継続的な活動は減少した。中国海軍はアメリカ海軍が南シナ海の活動が減少したことを見極め、それを悪用し、南シナ海に進出することを選んだのだ。中国海軍の南シナ海進出を許した原因は、アメリカ海軍が南シナ海で継続的な活動を行っていなかったからだといえる。これでは南シナ海とインド洋では抑止力にはならない。

 中国海軍が南シナ海に基地を建設できた理由は、アメリカ海軍が南シナ海で継続的に活動ができないからだ。アメリカ海軍が艦隊を南シナ海で継続的に活動させ、威容を南シナ海で見せつけていれば、中国は南シナ海で基地など建設できなかった。

■苦しむアメリカ海軍

 アメリカ海軍は南シナ海で継続的に活動することの重要性は知っている。知っていてできない理由の一つは、予算不足だと思われる。予算があれば継続的に艦隊を南シナ海に派遣できる。だが予算がないから継続的に活動できない。抑止力は一隻程度では効果がなく、艦隊を継続的に派遣することで抑止力と見なされる。

 アメリカ海軍は単艦か数隻を南シナ海に派遣していても、艦隊陣形を維持した艦隊での継続的な活動を控えた。これはアメリカ海軍が存在するだけの艦隊になったことを意味し、南シナ海で中国海軍が進出を許したのだ。つまり南シナ海とインド洋では、アメリカ海軍の抑止力がないことを意味している。

■対応が遅れる日米

 大陸国家が海に進出すると、最終的には海洋国家と戦争になる。大陸国家は海戦でも陸戦思想を持ち込む悪癖があるので、時としてこれが大陸国家海軍の敗北を招く。だが大陸国家の海軍は、陸戦と同じ持久戦と物量で海洋国家に挑む。

 大陸国家の海軍が量を持つと海洋国家には迷惑で、質では優勢でも量との戦いで苦しむ。海洋国家は経験から大陸国家が海に進出しないように、平時から大陸の政治に干渉と関与で挑むのが基本なのである。

 しかし、海洋国家が大陸への干渉と関与を怠ると、大陸国家の海軍が海に進出している。これで戦争になれば、質では優勢な海洋国家の海軍でも苦労するのである。

■予算獲得

 日米に必要なのは予算。予算さえあれば、南シナ海へ継続的に艦隊を派遣できる。だが南シナ海で中国の基地が建設された段階では泥縄だ。既に遅い。そうなれば基本に回帰して、中国海軍の基地ネットワーク破壊が最善の策になる。敵基地ネットワーク破壊は、戦前のアメリカ海軍が日本海軍相手に行い効果を発揮している。アメリカ海軍は基地ネットワーク破壊のノウハウを持っているから、日米共同で敵基地ネットワーク破壊を行う必要がある。

■間接的な戦争への対応

 兵器の質で中国軍は日米軍には勝てない。中国がこれを認めた場合、中国は正面から日米とは戦わない。中国軍が日米と正面から戦うことを前提とするのではなく、奇襲策で戦争することを想定すべきである。

 機雷敷設は国際社会では間接的な戦争に該当し、使っても宣戦布告には該当しない。大砲とミサイルによる越境攻撃は間接的な戦争なので、中国が国際社会の抜け穴を使うことを想定すべきだ。

 日米は黄海に対して機雷敷設ができる準備をしておき、見せつけることで中国への抑止力を作るべきだ。さらに日米艦隊が南シナ海で継続的に活動し、中国海軍の基地ネットワークを破壊する能力と意思を見せつけるべきである。

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