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アフリカの軍事・政治情勢 激しさを増す中露の挑戦

yamada

 

 日米豪印の「自由で開かれたインド太平洋」構想にも、中国の「一帯一路」にも、西のアフリカ大陸は重要な意味を持つ。だがそこでは今、欧米の存在と影響力が中露側から厳しい挑戦を受けている。

 目につくのはロシアの動きだ。特に中央アフリカでは、仏露の冷戦、代理戦争などと言われている。旧宗主国フランスの“縄張り”だったこの小国では、8年前からの内戦が続く。昨年末、反政府側の攻勢の中で大統領選挙が強行され、親露・強権のトゥアデラ大統領が再選されたが、その後も緊急事態宣言が出ている。そんな中で大活躍しているのがロシアだ。

 内戦当初は仏軍が派遣され、その後国連平和維持部隊が引き継いだ。だが17年末、ロシアは国連に武器禁輸措置の例外を認めさせ、武器供与と軍事顧問・訓練要員派遣を開始。1000人ものロシア兵が配備されたと言われることになった。大部分は民間軍事会社の民兵らしいが、ロシア政府は兵士の存在は断固否定してきた。現地でその闇を追ったロシア人記者3人が殺された。軍事顧問は要人警護、和平交渉にも関わり、政権から絶大な信頼を得た。金やダイヤの鉱山採掘権も関連ロシア企業に与えられた。

 今回、反政府側はいくつもの町を一時制圧した。ロシアは軍事顧問、兵員、ヘリなどを緊急増派し、町の奪回や選挙実施に貢献したとして大統領や軍から感謝された。

 フランスが反政府側支援で直接介入してはいない。だが協力国チャドの民兵が多数、反政府側傭兵(ようへい)で戦っている様だ。近年この地域一帯で反仏感情が強まってきたが、ロシアはさらにその足を引っ張る情報戦も展開し、仏政府を憤らせている。

 ロシアは以前からアフリカへの最大の武器供給国だった。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、15年~19年のアフリカの兵器輸入総額の内訳はロシアからが49%、次いで米国が14%、中国が13%だ。そして14年~20年にアフリカの19カ国以上と軍事協力協定を結び、6カ国と基地設置で合意し、数カ国の大統領選挙に介入したと伝えられる。

 中国は20年も前からアフリカの最重要経済協力国への道を進んできた。特に推計1500億㌦以上の貸付でインフラを整備し、経済関係を土台に軍事協力強化にも乗り出した。

 武器輸出では、スーダン、アルジェリアを初め各地に顧客を広げている。中国軍基地は17年にジブチに設けられたが、米国防総省によれば、中国はさらにアフリカの4カ国への基地設置を計画している。

 アフリカでも米国の人気は高いが、中国もかなりの人気で迫る。フランスは不人気だ。

 昨年南アフリカの財団が14カ国の若者を対象に行った調査では、各国の好感度は、米83%、英82%、中国79%、サウジアラビア70%、ロシア68%、仏57%の順だった。また昨年別の機関が18カ国で「発展のベストモデルの国」を尋ねたところ、米32%、中国23%、旧宗主国11%だった。

 ところが、米国は18年末に「駐アフリカ軍10%削減方針」を発表、昨年末には、駐ソマリア部隊の大半を撤収させる命令も出した。バイデン新政権は、世界中の米軍の配備態勢見直し方針を発表したが、駐アフリカ軍への逆風が変わるのか全くわからない。

 現時点ではアフリカに各7000人以上の兵力を派遣している米仏がまだ優勢を保っているが、どうも腰がぐらつき気味なのだ。

 大陸には13の域外国が「重要な軍事的存在」を有しているという。中露のほかにも中東の強権国家などの進出が目立つ。強権側優勢の事態が生じるのか、大いに気にかかる。

(元嘉悦大学教授)

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