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ポスト習近平は習近平

 新たな指導部が決まる、5年に1度の中国共産党大会(第19回党大会)に世界が注目するなか、習近平国家主席による演説は10月18日午前9時の開幕直後から、実に3時間半近く続いた。演説では、これまで5年間の実績を自画自賛し、「世界の舞台の中心に立つ時が来た」と豪語。集団指導体制については一切触れることなく、習独裁時代の幕開けを印象付けることとなった。

 党大会の2日目には、中国のネットサービス企業大手・テンセント(騰訊)が、習主席の演説にただ拍手を贈る、無料のモバイルアプリ「為習近平鼓掌!(習近平のために拍手しよう!)」をリリースしたことが報じられた。

 同アプリは、習主席の演説動画が約10秒流れ、直後に画面上に現れる拍手ボタンを、19秒の制限時間内に何回タップ(拍手)したかがカウントされる。記録はオンラインで共有され、他のプレイヤーと競うこともできる。

 リリースの翌日には「拍手数が10億回を超えた」と報じられたが、アプリを使ってまで〝習サマへの忠誠心″を競い合ったり、探ったりする時代が来たということか? 案の定、香港や台湾などでは、このアプリについて「まるで北朝鮮」「(ヒトラー万歳を模して)ハイル習!」といった、皮肉な書き込みも散見する。

壇上に並んだ中央政治局常務委員 *写真は『人民日報』HPより引用

壇上に並んだ中央政治局常務委員
*写真は『人民日報』HPより引用

 そして10月24日に、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」という表現で、党規約に指導思想が明記されることが決議され、第19回党大会が閉幕した。この表現をより具体化すると、「習近平新時代=脱江沢民の新時代」「中国の(習独裁を軸とする)特色ある社会主義=縁故資本主義体制」が船出することになる。

 翌日の25日午前には、党大会最終日に選出された第19期中央委員会による第1回総会(1中総会)が開かれ、新たな指導部が発足した。中央政治局常務委員(通称、チャイナセブン)の布陣は、留任の習主席(64)と李克強首相(62)の他に、栗戦書・党中央弁公庁主任(67)、汪洋・副首相(62)、王滬寧・党中央政策研究室主任(62)、趙楽際・党中央組織部長(60)、韓正・上海市党委員会書記(63)の7人になった。

 このなかの栗戦書、汪洋、王滬寧は、北朝鮮問題を話し合う米中首脳会談に参加するため、4月、習主席と共に訪米したメンバーでもある。

 序列3位に躍り出た栗戦書は、この数年、習主席の特使としてプーチン大統領と度々面談をするなど、ロシアとの特別なパイプの構築に力を発揮してきており、今後の中露関係のキーパーソンになりそうだ。序列4位の汪洋は、米国との関係も深く、4月の訪米の際にはレックス・ティラーソン国務長官の対面に座っていた。そして序列5位の王滬寧は、復旦大学国際政治学部を卒業し、かつては教授だったが、江沢民時代、胡錦涛前国家主席、習政権まで3代のトップに仕えてきた人物で、国際政治に明るく外交に長けているとされる。

 そして序列6位の趙楽際も、習主席と近い関係にある人物といえる。趙楽際の祖父の兄弟と習仲勲元副首相(習主席の父親)が同志だったとされ、趙楽際が習一族の出身地、陝西省に勤務していた2007年、習仲勲元副首相の墓地と住居を再建し、天安門広場の毛沢東の紀年堂に続く規模に拡張している。
序列7位の韓正は上海が基盤で、2003年に最年少で上海市長に就任。江沢民派とくくられてきた人物だが、この1年ほどは習主席との関係が急速に近づいていた。

 世界のチャイナウオッチャーにとって、おそらく意外だったのは、胡前主席が目をかけ、次世代のホープの1人とされてきた胡春華・広東省党委書記(54)が選から漏れたことだ。

 そして、もう1人も漏れた。この数ヵ月、にわかに注目度をアップさせ、2段階のロケット出世の噂も噴出していた陳敏爾・重慶市党委書記(57)である。出世街道を驀進する、習主席の地方指導者時代の部下たちについて、一部からは「鶏犬昇天」(=出世した人のおこぼれで、親族や取り巻きなど周りまでが出世する、の意味)と揶揄されていたが、その筆頭格でもあった。

 ただ、歴代の最高指導部はさまざまな地方で経験を積み、外遊もし、海外人脈も構築していくなかで、北京へ上がっていく。ところが、50歳過ぎまで故郷、浙江省内に留まっていた陳敏爾は超ドメスティック(内向き)な人材だ。学歴についても見劣りする。習主席の〝腰巾着″にすぎない、とみなされたのか。

 チャイナセブンの次、序列8位から25位までの新たな中央政治局委員のなかにも、共産主義青年団出身(=最近は『胡錦涛派』とも呼ぶ)や、江沢民派も少数、含まれるが、習主席が福建、浙江両省での22年間の在任中に培った人材が続々と昇格している。

 つまり、「ポスト習近平も習近平」なのだ。2000年にロシア大統領に就任して以来、長期にわたり世界でも影響力を発揮し続けるプーチンに憧れる習主席。毛沢東主席を凌駕する〝中国の皇帝″を目指すのみならず、〝世界の覇者″となる野望を抱いているはずだ。

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