ワシントン・タイムズ・ジャパン

バイデン大統領は対中国包囲網の破壊者

■宥和政策に移行

 習近平が2013年に一帯一路構想を公表し、中国の覇権拡大は露骨になった。中国の政治・経済が各国の政財界に浸透すると、親中派は増加した。同時に、中国の覇権拡大を警戒する国も増加した。

 トランプ前大統領が反中国の先頭に立つことで、反中国包囲網が形成された。アメリカ大統領選挙で敗れたが、イギリス海軍の空母打撃群が日本にまで来た。イギリス・フランス・オランダ・ドイツの艦艇が日本に来たことは、反中国包囲網が形成された証しだった。

 だがバイデン政権は、中国との対立回避を選んだ。このため軍事での対立は、2021年の10月がピークだったようだ。米中の対立は段階的に減少しており、外交面での対立も中国の顔を立てる流れになっている。

 中国共産党による、チベット・ウイグル・香港などでの人権弾圧を外交ネタにしない。さらに、女子テニスの彭帥選手問題などは、北京オリンピックのボイコット材料。だがバイデン大統領は、ボイコットを検討するだけ。中国に対して外交攻勢を仕掛けることもなく、中国との宥和政策に移行している。

■追い詰められる習近平

 習近平が中国の国家主席になると、中国の覇権拡大は露骨になった。一帯一路構想は典型例で、構想に組み込まれた国は人民解放軍の存在が強烈になる。しかも強引に金を貸し、返済できないようにして、その国の国土を狙うやり口が嫌われた。

 反中国の国が増加すると、アメリカを中心としたイギリス・オランダ・フランス・日本などの連合軍が形成される。中国国内に目を向けると、食糧生産不足・電力不足・大規模災害などで中国経済は低迷。さらに、中国企業の破綻の噂まで流れ、習近平の舵取りは苦しくなるばかり。

国家戦略=外交×軍事

 国際社会では、軍事を背景にした外交を行うのが基本。平時では軍事演習が覇権の道具にされる。制海権は基地から戦場まで継続的に往復することで得られるから、海軍は定期的な軍事演習で制海権を獲得する。さらに、外国海軍との共同訓練は、仮想敵国に対する覇権争奪の道具になる。

 中国と、アメリカを中心とした反中国連合軍は、お互いに軍事演習や合同訓練で覇権を争った。すると2020年をピークに、人民解放軍の軍事演習は減少。それに対し、アメリカを中心とした反中国連合軍は、軍事演習・合同訓練を継続した。

 軍事力の存在は覇権の証しであり、継続的な活動範囲を見ることで、覇権の領域を知ることになる。つまり、人民解放軍のインド洋・南シナ海・東シナ海の覇権は縮小。それは外交の低下だから、習近平は面子を潰されたことになる。

 さらに人民解放軍は台湾に対して軍事的圧力を続けていたが、11月1日から台湾への軍事的圧力が停滞。継続的な往復が制空権・制海権を獲得する手段だから、止めてしまうと価値が低下。さらに、物資不足で活動できないことを示す。

 習近平は内憂外患で、過去の明確な方針が公でも確認できなくなる。しかも南シナ海進出・太平洋進出が目的なのか、それとも台湾侵攻が方針なのか曖昧になっている。さらにインド侵攻を臭わせる動きを見せたかと思えば、大陸間弾道ミサイルを見せ付けて外交的な脅しをする。

 人民解放軍海軍は、アメリカ海軍に制海権を奪われた。そうなると、インド洋・南シナ海・太平洋に進出することは困難。アメリカ軍は人民解放軍を軍事的に追い詰めているが、バイデン政権は中国に対して外交攻勢を仕掛けない。

■米軍・海自が合同訓練

 アメリカ海軍と海上自衛隊は、11月16日に南シナ海で合同訓練を行った。アメリカと日本は共に海洋国家であり、南シナ海は富を共有する海上交通路を持つ。だから共同して南シナ海を守ることは、政治的な外交圧力になる。

海自と米軍、南シナ海で初の対潜水艦訓練「シーレーン海域で訓練することに意義」
https://www.epochtimes.jp/p/2021/11/82083.html

 軍事演習・合同訓練は、平時において仮想敵国から制海権を奪う道具。だから継続的に行うと、仮想敵国から制海権を奪える。制海権・制空権は60%の優先利用で獲得できるから、劣勢になれば失う。

 アメリカ海軍と海上自衛隊が南シナ海で活動したことで、南シナ海の制海権獲得を世界に示した。人民解放軍に物資があれば、素早く軍事演習で返礼をする。だが軍事演習の返礼は確認されていない。つまり、人民解放軍の物資不足は誤魔化せない。

 こうなれば、バイデン政権は中国に対して外交攻勢を仕掛けることは容易。習近平は国内問題で迷走。台湾に軍事的圧力を加えたが頓挫。それどころか、台湾軍は強化されている。これほどの好条件を持ちながら、バイデン政権は中国との宥和政策に移行した。

 軍事を背景に習近平を追い詰めるのではなく、対立回避で対話を行う。勝利を目前に敵前逃亡したも同じ。アメリカ海軍と海上自衛隊が苦労して獲得した制海権を、一瞬で無かったことにしたのだ。

 習近平には助け舟。失った物を取り戻しただけでなく、外交的な立場も回復。人民解放軍は軍事的には敗北しているが、習近平の立場は以前の状態に回復したのだ。欧米の軍隊が日本に集まったが、バイデン政権は段階的に解散させる動きを見せている。

 バイデン政権が中国との対立を放棄するなら、反中国連合軍を継続する目的は失われる。ならば、イギリス海軍は、インド洋では活動するが、日本付近での活動は縮小する可能性がある。

■政治と軍事の乖離

 アメリカ海軍と海上自衛隊は、律儀に人民解放軍から制海権を奪っている。これで政治家が有利になれるようにした。だが、アメリカのバイデン政権、日本の岸田政権は、中国に対して宥和政策を採用。

 バイデン政権は北京オリンピックボイコットを検討していると発言しているが、検討であって決定ではない。真にボイコットするなら、南シナ海の制海権獲得を背景に、北京オリンピックボイコットを正式に発表する。

 こうなれば、習近平の面子は丸つぶれ。さらに、中国共産党がチベット・ウイグル・香港で行った人権弾圧で畳み掛ける。これをされたら、習近平は引退するしか道はない。もしくは、怒って台湾侵攻かインド侵攻で自滅の道を突き進む。

 実際のバイデン政権・岸田政権は、人権ネタで中国共産党を攻撃しない。それどころか放棄。つまり、北京オリンピックに参加することになるだろう。これは、脅威の卵を毒蛇に変える最悪の決断。

 北京オリンピックが終われば、習近平はバイデン政権・岸田政権の支援を得て、人権弾圧を再開するだろう。香港への人権弾圧は静かだが、これは北京オリンピックのために抑えている。だから、香港の悪夢が再開するのだ。そして、ウイグル人の強制労働も拡大されるだろう。

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