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    太田 正利
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    佐藤 唯行
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    渡瀬 裕哉
    渡瀬 裕哉
    早稲田大学招聘研究員
    山田 寛
    山田 寛
    元読売新聞アメリカ総局長

    米国、日韓を露骨に差別


     先ほど米朝首脳会談が終わりましたが、その陰に隠れて、非常に重要な話題があります。それは、トランプ米大統領が日本と韓国を露骨に差別している、というものです。


    米朝首脳会談の結果

     先ほどから当ウェブサイトでもお伝えしているとおり、米朝両国の首脳はつい先ほど、「歴史的かつ包括的な文書」に署名しました。ただし、ドナルド・J・トランプ米大統領は、これを「世界にとっての非常に大きく危険な問題」に対処するためのものだと語ったものの、その内容については、現時点でよくわかりません。

     私が事前に注目していたのは、次の3点です。


    ●北朝鮮が核兵器などの「CVID」、すなわち「完全な、検証可能な、かつ不可逆な方法での廃棄」(Complete, Verifiable and Irreversible Dismantlement)を受け入れるかどうか
    ●CVIDの対象には核兵器だけでなく、ミサイル、生物・化学兵器などが包括的に含められるかどうか
    ●日本人拉致事件など、北朝鮮による過去のテロ行為の清算義務は盛り込まれるかどうか


     北朝鮮という無法国家の問題を「リビア方式」で解決するためには、少なくともこの3点について、合意できなければなりません。しかし、トランプ氏が北朝鮮の独裁者・金正恩(きん・しょうおん)と取り交わした文書に、この3点が含まれているのかどうか、現時点ではまったくわかりません。

    もしかすると、単純に、


    「北朝鮮の非核化に向けた具体的な道筋を、これから米朝両国が検討する」


    というものかもしれませんし、その場合であっても、「北朝鮮が核などのCVIDに応じるまでは、北朝鮮に対する最大限の圧力を解除しない」ということであれば、私たち日本国民にもそこまで問題とはならないと思います。

     いずれにせよ、本件についてはトランプ氏の記者会見を待ちたいと思います(もっとも、これについては記事を取りまとめるのが少し遅れるかもしれません)。

    日韓の露骨な違い

    ●ホワイトハウスの公表物と日韓の違い
     ところで、こうした米朝首脳会談の陰に隠れ、日本時間の本日午前中に、さりげなく、極めて重要な情報が、ホワイトハウスから出て来ています。


    ■Readout of President Donald J. Trump’s Call with President Moon Jae-in of the Republic of Korea (2018/06/11付 ホワイトハウスHPより)


    ■Readout of President Donald J. Trump’s Call with Prime Minister Shinzo Abe of Japan(2018/06/11付 ホワイトハウスHPより)


     要するに、トランプ大統領が昨日、シンガポールから韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領と日本の安倍晋三総理大臣と、相次いで電話で会談した、というものです。そして、両者を読むと、一見すると非常に良く似ています。

     まず、韓国の方の記事を眺めておきましょう。


    President Donald J. Trump spoke yesterday with President Moon Jae-in of the Republic of Korea to discuss recent developments ahead of today’s summit with North Korea. The two leaders vowed to continue their close coordination following President Trump’s meeting with North Korean leader Kim Jong Un in Singapore.


     一方、日本の方は、次のとおりです。


    President Donald J. Trump spoke yesterday with Prime Minister Shinzo Abe of Japan. The two leaders discussed recent developments ahead of today’s summit with North Korea and agreed to consult closely following the meeting.


     いずれも、下線で示した部分は私自身による加工です。この2つの記事は一見すると非常に良く似ているのですが、よく見比べると、非常に重要な違いがあることがわかります。

     韓国の場合は “vowed to continue close coordination” 、つまり「緊密な協力を続けることを誓った」、となっているのに対し、日本の場合は “agreed to consult closely” 、つまり「緊密に協議することで同意した」、となっている点にあります。

     これは、どういう違いがあるのでしょうか?

    ●agreeとvow、consultとcoordinationの違い

     まず、動詞がまったく異なります。日本の安倍総理との間では “agree” 、つまり「同意」という言葉ですが、韓国の文大統領との間では “vow” 、つまり「約束する」、「誓う」、という意味合いの言葉を使っています。正直、この “vow” は、 “agree” と比べて、どうしても弱い表現に見えてしまいます。

     次に、約束した内容もまったく異なります。トランプ大統領が安倍総理と「同意した」内容は “to consult closely” 、つまり当事者の1員として議論に参加することですが、文大統領と「誓った」内容は “continue close cordination” 、つまり「第三者として協力する」、というニュアンスです。

     こうした細かいニュアンスの違いは、米国のトランプ政権が日本と韓国を見る目が大きく異なっているという点を、図らずも浮き彫りにしているのではないでしょうか?

    「蚊帳の外」論のウソ


     ところで、多くの韓国のメディアと一部の日本のメディアは、朝鮮半島核問題をめぐり、「日本が蚊帳の外だ」と言い続けて来ました。

     しかし、たとえば今回の米朝首脳会談の開催地がシンガポールに決まった背景についても、韓国は板門店(はんもんてん)で開催させようとしたところを、どうも日本政府・外務省が水面下で動いて、シンガポールに変えさせた、という側面があったようです(※もっとも、この情報は未確認ですが…)。

     また、米国が本日の米朝首脳会談で、北朝鮮に核・ミサイルなどのCVIDを呑ませたのかどうかについては、現時点ではよくわかりません。しかし、米国が米朝首脳会談の直前まで、頑なにCVIDを主張していたことには、明らかに、安倍総理の影響を感じ取ることができます。

     つまり、北朝鮮と直接対話に乗り出した当事者は米国ですが、その米国に対し、実際には裏で日本が極めて強い影響力を行使していたのです。この日本の、いったいどこが「蚊帳の外」にいる、ということになるのでしょうか?

     それだけではありません。韓国政府は、米国政府から「朝鮮半島非核化問題に深入りするな」と命じられていたようです。


    ■米国が韓国に要請「非核化問題に深入りするな」(2018/05/29 10:08付 朝鮮日報日本語版より)


     朝鮮日報によれば、韓国の李洛淵(り・らくえん)首相が5月27日、欧州歴訪中にロンドンで特派員および記者団と昼食会を開き、


    「米国が、非核化問題に関して韓国はあまり深く入り込まないでほしいという要請を行った」


    と述べたのだそうです。

     このように考えていくならば、むしろ蚊帳の外に置かれているのは韓国であると考えるべきでしょう。いずれにせよ、日本のマス・メディアは、日本が「蚊帳の外に置かれている」ということにしたいようですが、こうした主張にはかなりの無理がある、というのが実情ではないでしょうか?

     そのことを、ここで改めて指摘しておきたいと思います。


    『独立系ビジネス評論サイト 新宿会計士の政治経済評論』
    http://shinjukuacc.com/20180612-05/

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